Veritas NetBackup™ コマンドリファレンスガイド
- 概要
- 付録 A. NetBackup コマンド
名前
nbstl — NetBackup ストレージライフサイクルポリシーの追加、削除、変更または表示
概要
nbstlstorage_lifecycle_name [-add | -modify | -modify_current | -modify_version] [-dc class] [-dp duplication_priority] [-version version_number]
[-uf used_for1 [,used_for2,..used_forn]]
[-source source1[,source2,..sourcen]]
[-residence storage_unit1 | __NA__[,storage_unit2 | __NA__,..storage_unitn | __NA__]]
[-pool volume_pool1 | __NA__[,volume_pool2 | __NA__,..volume_pooln | __NA__]]
[-server_group host1 | *ANY* | *NONE* | __NA__[,host2 | *ANY* | *NONE* | __NA__,..hostn | *ANY* | *NONE* | __NA__]]
[-managed m1[,m2,..mn]]
[-rl retention_level1 | __NA__ [,retention_level2 | __NA__,..retention_leveln | __NA__]]
[-as alt_read_server1 | __NA__ [,alt_read_server2 | __NA__,..alt_read_servern | __NA__]]
[-mpx T | F [,T | F,..,T | F]] [-target_master target_master_server1 | __NA__ [,target_master_server2 | __NA__,..target_master_servern | __NA__]][-target_importslp target_importslp1 | __NA__ [,target_importslp2 | __NA__,..target_importslpn | __NA__]] [-defop T | F [,T | F,..,T | F]] [-v] [-M master_server] [-destpri priority1 [,priority2,..priorityn]] [-window window_1 [,window_2,..window_n]] [-wcopt option_set1 [,option_set2,..option_setn]
nbstlstorage_lifecycle_name -delete [-v] [-M master_server]
nbstl [storage_lifecycle_name] -L | -l | -b | U | -json | -json_compact | -conflicts [-v] [-M master_server] [-all_versions] [-version version_number]
UNIX システムでは、このコマンドへのディレクトリパスは /usr/openv/netbackup/bin/admincmd/ です。
Windows システムでは、このコマンドへのディレクトリパスは install_path\NetBackup\bin\admincmd\
です。
説明
nbstl コマンドで次のことをできます。
-add は新しいストレージライフサイクルを追加します。
-delete は既存のストレージライフサイクルを削除します。
-modify は既存のストレージライフサイクルを変更します。
-L と -l は 1 つまたはすべてのストレージライフサイクルに関する情報を詳細形式または簡易形式で表示します。-b はストレージライフサイクルポリシーの名前だけを表示します。
nbstl コマンドは、すべての宛先の作成、変更、削除を同時に行い、単一の宛先の追加または変更はサポートしていません。1 つの宛先のプロパティを変更するには、更新する宛先と同様に、すべての既存の宛先を考慮する必要があります。
宛先に入力する必要がある多くのオプションは、適用されない (NA) 場合があります。その場合、値を __NA__ (NA の前後にアンダースコアを 2 つ) として入力します。次のオプションでは __NA__ が値として受け入れられます。
-residence
-pool
-server_group
-as (代替読み込みサーバー)
-target_master
-target_importslp
オプション
- -all_versions
指定したストレージライフサイクルポリシーのすべてのバージョンを表示するか、storage_lifecycle_name を指定しなければすべてのストレージライフサイクルポリシーのすべてのバージョンを表示します。
- -b
指定したストレージライフサイクルポリシーの名前を表示するか、storage_lifecycle_name を指定しなければすべてのストレージライフサイクルポリシーの名前を表示します。すべてのストレージライフサイクルポリシーの名前とバージョンを表示する場合は、このオプションを -all_versions オプションとともに使います。
- -conflicts
他の nbstl オプションによって記述されるこの SLP への変更が、この SLP と関連付けられているポリシーにどのように影響するか示します。 nbstl は検証を実行するために SLP の変更を送信します。これにより、提案された SLP の内容と、SLP を使用するすべてのポリシーを比較し、エラーがある場合は stdout に表示します。この時点では変更はコミットされません。エラーがなければ、ユーザーは -conflicts オプションなしで変更を再送信し、変更をコミットすることができます。
- -dc class
このサービスと関連付けられた数字のデータ分類を指定します。
- -delete
指定したストレージライフサイクルポリシーを削除します。
- -defop T | F [,T | F,..,T | F]
複製コピーの遅延操作フラグを設定します。
F または f - 追加のイメージコピーの作成を遅延せずに行います。
T または t - 追加のイメージコピーの作成をソースコピーの期限切れが近づくまで行いません。複製ジョブはソースが期限切れになる約 4 時間前に開始されます。このデフォルトの時間を変更するには、SLP パラメータのホストプロパティの[遅延した複製オフセット (Deferred duplication offset)]パラメータを変更します。
- -dp duplication_priority
このストレージサービスと関連付けられた複製ジョブの優先度を指定します。
- storage_lifecycle_name
作成、変更、削除、または表示されるストレージライフサイクルポリシーの名前を識別します。
- -json
json 形式で複数行にわたってデータを生成します。
- -json_compact
json 形式で 1 行にデータを生成します。
- -l
指定したストレージライフサイクルポリシーの簡略出力を表示するか、storage_lifecycle_name を指定しなければすべてのストレージライフサイクルポリシーの簡略出力を表示します。出力はストレージライフサイクルのデータのみを含みます。名前を識別しません。
- -L
指定したストレージライフサイクルの詳細出力を表示するか、storage_lifecycle_name を指定しなければすべてのストレージライフサイクルの詳細出力を表示します。出力を名前で識別します。
- -M master_server
NetBackup マスターサーバーを指定します。デフォルトは、ローカルサーバーです。
- -modify
指定したストレージライフサイクルポリシーを変更します。このオプションはストレージライフサイクルポリシーの新しいバージョンを作成します。ボリュームプールまたは保持レベルなどの情報を変更できます。
- -modify_current
新しいポリシーを作成する代わりに現在のストレージライフサイクルポリシーを変更します。このオプションは - dc、-uf、-source、-managed オプションとともに使うことができません。
- -modify_version
新しいポリシーを作成する代わりに選択したバージョン (nn) のストレージライフサイクルポリシーを変更します。このオプションは - dc、-uf、-source、-managed オプションとともに使うことができません。
- -v
このオプションを指定すると、ログの詳細モードが選択されます。
- -version nn
ストレージライフサイクルポリシーの指定のバージョン番号 (nn) のみ出力するか、storage_lifecycle_name が指定されなければすべてのストレージライフサイクルポリシーの指定のバージョン番号 (nn) のみ表示します。
次のすべての宛先オプションでは、ストレージサービスのそれぞれの宛先に対して 1 つずつ、同じ数のパラメータを指定する必要があります。その結果、宛先の数はパラメータの数と同じになります。パラメータは間に余白なしでカンマで分かれています。
- -destpri priority1 [,priority2,...priorityn]]
ストレージライフサイクルポリシーの各宛先インデックスのジョブ優先度を指定します。このオプションはインポート先にのみ使うことができます。他の宛先はすべて 0 に設定する必要があります。
- -managed m,...
それぞれの宛先について、保持形式を指定します。可能な値は次のとおりです。
0 - 固定
1 - 管理対象の容量
2 - コピー後に期限切れにします。コピー元としてこのコピーを使うすべての操作が完了した後、コピーは期限切れになります。これらの操作には、複製、レプリケーション、スナップショットからのバックアップ、スナップショットからのインデックス作成が含まれます。
3 - リモート (インポート済み) の有効期限。
4 -最大のスナップショットローテーション。
5 -ミラーコピー
たとえば、-managed 4 は保持形式が最大のスナップショットローテーションであることを意味します。
- -mpx T | F [,T | F,..,T | F]
複製コピーの多重化維持フラグを設定します。このオプションはバックアップコピーまたはスナップショットコピーの場合には許可されません。ポリシーホストとストレージユニットのプロパティの設定によって、バックアップコピーの多重化の状態が判断されます。フラグはテープコピーにのみ関係します。オプションは、-mpx の後ろに次の値で区切る一組のカンマが続きます。
F または f - コピーの多重化を保存しない。
T または t - コピーの多重化を (可能であれば) 維持します
__NA__ - 適用不能
- -pool volume_pool1 | __NA__[,volume_pool2 | __NA__,..volume_pooln | __NA__]
各宛先のボリュームプールを指定します。ボリュームプールはディスクコピーに適用されません。
- -residence storage_unit1 | __NA__[,storage_unit2 | __NA__,..storage_unitn | __NA__]
各宛先に使われるストレージユニット。ストレージユニットはスナップショット先 (-uf オプションの設定が 2) またはリモートマスターへの複製 (-uf オプションの設定が 3) には適用されません。
- -rl retention_level1 [,retention_level,...retention_level]
各宛先に適用される保持レベル (0-100)。このコマンドを NetBackup 8.0 以前のメディアサーバーで実行する場合、出力には 0 から 24 の間の保持レベルのみ表示されます。
メモ:
保持レベル 25 は、有効期限即時終了の値を持ちます。この値は編集できません。
- -server_group host1 | *ANY* | *NONE* | __NA__[,host2 | *ANY* | *NONE* | __NA__,..hostn | *ANY* | *NONE* | __NA__]
サーバーグループを指定します。サーバーグループを共有する任意のメディアを使用する場合は、*ANY* を使用します。グループの共有が許可されていない場合は、*NONE* を使用します。
- -as alt_read_server1 | __NA__ [,alt_read_server2 | __NA__,..alt_read_servern | __NA__]
各宛先の代替読み込みサーバー。代替読み込みサーバーは複製先にのみ適用されます。
- -source source1[,source2,...sourcen]
ストレージライフサイクルの -add および -modify 操作のために複製の階層を構成します。
-source には次の値を指定できます。
バックアップとスナップショットの宛先 - 値は 0 である必要があります。バックアップとスナップショットのコピーにソースは不要です。
複製先 - ソースコピーとして使われる宛先のリストにある宛先のシリアル番号。(スナップショットコピーは複製元として使うことができません。)特定のソースを使わない (つまり、プライマリコピーをソースとして使う) 複製先は 0 に設定する必要があります。
- -U
ユーザー表示形式で指定済みのストレージライフサイクルに関するデータを出力します。
- -uf used_for1 [used_for2,...used_forn]
各宛先をいつ使うかを指定します。次の値のいずれかを使います。
0 - バックアップ
1 - 複製
2 - スナップショット
3 -リモートマスターへのレプリケーション (-residence の値が __NA__ であることが必要です)
4 - インポート
5 -スナップショットからのバックアップ
6 -スナップショットからのインデックス
7 -レプリケーション
たとえば、-uf 2 はスナップショット操作の場合です。
- -wcopt option1 [,option2,...optionn]
中断できないイメージの処理方法を指定します。時間帯が終了して SLP のジョブが完了しなかった場合、NetBackup は処理中のイメージを中断します。次の時間帯になると、NetBackup は中断したところからそれらのジョブを再開します。
イメージを中断できない場合は、option でイメージの処理方法が決まります。
SFN - 有効なイメージの処理を完了。時間帯は終了しますが、NetBackup は実行中のイメージの処理が完了するまで継続して処理します。NetBackup では、次の時間帯になるまで他のイメージの処理は開始されません。
SFN - 有効なイメージの処理をキャンセルする。時間帯が終了し、NetBackup は実行中のイメージの処理をすぐに停止します。次の時間帯になると、NetBackup は中断したところからイメージの処理を再開します。
- -window window_1 [,window_2,..window_n]
特定の宛先の時間帯を指定します。bpschedule コマンドを実行して複製の新しい時間帯を作成すると、その後の nbstl コマンドでバックアップ先と複製先を指定してライフサイクルを作成できます。このポリシーによる複製は午前 6 時から 4 時間しか実行されません (つまり、すべてのジョブが午前 10 時までに完了するようにしてください)。
例
例 1 - lifecycle1 の情報の詳細な出力を表示します。
# nbstl lifecycle1 -L Name: lifecycle1 Data Classification: Gold Duplication job priority: 0 State: active Destination 1 Use for: backup Storage Unit: adv_dsu1 Volume Pool: (none specified) Server Group: (none specified) Retention Type: Fixed Retention Level: 1 (2 hours) Alternate Read Server: (none specified) Preserve Multiplexing: false State: inactive Source: (client)
adv_dsu1 という名前のストレージユニットは無効です。-L で表示される状態の値は[active]または[inactive]です。
例 2 - HDLifecyle1 という名前のライフサイクルを作成します。このライフサイクルのデータ分類は Gold です。次の 4 つの宛先を含みます。
ソースが必要ない (-source の値は 0) ストレージユニット AdvDisk1 と組み合わせたバックアップ先 (- uf の値は 0)。
ストレージユニット DataDomain1 を使ったバックアップ先。
シリアル番号 1 の宛先をソース (-source の値は 1) として使ったストレージユニット DataDomain2 (つまり、ストレージユニット DataDomain1 と組み合わせたバックアップ先) と組み合わせた複製先 (- uf の値は 1)。
シリアル番号 2 の宛先をソース (-source の値は 2) として使ったストレージユニット cooperstown-tape1 と組み合わせた複製先 (つまり、ストレージユニット DataDomain2 と組み合わせた複製先) です。
# nbstl HDLifecycle1 -add -dc Gold -uf 0,0,1,1,1 -residence AdvDisk1, DadaDomain1,DataDomain2,cooperstown-tape1 -source 0,0,1,2
例 3 - バックアップを使用してスナップショットをディスクに作成してからテープに複製するライフサイクルを作成します。ディスクストレージユニットは DskSTU、テープストレージユニットは TpSTU です。
# nbstl LCPolicy -add -dc Gold -uf 0,1,2 -residence DskStU,TpSTU,__NA__ -pool NetBackup,DLP_Pool1,__NA__ -managed 0,0,0 -rl 6,12,1
データ保持期間は次のように定義されます。
スナップショットイメージは 1 週間保持されます。
ディスク上のバックアップイメージは 6 か月保持されます。
テープイメージは 5 年間保持されます。
5 年間にするために、保持レベルは 12 に定義されています。
例 4 - ライフサイクルの既存のバージョン 4 の保持レベルを変更します。
# nbstl LCPolicy -modify_version -version 4 -rl 4,6,7,7
ストレージライフサイクルポリシーに、以前に定義された 4 つの宛先がなければなりません。
例 5 - LCPolicy のバージョン 2 の簡略な内容をリストします。
# nbstl LCPolicy -l -version 2
例 6 - ストレージライフサイクルポリシー SLP8 の現在のバージョンのフィールドを変更します。
# nbstl SLP8 -modify_current -pool Pool1,Pool2,Pool3 -as __NA__, AltReadServer2,__NA__ -mpx F,F,T
例 7 - 複製の新しい時間帯を作成します。その後の nbstl コマンドで、バックアップ先と複製先 (0,1) を指定してライフサイクルを作成できます。このポリシーの複製の時間帯は、前の bpplsched コマンドで午前 6 時から午前 10 時までの 4 時間に設定されています。
# nbstl morning_dup_slp -add -dc Gold -dp 999 -uf 0,1 -source 0,1 -residence DISK1,TAPE1