Veritas NetBackup™ コマンドリファレンスガイド
- 概要
- 付録 A. NetBackup コマンド
名前
netbackup_deployment_insights — クライアントと容量に関するマスターサーバー情報を収集、分析、報告するためのツール
概要
netbackup_deployment_insights --debug-inputs dir1 [dir2dir3]
netbackup_deployment_insights --gather [--bpimagelist=options] [--capacity ¦ --traditional] [--client hostname1, [hostname2, ...] | --clientlist=filename] [--hoursago=number] [--log=filename] [--master=hostname] [--nolog] [--output=directory] [--runtimestats] [-start date [-end date]] [--client-timeout seconds] [--exclude-clients client1[,client2,...]] [--exclude-clientlist path] [--exclude-all-clients]
netbackup_deployment_insights --report [--capacity ¦ --traditional] [--day-boundary=time] [dir1 dir2 dir# | --dirsfile=filename | --parentdir=directory] [--log=filename] [--nolog] [--overlap-details] [--runtimestats]
netbackup_deployment_insights --retry dir1 [dir2dir#]
netbackup_deployment_insights --version
On UNIX systems, the directory path to this command is /usr/openv/netbackup/bin/admincmd/
On Windows systems, the directory path to this command is install_path\NetBackup\bin\admincmd\
説明
NetBackup 9.1 で、nbdeployutil の名前は netbackup_deployment_insights に変更されました。ライセンスレポートを手動で生成する場合は、netbackup_deployment_insights コマンドを使用することをお勧めします。nbdeployutil コマンドも同じオプションを指定して引き続き使用できます。
netbackup_deployment_insights ツールは、マスターサーバーから配置情報を収集し、分析します。このツールは、従来のライセンスと容量ライセンスの 2 つの NetBackup ライセンスモデルのうちのいずれかに従って配置分析を実行します。従来のライセンスの配置分析は、クライアントとサーバーの数を数えてライセンス取得済みオプションの数に対してこの情報を比較します。容量ライセンスの配置分析は、保護されるソースデータの量を計算します。
コマンドは 2 段階で動作します。netbackup_deployment_insights は第 1 段階でデータを集め、第 2 段階でデータを分析します。
netbackup_deployment_insights コマンドは増分レポートをサポートします。この機能では、指定された間隔に基づいて netbackup_deployment_insights を実行し、増分データを収集して容量ベースのライセンスレポートを生成します。この機能の有効化と使用方法について詳しくは、『NetBackup 管理者ガイド Vol. 2』を参照してください。
このツールは収集操作の間に nbdeployutil-gather-timestamp.log
という名前のログファイルを生成します。このツールは分析操作およびレポート生成操作の間に nbdeployutil-report-timestamp.log
という名前のログファイルを生成します。デフォルトでは、ログファイルは収集されたデータが存在するディレクトリに作成されます。
従来のライセンスと容量ベースのライセンスについて詳しくは、『NetBackup 管理者ガイド Vol. 2』を参照してください。
メモ:
拡張監査を構成し、特定のユーザーを追加して、ルートユーザー以外で netbackup_deployment_insights を使用する必要があります。拡張監査について詳しくは、『NetBackup セキュリティおよび暗号化ガイド』を参照してください。
操作
- --client-timeout seconds
このオプションは、NetBackup 構成とは無関係に、nbdeployutil で bptestbpcd のタイムアウトを実施します。
このオプションは、--gather オプションが指定された場合のみ適用されます。--capacity を指定した場合、このオプションは適用されません。
- --debug-inputs
レポート生成に使用されるファイルを人が判読できるフォーマットに変換します。このように変換されたファイルは、未加工の出力文書より読みやすくなっています。基本 ASCII 文字を含んでいるディレクトリのみを指定できます。拡張 ASCII 文字が付いているディレクトリは指定できません。
- --exclude-all-clients
このオプションを使用すると、すべてのクライアントを bptestbpcd 接続から除外できます。指定したクライアントは、接続不能としてレポートに表示されます。
このオプションは、--gather オプションが指定された場合のみ適用されます。--capacity を指定した場合、このオプションは適用されません。
- --exclude-clientlist path
このオプションを使用して、bptestbpcd 接続から除外するクライアントのリストを含むファイルを指定します。各クライアント名は、ファイル内の別々の行にリストします。指定したクライアントは、接続不能としてレポートに表示されます。
このオプションは、--gather オプションが指定された場合のみ適用されます。--capacity を指定した場合、このオプションは適用されません。
- --exclude-clients client1[,client2,...]
このオプションを使用すると、指定した任意のクライアントを bptestbpcd 接続から除外できます。指定したクライアントは、接続不能としてレポートに表示されます。
このオプションは、--gather オプションが指定された場合のみ適用されます。--capacity を指定した場合、このオプションは適用されません。
- --gather
report オプションを指定して分析用のデータを収集します。capacity か traditional パラメータが使われている場合、その特定のライセンスモデルのデータのみが収集されます。capacity も traditional も指定されていない場合、gather は両方のライセンスモデルのデータを収集します。
NetBackup 8.0 以降のマスターサーバーでは、容量ライセンスで netbackup_deployment_insights --gather コマンドを実行すると、追加情報を入力するように求められます。NetBackup Web 管理サービスの認証に示されているクレデンシャル情報を入力する必要があります。
ドメイン形式: ドメイン形式の値として NIS、NISPLUS、WINDOWS、vx、unixpwd、ldap のいずれかを入力します。この値では大文字と小文字が区別されます。
ドメイン名: マスターサーバーホストが属するドメインの名前。マスターサーバーがドメインに属していない場合は、マスターサーバーの名前を入力します。
ユーザー名: 管理者権限を持つユーザーの名前。
パスワード: 管理者権限を持つ同じユーザーのパスワード。パスワードを入力するとき、文字は意図的にコマンドラインに表示されません。
マスターサーバーが複数の場合は、gather コマンドで指定したすべてのマスターサーバーのクレデンシャルを入力する必要があります。
- --report
gather オプションで収集されるデータに基づいてライセンスのレポートを生成します。このツールがレポートに使用できるディレクトリまたはディレクトリのリストを指定します。--report 操作を使う場合は、capacity または traditional パラメータを使う必要があります。
- --retry
ギャザー操作を再実行し、ギャザー処理中に失敗したホストをギャザーディレクトリの情報から判断し、これらのホストへの再接続を試みます。この操作は、従来のライセンスモデルで、複数のホストについて接続不可能との報告があった場合に役立ちます。
- --version
コマンドのバージョンを戻します。このオプションは、コマンドが動作するように設計されている NetBackup 製品の最新バージョンを識別するために使われます。バージョン文字列は、エンジニアリングバイナリのような特別なバージョンのツールも示します。このオプションはツールが 7.1 より前のマスターサーバーに手動でコピーされた場合に役立ちます。
オプション
- --bpimagelist
処理の gather 部分の実行中に bpimagelist コマンドに特定のオプションを渡すために使います。
- --capacity
gather または report と併用された場合に、ライセンスモデルを指定します。capacity は、NetBackup の TB ごとの容量ライセンスモデルに従って配置について報告するために使います。
- --client または --clientlist
指定済みのクライアントまたはクライアントリストに対してのみ、データやデータレポートを収集します。client を使用する場合は、カンマで複数のクライアントを区切ります。clientlist パラメータを使うためには、filename で別々の行にクライアントをリストします。--client または --clientlist オプションを使用すると、ツールでは接続できるにもかかわらず一部のメディアサーバーは接続不可能であるとレポートに表示される場合があります。この問題が概略情報に影響を及ぼすことはありません。
- --day-boundary
レポートを作成するためのレポートの時間帯の開始を移動します。デフォルトのレポート時間帯は、午前 0 時から午後 11 時 59 分 59 秒までです。時間値 hh:mm は 24 時間表記で指定します。たとえば、午前 6 時は 06:00、午後 6 時は 18:00 となります。
- --dirsfile
レポートを生成するために report パラメータが使うディレクトリのリストを含んでいるファイルです。このパラメータは report パラメータの後にすべてのファイルをリストする場合の代替方法です。report パラメータで使う親ディレクトリをリストするために parentdir パラメータを使うこともできます。
- --end
制限された収集期間の日付範囲の終了日を指定します。このオプションは start オプションを指定する場合にのみ使います。このパラメータの形式は "MM/DD/YYYY hh:mm:ss" です。時間値 hh:mm:ss は 24 時間表記で指定します。たとえば、午前 6 時は 06:00:00、午後 6 時は 18:00:00 となります。二重引用符によって日付時刻値を囲む必要があります。
- --hoursago
イメージの収集時間間隔のデフォルト値を変更します。値は時間単位で指定されます。デフォルト値は 2160 時間 (90 日) です。
- --log
ログ出力を特定のログファイルに強制的に出力します。デフォルトでは、ログ出力は収集されたデータとレポートが保存されるディレクトリ内のログファイルに書き込まれます。
- --master
指定したマスターサーバーの容量ライセンスデータを収集します。このオプションは --gather を指定した場合にのみ使われます。ローカルホストでリモートサーバーからのデータを収集するには、ホスト名がリモートサーバーのサーバーリストに表示されている必要があります。
このオプションは、リモートで収集される容量ライセンス情報のみをサポートします。リモートで収集される従来のライセンスデータはサポートされません。
- --nolog
デバッグログファイルの作成を無効にします。
- --output
指定した出力ディレクトリに結果を保存します。基本 ASCII 文字を含んでいるディレクトリのみを指定できます。拡張 ASCII 文字が付いているディレクトリは指定できません。操作が gather の場合、出力ディレクトリは収集されたデータを保持します。report 操作では、レポートとログファイルは、指定済みの入力ディレクトリに収集されたデータと同じ場所に配置される代わりに、出力ディレクトリに置かれます。output オプションが指定されていない場合、出力は次のディレクトリに配置されます。
UNIX の場合:
/usr/openv/var/global/reports/ YYYYMMDD_hhmmss_masterserver
Windows の場合:
install_path\Netbackup\var\global\reports\YYYYMMDD_hhmmss_masterserver
- --overlap-details
容量ライセンスレポートの[重複する対象 (Duplicate Selections)]列に、重複するバックアップ対象を表示します。このオプションは、ASCII 文字または英語のみのバックアップ対象データでのみ使用できます。
- --parentdir
report パラメータがレポート生成に使用する収集済みライセンスデータが格納された多数のディレクトリが含まれるディレクトリツリーの最上位を指定します。ディレクトリのリストを含んでいるファイルを指定するために dirsfile パラメータを使うこともできます。
- --runtimestats
ツールの実行時間の統計を表示します。この統計はメモリの使用量と CPU の使用率を含んでいます。
UNIX の出力例:
stats mem 40.1 M, cpu 27.0% after splitting t/fixture/ nbdeployutil_sidon/bpimagelist_sidon.out stats mem 40.1 M, cpu 28.0% after parsing records from t/fixture/ nbdeployutil_sidon/tmp/policy_db_arc_tab_2gig_nt_client_totem7.out stats mem 40.6 M, cpu 50.0% after calculating for UNKNOWN-1 in t/fixture/nbdeployutil_sidon/ stats mem 40.6 M, cpu 51.0% after main report loop took 1 sec
- --start
制限された収集期間の日付範囲の開始日を指定します。このパラメータの形式は "MM/DD/YYYY hh:mm:ss" です。時間値 hh:mm:ss は 24 時間表記で指定します。たとえば、午前 6 時は 06:00:00、午後 6 時は 18:00:00 となります。日時の値を二重引用符で囲む必要があることに注意してください。
- --traditional
gather か report と併用して、ライセンスモデルを指定します。--traditional は、NetBackup の従来のサーバーごとのライセンスモデルに従って配置について報告するために使います。デフォルト値は 2160 時間 (90 日) です。
- --verbose
画面にツールの詳しい進捗情報を出力します。これにより、デバッグログファイル内の情報に影響が及ぶことはありません。ログファイルの内容は常に詳細です。
前提条件
次に示すのは netbackup_deployment_insights ツールの前提条件です。
データを収集するためには、マスターサーバーのデーモンまたはサービスが環境で動作している必要があります。
gather コマンドを実行するマスターサーバーに十分なディスク容量があることを確認します。容量ライセンスデータの収集では、過去 90 日間の bpimagelist 出力情報を収集します。出力のサイズは、その期間のカタログ内のイメージ数の関数となります。デフォルトの期間は、移動または短縮できます。分析の時間範囲を短くすると、数値が不正確になったり不完全になります。
レポートを表示するには Microsoft Excel が必要です。このソフトウェアはマスターサーバーにインストールされている必要はありません。
例
例 1 - 容量ライセンスレポートのデータを収集します。ディレクトリパスは UNIX システム用ですが、この例は Windows システムにも適用されます。
# ./netbackup_deployment_insights --gather --capacity NetBackup Deployment Insights, version 9.0.1 Gathering license deployment information... Discovered master server punnbuucsm5b38-vm80 Enter credentials for Master Server(s): Master Server:punnbuucsm5b38-vm80 Domain Type (NIS, NISPLUS, WINDOWS, vx, unixpwd, ldap):unixpwd Domain Name :punnbuucsm5b38-vm80 User Name :root Password : Data gather is in progress. This process might take some time. Output for punnbuucsm5b38-vm80 at: /usr/openv/var/global/reports/ 20210309_101511_punnbuucsm5b38-vm80 Gather DONE Execution time: 25 secs To create a report for this master server, run the following: netbackup_deployment_insights --report --capacity /usr/openv/var/global/ reports/20210309_101511_punnbuucsm5b38-vm80 #
例 2 - 例 1 のデータを含む容量ライセンスレポートを生成します。ディレクトリパスは UNIX システム用ですが、この例は Windows システムにも適用できます。
# ./netbackup_deployment_insights --report --capacity /usr/openv/var/ global/reports/20210309_101511_punnbuucsm5b38-vm80 NetBackup Deployment Insights, version 9.0.1 Analyzing license deployment ... Report created at: /usr/openv/var/global/reports/ 20210309_101511_punnbuucsm5b38-vm80/report-capacity-punnbuucsm5b38- vm80-20210309_101705.xls Analysis DONE Execution time: 0 sec #
例 3 - 従来ライセンスレポートのデータを収集します。ディレクトリパスは UNIX システム用ですが、この例は Windows システムにも適用されます。
# ./netbackup_deployment_insights --gather --traditional NetBackup Deployment Insights, version 9.0.1 Gathering license deployment information... Discovered master server punnbuucsm5b38-vm80 Output for punnbuucsm5b38-vm80 at: /usr/openv/var/global/reports/ 20210309_101809_punnbuucsm5b38-vm80 Gather DONE Execution time: 9 secs To create a report for this master server, run the following: netbackup_deployment_insights --report --traditional /usr/openv/var/ global/reports/20210309_101809_punnbuucsm5b38-vm80 #
例 4 - 例 3 のデータを含む従来ライセンスレポートを生成します。ディレクトリパスは UNIX システム用ですが、この例は Windows システムにも適用できます。
# ./netbackup_deployment_insights --report --traditional /usr/openv/var/ global/reports/20210309_101809_punnbuucsm5b38-vm80 NetBackup Deployment Insights, version 9.0.1 Analyzing license deployment ... Report created at: /usr/openv/var/global/reports/ 20210309_101809_punnbuucsm5b38-vm80/report-traditional-punnbuucsm5b38- vm80-20210309_101945.xls Analysis DONE Execution time: 1 sec #