Veritas NetBackup™ コマンドリファレンスガイド
- 概要
- 付録 A. NetBackup コマンド
名前
bpexpdate — イメージカタログ内のバックアップおよびメディアカタログ内のメディアの有効期限を変更
概要
bpexpdate -m media_id -d date | 0 | infinity [-host name] [-force] [-nodelete] [-notimmediate] [-force_not_complete] [-M master_server,...]
bpexpdate -deassignempty [-m media_id] [-force] [-M master_server,...]
On UNIX systems, the directory path to this command is /usr/openv/netbackup/bin/admincmd/
On Windows systems, the directory path to this command is install_path\NetBackup\bin\admincmd\
説明
NetBackup はバックアップイメージおよびメディア情報が含まれる内部データベースであるカタログを管理します。イメージカタログ内のイメージレコードには、有効期限が記録されています。メディアカタログ内のメディア ID にも、有効期限が記録されています。有効期限とは、NetBackup によってバックアップまたはメディア ID のレコードが、対応するカタログから削除される日時です。
bpexpdate を実行すると、NetBackup イメージカタログ内のバックアップの有効期限を変更できます。また、このコマンドを使用して、NetBackup メディアカタログ内のリムーバブルメディアの有効期限を変更することもできます。有効期限を 0 (ゼロ) に設定して bpexpdate を実行すると、イメージカタログバックアップまたはメディアカタログのメディアはすぐに期限切れになります。NetBackup メディアカタログからメディア ID が削除されると、Enterprise Media Manager データベースからも削除されます。メディア ID は、メディアの以前の状態 (凍結、一時停止など) に関係なく削除されます。
有効期限の変更は、メディア ID 単位または個別のバックアップ ID 単位で実行できます。メディア ID の有効期限を変更すると、メディア上のすべてのバックアップの有効期限も変更されます。bpexpdate には、次のオプションも指摘できます。
有効なバックアップが含まれないメディアをメディアカタログから削除する。
構成または指定された保持レベルに基づいて有効期限を再計算する。
WORM が指定されると、コピーは二度と書き込み可能にはなりません。ただし、これらのコピーは、ロック解除時間が経過した後で削除可能になります。
このコマンドは、すべての認可済みユーザーが実行できます。
NetBackup による認可について詳しくは、『NetBackup セキュリティおよび暗号化ガイド』を参照してください。
操作
コマンドの操作を次に示します。
- -backupid backup_id
1 つのバックアップの有効期限を変更します。日付が 0 (ゼロ) の場合、バックアップは、イメージカタログから削除されます。バックアップがリムーバブルメディアに存在し、-d で指定した有効期限が現在のメディア ID の有効期限を越える日時の場合、メディアカタログの有効期限も変更されます。-copy オプションを使用しないかぎり、バックアップのすべてのコピーが変更されます。-copy オプションを指定すると、指定したコピーだけが変更されます。
- -Bidfile filename
有効期限を変更するバックアップ ID のリストを含むファイルを指定します。ファイル内で 1 行に 1 つのバックアップ ID が指定されます。
- -deassignempty
有効なバックアップが含まれないリムーバブルメディアをカタログ上で検索します。メディアカタログからメディアを削除し、Media Manager カタログのメディア ID を削除します。これによって、メディアの再利用が可能になります。メディアレポートの NetBackup イメージを使用すると、有効なバックアップが含まれない割り当て済みのメディアが存在するかどうかを判断できます。
- -recalculate
バックアップの有効期限を、保持レベルまたは新しい有効期限に基づいて変更できます。1 つのバックアップ、または特定のクライアント、ポリシーまたはスケジュールのすべてのバックアップに対して、有効期限を変更できます。-bybackuptime、-d、または -ret オプションのいずれかをこのオプションと共に使用できます。
-bybackuptime オプションを使用する場合、バックアップの有効期限は作成日と最初にバックアップに使われた保持レベル値に設定されます。バックアップがインポートされた後、このオプションを使用して有効期限を元の値にリセットできます。
メモ:
保持レベル 25 は、有効期限即時終了の値を持ちます。この値は編集できません。バックアップイメージの保持レベルを 25 に設定する場合、バックアップイメージの有効期限はすぐに終了します。
-ret オプションを使用する場合、バックアップの有効期限は作成日と指定された保持レベル値に設定されます。
-bybackuptime、-d、または -ret をこのオプションと共に使用しない場合、ストレージライフサイクルポリシー (SLP) 以外のバックアップの有効期限は、作成日とバックアップを書き込んだスケジュールの現在の保持レベル (ある場合) およびバックアップの作成後に変更されたスケジュールの保持レベルに設定されます。バックアップの有効期限は、表示された状況下では再計算されません。
SLP でスケジュールを作成しました。
バックアップを書き込んだポリシーおよびスケジュールが存在しない場合。
バックアップが作成されてからバックアップを書き込んだスケジュールの保持レベルが変わらなかった場合。
バックアップがリムーバブルメディアにある場合、バックアップの新しい有効期限が現在のメディアの有効期限よりあとであれば、メディアの有効期限も変わります。
- -servername server_name
このオプションでは、有効期限の変更によって影響を受けるサーバーの名前を指定します。サーバー名は、フラグメントが存在するイメージフラグメントレコードのフィールドを参照します。このサーバーはデータ移動を実行するメディアサーバーです。スナップショットの場合、このサーバーはスナップショットが存在するクライアントです。
- -stypeserver_type
このオプションでは、ストレージサーバー形式を識別する文字列を指定します。server_type の値は次のいずれかから指定できます。
Veritas 提供のストレージ。指定可能な値は、AdvancedDisk と PureDisk です。
サードパーティのディスクアプライアンス。ベンダーから server_type の文字列が提供されます。
クラウドストレージ。クラウドの stype 値はクラウドストレージプロバイダを反映します。示されているように、csconfig コマンドによって有効な値を決定します。太字の情報 (強調のために太字) は、-stype オプションの必須情報です。csconfig コマンドの出力は、現在サポートされているプロバイダに基づいて変化する可能性があることに注意してください。
root:~# csconfig cldprovider -l amazon (Amazon - Simple Storage Service) amazongov (Amazon GovCloud - Simple Storage Service) azure (Microsoft Azure - Microsoft Azure Storage Service) cloudian (Cloudian HyperStore - Cloudian HyperStore Object Storage) google (Google Nearline - Google Cloud Storage Nearline) hitachi (Hitachi Cloud Service (HCS) - Hitachi Off Premise Public Cloud) hitachicp (Hitachi Content Platform (HCP) - Hitachi On Premise Private Cloud) swiftstack (SwiftStack - SwiftStack Object Storage) verizon (Verizon - Verizon Cloud Storage)
クラウドストレージの stype 値は、接尾辞を含む必要があります (
amazon_crypt
など)。可能性のある接尾辞は次の通りです。_raw: NetBackup バックアップイメージは raw 形式でクラウドに送信されます。クラウドストレージに送信する前にデータを圧縮したり暗号化したりしたくない場合、このオプションを使用します。
_rawc: クラウドストレージに書き込む前に、raw データを圧縮します。
_crypt
: クラウドストレージにデータを書き込む前に、AES-256 暗号化を使ってデータを暗号化します。このオプションを使用するには、NetBackup で KMS を構成する必要があります。_cryptc: クラウドストレージに書き込む前に、データを圧縮して暗号化します。
ストレージサーバーの形式では大文字と小文字が区別されます。
オプション
- - bybackuptime
有効期限がバックアップ作成日とバックアップに使われた保持レベル値に設定されることを指定します。
- -client name
このオプションでは、-backupid および -recalculate 操作のクライアント名を指定します。
backupid 操作の場合、このオプションを指定すると、指定したクライアントのバックアップ ID が NetBackup によって最初に検索されます。このオプションは、クライアント名が変更された場合に有効です。
recalculate の場合、このオプションを指定すると、NetBackup により、指定したすべてのクライアントバックアップの保持レベルに基づいて、有効期限が再計算されます。
- -copy number
このオプションでは、有効期限を期限切れにするか、有効期限を変更するコピー番号を指定します。これは、-backupid および -recalculate オプションと同時に指定する場合だけ有効です。有効な値は、1 から 10 です。
プライマリコピーの期限が切れた場合、もう 1 つのコピーがプライマリコピーになります。このオプションを指定しない場合、バックアップの両方のコピーに有効期限が反映されます。
- -d date
このオプションでは、有効期限を指定します。 date には次のいずれかを指定できます。
mm/dd/yy hh:mm:ss
0 - バックアップまたはメディアがすぐに期限切れになります
infinity - バックアップが期限切れになることはありません
NetBackup コマンドの日時の値に求められる形式は、使用しているロケールによって異なります。
/usr/openv/msg/.conf
ファイル (UNIX) とinstall_path\VERITAS\msg\LC.CONF
ファイル (Windows) はそれぞれのサポート対象ロケールの日時形式などの情報を含んでいます。これらのファイルには、サポートされているロケールおよび書式のリストを追加および変更するための、具体的な方法が含まれています。システムのロケールについて詳しくは、『NetBackup 管理者ガイド Vol. 2』の「NetBackup インストールのロケールの指定について」を参照してください。
- -deassignempty
有効なバックアップが含まれないリムーバブルメディアをカタログ上で検索します。メディアカタログからメディアが削除されます。これによって、メディアの再利用が可能になります。メディアレポートの NetBackup イメージを使用すると、有効なバックアップが含まれない割り当て済みのメディアが存在するかどうかを判断できます。
- -do_not_follow_dependee
デフォルトでは、依存イメージが期限切れになると対象の従属イメージも期限切れになります。-do_not_follow_dependee オプションでこの動作を強制変更すると、イメージの有効期限が従属イメージに影響しません。
- -dp disk_pool_name -dv disk_volume
このオプションでは、ディスクプールと、必要に応じて、有効期限が設定されている操作を実行するディスクボリュームを指定します。
- -extend_worm_locks
-extend_worm_locks オプションを使用すると、WORM コピーの有効期限を延長できます。WORM コピーの有効期限は短縮できません。デフォルトでは、WORM コピーの有効期限は延長できません。WORM コピーの有効期限の延長を許可するには、このオプションを指定する必要があります。WORM コピーが指定されていない場合、このオプションは無効です。
- -force
bpexpdate を実行すると、指定した操作が開始される前に、問い合わせが発行されます。このオプションを指定して bpexpdate コマンドを実行すると、ユーザーを問い合わせることなく操作が実行されます。
- -force_not_complete
デフォルトでは、SLP 処理が進行中の場合は SLP 管理対象イメージまたはそのコピーは期限切れにできません。-force_not_complete オプションはこの制限を強制変更し、SLP が完了していなくてもイメージを期限切れにします。イメージの SLP の後続処理を終了すると、他のイメージのコピーも期限切れになることがあります。
- -host name
メモ:
NetBackup サーバーでは、サーバーが 1 台 (マスターサーバー) だけであるため、このオプションは不要です。このオプションを使用する場合、サーバーのホスト名を指定します。
このオプションでは、メディアが割り当てられているサーバーのホスト名を指定します。このオプションは、マスターサーバーにリモートメディアサーバーがあり、bpexpdate を実行するサーバーでボリュームが書き込まれていない場合にのみ、-m media_id オプションとともに使う必要があります。
たとえば、whale というマスターサーバーと、eel というメディアサーバーが存在すると想定します。次に示すコマンドを whale 上で実行して、メディア ID BU0001 をメディアカタログから削除し、さらにすべての関連するバックアップをイメージカタログから手動で削除します。
bpexpdate -m BU0001 -d 0 -host eel
NetBackup の[メディアリスト (Media Lists)]レポートを使用すると、ボリュームが存在するサーバーのメディアカタログを判断できます。
- -m media_id
有効なバックアップがこの特定のメディア ID に存在するかどうかが検証されます。このオプションは -deassignempty オプションを指定する場合にのみ使います。メディア ID は、6 文字以下で指定し、NetBackup メディアカタログに含める必要があります。
- -M master_server [,...]
このオプションでは、メディア ID を含むメディアカタログを管理するマスターサーバーを指定します。このオプションを指定しない場合、デフォルトは次のいずれかになります。
NetBackup サーバーの場合:
NetBackup サーバーでは、リモートメディアサーバーを持たない 1 つのマスターサーバーだけがサポートされます。そのため、この場合のデフォルトは常に、コマンドを実行するマスターサーバーです。
NetBackup Enterprise Server の場合:
コマンドをマスターサーバー上で実行する場合、そのサーバーがデフォルトです。コマンドをマスターサーバーではなくメディアサーバー上で実行する場合、そのメディアサーバーのマスターサーバーがデフォルトです。
- -nodelete
このオプションを指定すると、バックアップはイメージカタログから削除されますが、ディスクストレージからは削除されません。ディスクグループをマスターサーバーからデポートし、そのディスクグループを別のマスターサーバーにインポートする場合、このオプションを使用します。
- -notimmediate
このオプションを指定すると、ディスク上のイメージが期限切れになった後、bpexpdate による nbdelete コマンドの呼び出しが行われません。一度に多数のイメージを削除する場合、-notimmediate を使用すると、nbdelete 処理で複数のジョブが作成されることによって発生するオーバーヘッドを回避できます。nbdelete コマンドは後で実行できます。
- -policy name
このオプションでは、ポリシー名を指定します。これは、-recalculate オプションと同時に指定する場合に有効です。ポリシー名を指定した場合、このポリシーで作成されたすべてのバックアップの保持レベルに基づいて、有効期限が再計算されます。
- -recalculate
バックアップの有効期限を、指定した保持レベルに基づいて変更できます。また、新しい有効期限を指定することもできます。このオプションは、-d オプションまたは -ret と一緒に指定する必要があります。保持レベルに従って有効期限を変更する場合、新しい日付はバックアップの作成日に保持レベルの値を加えた値に基づきます。1 つのバックアップ、または特定のクライアント、ポリシーまたはスケジュールのすべてのバックアップに対して、有効期限を変更できます。
バックアップがリムーバブルメディアに存在し、コマンドで指定した有効期限が現在の有効期限を越える日時の場合、メディアカタログの有効期限も変更されます。
- -ret retention_level
このオプションでは、有効期限を再計算するときに使用する保持レベルを指定します。これは、-recalculate オプションと同時に指定する場合に有効です。レベルは 0 から 100 までの間です。新しい有効期限は、バックアップの作成日にこの保持レベルを足した日付です。このオプションは、-backupid または -policy と一緒に指定する必要があります。
メモ:
このコマンドを NetBackup 8.0 以前のメディアサーバーで実行する場合、0 から 24 の間でのみ保持レベルを指定することができます。
- -sched type
このオプションでは、スケジュール形式を指定します。これは、-recalculate オプションと同時に指定する場合に有効です。形式を指定すると、このスケジュール形式で作成されたすべてのバックアップの保持レベルに基づいて、有効期限が再計算されます。形式は、次のように数値で入力します。
0 = 完全バックアップ
1 = 差分増分バックアップ
2 = ユーザーバックアップ
3 = ユーザーアーカイブ
4 = 累積増分
-policy オプションは、-sched と同時に指定する必要があります。
注意事項
いくつかのオプションでは、大規模な環境において、バックアップを完了するまでに長時間かかる場合があります。変更によってバックアップまたはメディアの期限が切れた場合、その変更は取り消すことができません。このコマンドを実行してエラーが発生した場合、バックアップのインポートや、以前のバージョンのカタログのリカバリを実行する必要があります。
例
例 1 - マスターサーバー上で次のコマンドを実行すると、メディアカタログからメディア ID BU0002 が削除されます。Media Manager カタログのメディア ID の割り当てが解除されます。また、イメージカタログ内の関連付けられたイメージレコードも期限切れになります。
# bpexpdate -m BU0002 -d 0
例 2 - backupid
が eel_0904219764 のコピー 2 の有効期限が変更されます。バックアップのコピー 1 の有効期限は変更されません。
# bpexpdate -backupid eel_0904219764 -d 12/20/2012 08:00:00 -copy 2
例 3 - イメージカタログからバックアップが削除されます。-copy オプションを指定していないため、すべてのコピーが削除されます。
# bpexpdate -backupid eel_0904219764 -d 0
例 4 - ホスト cat
のメディアカタログ内に、割り当てられていても、有効なバックアップを含まないメディアが存在するかどうかを確認できます。コマンドはカタログからそのようなメディアを削除し、Media Manager のカタログの割り当てから解除します。
# bpexpdate -deassignempty -host cat
例 5 - 日付 10/31/2012 に対してバックアップ ID 1234 の有効期限を計算し直します。
# bpexpdate -recalculate -backupid 1234 -d 10/31/12
例 6 - 保持レベルに基づいてバックアップ ID 1234 の有効期限を計算し直します。新しい保持レベルは 4 で、2 カ月です (デフォルト値)。バックアップ ID 1234 は 2 カ月で期限切れになるようにスケジュールされています。
# bpexpdate -recalculate -backupid 1234 -ret 4
ファイル
UNIX システムの場合:
/usr/openv/netbackup/logs/admin/* /usr/openv/netbackup/db/media/* /usr/openv/netbackup/db/images/*
Windows システムの場合:
install_path\NetBackup\logs\admin\* install_path\NetBackup\db\media\* nstall_path\NetBackup\db\images\*