Veritas NetBackup™ コマンドリファレンスガイド
- 概要
- 付録 A. NetBackup コマンド
名前
bpimport — 期限が切れた NetBackup バックアップのインポート、または他の NetBackup Server からの NetBackup バックアップのインポート
概要
bpimport -create_db_info -id media_id or path | -stype server_type [-dp disk_pool_name [-dv disk_volume]] [-server name] [-L output_file [-en]] [-local] [-nh ndmp_host [-mst media_subtype]]
bpimport -drfile -id media_id or path | -stype server_type [-dp disk_pool_name [-dv disk_volume]] -drfile_dest dir_name_on_master [-client name] [-server name] [-L output_file [-en]] [-priority number]
bpimport [-l] [-p] [-pb] [-PD] [-PM] [-v] [-local] [-client name] [-M master_server] [-Bidfile file_name] [-st sched_type] [-sl sched_label] [-L output_file [-en]] [-policy name] [-s startdate] [-e enddate] [-pt policy_type] [-hoursago hours] [-cn copy_number] [-backupid backup_id] [[-id media_id | path] | -stype server_type]] [-dp disk_pool_name [-dv disk_volume]] [-priority number] [-from_replica]
UNIX システムでは、このコマンドへのディレクトリパスは /usr/openv/netbackup/bin/admincmd/ です。
Windows システムでは、このコマンドへのディレクトリパスは install_path\NetBackup\bin\admincmd\
です。
説明
bpimport を実行すると、バックアップをインポートできます。このコマンドは、期限切れのバックアップ、または他の NetBackup サーバーからのバックアップをインポートする場合に有効です。
インポート操作は、次の 2 つのフェーズで構成されています。
フェーズ 1 は、「形式」の項に示す 1 番目のコマンド形式 (-create_db_info オプション) で実行します。この手順では、指定したメディア上のバックアップに対するカタログエントリが再作成されます。
フェーズ 2 は、「形式」の項に示す 2 番目のコマンド形式で実行します。この手順では、バックアップがメディアからインポートされます。
インポートされたバックアップの有効期限は、現在の日付に保持期間を加えた値になります。たとえば、2012 年 11 月 14 日にインポートされたバックアップの保持レベルが 1 週間である場合、そのバックアップの新しい有効期限は 2012 年 11 月 21 日になります。
バックアップのインポートは、バックアップのすべてのコピーが期限切れになった場合だけ実行できます。
バックアップをインポートする方法について詳しくは、『NetBackup 管理者ガイド Vol. 1』を参照してください。
オプション
- -backupid backup_id
このオプションでは、インポートする 1 つのバックアップのバックアップ ID を指定します。
- -Bidfile file_name
file_name には、インポートするバックアップ ID のリストを含むファイル名を指定します。ファイル内で 1 行に 1 つのバックアップ ID が指定されます。このオプションを含めると、他の選択条件は無視されます。
-Bidfile パラメータで指定したファイルは、コマンドラインインターフェース (CLI) の実行中に NetBackup によって削除されます。このファイルが削除されるのは、NetBackup GUI でこのパラメータが共通で使用されているためです。GUI では、コマンドラインインターフェースの完了時に -Bidfile オプションで使用された一時ファイルが削除されることを前提としています。ユーザーはコマンドラインインターフェースで直接このオプションを使用することができますが、この場合でも、ファイルは削除されます。
- -client name
このオプションでは、バックアップを行ったクライアントのホスト名を指定します。デフォルトはすべてのクライアントです。
- -cn copy_number
このオプションでは、インポートするバックアップの元のコピー番号を指定します。有効な値は、1 から 10 です。 デフォルトはすべてのコピーです。
- -create_db_info
このオプションを指定すると、指定したメディア上のバックアップに対するカタログエントリが再作成されます。すでにカタログ内に存在するバックアップはスキップされます。このオプションでは、インポートの対象となるバックアップの情報だけが作成されます。インポート操作は実行されません。バックアップをインポートする前に、このオプションを指定して bpimport を実行しておく必要があります。
- -dp disk_pool_name [-dv disk_volume]
このオプションを指定すると、指定したディスクプール上のイメージだけがインポートされます。必要に応じて、指定したディスクボリューム上のイメージだけにインポートを制限できます。disk_volume 引数は BasicDisk のパスです。
このオプションには、オプション -stype が必要です。
- -e enddate, -s startdate
これらのオプションでは、インポートするすべてのバックアップの開始日時から終了日時の範囲を指定します。
-s では、表示の対象とする開始日時を指定します。出力リストには、指定した日時以降に実行されたバックアップまたはアーカイブ内のイメージだけが表示されます。
-e では、表示の対象とする終了日時を指定します。出力リストには、指定した日時以前に実行されたバックアップまたはアーカイブ内のファイルだけが表示されます。開始日時と同じ形式を使用します。デフォルトは、現在の日時です。
有効な日時の範囲は、01/01/1970 00:00:00 から 01/19/2038 03:14:07 です。デフォルトは、現在の日付の午前 0 時です。
NetBackup コマンドの日時の値に求められる形式は、使用しているロケールによって異なります。
/usr/openv/msg/.conf
ファイル (UNIX) とinstall_path\VERITAS\msg\LC.CONF
ファイル (Windows) はそれぞれのサポート対象ロケールの日時形式などの情報を含んでいます。これらのファイルには、サポートされているロケールおよび書式のリストを追加および変更するための、具体的な方法が含まれています。システムのロケールについて詳しくは、『NetBackup 管理者ガイド Vol. 2』の「NetBackup インストールのロケールの指定について」を参照してください。
次に、-bpimport の -help 使用説明の一部を示します。これは、-s オプションおよび -e オプションの説明です。
-s mm/dd/yy [hh[:mm[:ss]]] -e mm/dd/yy [hh[:mm[:ss]]]
- -from_replica
自動インポートが可能であるイメージのみをスキャンし、ストレージライフサイクルポリシーの自動インポートワークリストにそれらのイメージを配置します。このオプションはインポートのフェーズ 1 の一部です。
- -hoursago hours
このオプションでは、現在の時刻より何時間前までのバックアップが検索されるかを指定します。このオプションは、-s オプションと同時に使用しないでください。デフォルトは、現在の日付の午前 0 時です。
- -id media_id | path
ディスクメディアの場合: インポートするバックアップが存在するストレージディレクトリへの path を指定します。
テープメディアの場合: 手順 1 (-create_db_info) の場合、このオプションでは、インポートするバックアップが含まれるメディア ID を指定します。このオプションは、-create_db_info オプションと同時に使用する必要があります。
手順 2 の場合、このオプションでは、バックアップをインポートする特定のメディア ID を指定します。デフォルトは、インポート操作の手順 1 で処理されるすべてのメディア ID です。
手順 1 で処理されないメディア ID で始まるバックアップ ID はインポートされません (バックアップは完了しません)。
- -L output_file [-en]
このオプションでは、進捗情報を書き込むファイル名を指定します。デフォルトでは、進捗ファイルは使用されません。
UNIX システムの例は、
/usr/openv/netbackup/logs/user_ops
です。Windows システムの例は、
c:\Program Files\Veritas\NetBackup\logs\user_ops
です。-en オプションを指定すると、ログが英語で生成されます。ログ名には文字列[_en]が含まれます。このオプションは、異なるロケールでさまざまな言語のログが作成される分散環境において有効です。
このオプションに対してはデフォルトパスのみが許可されます。ベリタスはデフォルトパスを使用することをお勧めします。設定で NetBackup のデフォルトパスを使用できない場合は、NetBackup 構成にカスタムパスを追加する必要があります。
カスタムパスを追加する方法について詳しくは、『NetBackup 管理者ガイド Vol. 1』の「NetBackup サーバーおよびクライアントの BPCD_WHITELIST_PATH オプション」の項を参照してください。
- -l
このオプションを指定すると、インポートされた各ファイルが表示された進捗ログが出力されます。
- -local
マスターサーバー以外のホストが bpimport を開始し、-local が使用されない場合 (デフォルト) は、bpimport がマスターサーバー上でコマンドのリモートコピーを開始します。リモートコピーでは、アクティビティモニターからコマンドを終了できます。
-local を使用すると、マスターサーバー上のリモートコピーの作成が回避されます。また、bpimport は開始されたホストからだけ実行されます。-local オプションを指定すると、bpimport をアクティビティモニターから取り消すことができません。
- -M master_server
メモ:
NetBackup Server では、サーバーは 1 台 (マスターサーバー) だけであるため、このオプションは不要です。 オプションを指定する場合、コマンドを実行する NetBackup マスターサーバーを指定します。
このオプションでは、メディア ID を含むメディアカタログを管理するマスターサーバーを指定します。このオプションを指定しない場合、デフォルトは次のいずれかになります。
コマンドをマスターサーバー上で実行する場合、そのサーバーがデフォルトです。
コマンドをマスターサーバーではなくメディアサーバー上で実行する場合、そのメディアサーバーのマスターサーバーがデフォルトです。
- -p
このオプションを指定すると、オプションの設定に従ってインポートするバックアップがプレビューされます。ただし、インポートは実行されません。メディア ID、サーバー名およびインポートするバックアップの情報が表示されます。
- -pb
このオプションを指定すると、インポートするバックアップがプレビューされます。ただし、インポートは実行されません。-p オプションに類似していますが、バックアップは表示されません。
- -PD
このオプションは、-PM オプションと同じです。ただし、バックアップが (新しい方から古い方へ) 日時でソートされます。
- -PM
このオプションを指定すると、オプションの設定に従ってインポートするバックアップの情報が表示されます。ただし、インポートは実行されません。バックアップの日時、ポリシー、スケジュール、バックアップ ID、ホストおよびメディア ID が表示されます。
- -policy name
このオプションを指定すると、指定したポリシー内で、インポートするバックアップが検索されます。デフォルトはすべてのポリシーです。
- -priority number
デフォルトのジョブの優先度を上書きするインポートジョブの新しい優先度を指定します。
- -pt policy_type
このオプションを指定すると、指定したポリシー形式で作成されたバックアップが検索されます。デフォルトは、すべてのポリシー形式です。
policy_type は、次のいずれかの文字列です。
Auspex-FastBackup DataStore DataTools-SQL-BackTrack DB2 Enterprise-Vault FlashBackup FlashBackup-Windows Informix-On-BAR LotusNotes MS-Exchange-Server MS-Hyper-V MS-SharePoint MS-SQL-Server MS-Windows NDMP Oracle PureDisk-Export SAP Split-Mirror Standard Sybase Vault VMware
- -server name
このオプションでは、メディアサーバー名を指定します。このサーバーのボリュームデータベースには、インポートするバックアップが含まれるメディア ID のレコードが存在する必要があります。デフォルトは、コマンドが実行されるメディアサーバーです。
メモ:
NetBackup Server では、サーバーは 1 台 (マスターサーバー) だけです。 NetBackup Server を使用する場合、マスターサーバー名を指定します。
- -sl sched_label
このオプションを指定すると、指定したスケジュールによって作成されたバックアップが、インポートするバックアップとして検索されます。デフォルトはすべてのスケジュールです。
- -st sched_type
このオプションを指定すると、指定したスケジュール形式によって作成されたバックアップが、インポートするバックアップとして検索されます。デフォルトはすべての形式のスケジュールです。
次に、有効な値を示します。
FULL (完全バックアップ)
INCR (差分増分バックアップ)
CINC (累積増分バックアップ)
UBAK (ユーザーバックアップ)
UARC (ユーザーアーカイブ)
NOT_ARCHIVE (ユーザーアーカイブ以外のすべてのバックアップ)
- -stype server_type
このオプションでは、ストレージサーバー形式を識別する文字列を指定します。server_type の値は次のいずれかから指定できます。
Veritas提供のストレージ。指定可能な値は、AdvancedDisk と PureDisk です。
サードパーティのディスクアプライアンス。ベンダーから server_type の文字列が提供されます。
クラウドストレージ。有効な値は、
amazon
、att
、azure、rackspace
です。クラウドの stype 値はクラウドストレージプロバイダを反映します。クラウドストレージの stype 値は、接尾辞も含めることができます (amazon_crypt
など)。可能性のある接尾辞は次の通りです。_raw: NetBackup バックアップイメージは raw 形式でクラウドに送信されます。クラウドストレージに送信する前にデータを圧縮したり暗号化したりしたくない場合、このオプションを使用します。
_rawc: クラウドストレージに書き込む前にデータを圧縮します。
_crypt
: クラウドストレージにデータを書き込む前に、AES-256 暗号化を使ってデータを暗号化します。このオプションを使用するには、NetBackup で KMS を構成する必要があります。_cryptc: クラウドストレージに書き込む前に、データを圧縮して暗号化します。
ストレージサーバーの形式では大文字と小文字が区別されます。
- -v
デバッグログと進捗ログに詳細が表示されます。
例
例 1 - メディア ID A0000 上のバックアップのカタログ情報がすべて 1 行で作成されます。メディアホストのホスト名は cat
です。進捗ファイルは、tmp ディレクトリにある bpimport.ls です。
UNIX システムの場合: # bpimport -create_db_info -id A0000 -server cat -L /usr/openv/netbackup/logs/user_ops/bpimport.ls
Windows システムの場合: # bpimport -create_db_info -id A0000 -server cat -L c:\Program Files\Veritas\NetBackup\logs\user_ops\bpimport.ls
例 2 - インポートの対象となるバックアップの情報がすべて 1 行で表示されます。 2012 年 11 月 1 日から 2012 年 11 月 10 日までに作成されたバックアップが表示されます。このコマンドを実行する前に、-create_db_info オプションを指定して bpimport コマンドを実行しておく必要があります。
# bpimport -PM -s 11/01/2012 -e 11/10/2012
例 3 - images
ファイルに指定されたバックアップがインポートされます。進捗情報は、bpimport.ls
ファイルに書き込まれます。
UNIX システムの場合: # bpimport -Bidfile /tmp/import/image -L /usr/openv/netbackup/logs/user_ops/bpimport.ls
Windows システムの場合: # bpimport -Bidfile \tmp\import\image -L c:\Program Files\Veritas\NetBackup\logs\user_ops\bpimport.ls
ファイル
UNIX システムの場合:
/usr/openv/netbackup/logs/admin/* /usr/openv/netbackup/db/images/*
Windows システムの場合:
install_path\NetBackup\logs\admin\* install_path\NetBackup\db\images\*