NetBackup™ 重複排除ガイド
- NetBackup メディアサーバー重複排除オプションの概要
- クイックスタート
- 配備の計画
- MSDP ストレージと接続性の必要条件について
- NetBackup メディアサーバー重複排除について
- NetBackup Client Direct の重複排除について
- MSDP リモートオフィスのクライアントの重複排除について
- MSDP のパフォーマンスについて
- MSDP のストリームハンドラについて
- MSDP の配置のベストプラクティス
- ストレージのプロビジョニング
- 重複排除のライセンス
- 重複排除の構成
- 重複排除マルチスレッドエージェントの動作の構成
- MSDP フィンガープリントのキャッシュ動作の構成
- ストレージサーバーでの MSDP フィンガープリントキャッシュのシードの構成
- NetBackup KMS サービスを使用した MSDP 暗号化について
- メディアサーバー重複排除プールのストレージサーバーの構成
- 重複排除のディスクプールの構成
- [メディアサーバー重複排除プール (Media Server Deduplication Pool)]ストレージユニットの構成
- 同じドメイン内での MSDP の最適化複製について
- 同じ NetBackup ドメインでの MSDP 最適化複製の構成
- 異なる NetBackup ドメインへの MSDP レプリケーション設定
- NetBackup 自動イメージレプリケーションについて
- リモートドメインへの MSDP レプリケーションに対するターゲットの構成
- ストレージライフサイクルポリシーの作成
- 耐性ネットワークのプロパティ
- MSDP pd.conf ファイルの編集
- MSDP カタログの保護について
- MSDP カタログバックアップの設定
- 変更不可および削除不可のデータの NetBackup WORM ストレージサポートについて
- MSDP クラウドのサポート
- MSDP クラウドのサポートについて
- クラウド領域の再利用
- クラウド LSU のディザスタリカバリについて
- MSDP クラウドを使用したイメージ共有について
- MSDP クラウド変更不可 (WORM) ストレージのサポートについて
- AWS S3 の変更不可オブジェクトのサポートについて
- AWS S3 互換プラットフォームでの変更不可オブジェクトのサポートについて
- Azure Blob Storage の変更不可ストレージのサポートについて
- MSDP の S3 インターフェース
- 重複排除アクティビティの監視
- 重複排除の管理
- MSDP サーバーの管理
- NetBackup Deduplication Engine クレデンシャルの管理
- メディアサーバー重複排除プールの管理
- MSDP データ整合性チェックの動作の構成
- MSDP ストレージのリベースについて
- MSDP のリカバリ
- MSDP ホストの置換
- MSDP のアンインストール
- 重複排除アーキテクチャ
- ユニバーサル共有の構成と使用
- 取り込みモードの使用
- オブジェクトストアを使用したユニバーサル共有の有効化
- 分離リカバリ環境 (IRE) の構成
- NetBackup 重複排除シェルの使用
- 重複排除シェルからのユーザーの管理
- 重複排除シェルからの証明書の管理
- 重複排除シェルからの NetBackup サービスの管理
- 重複排除シェルからの NetBackup サービスの監視およびトラブルシューティング
- トラブルシューティング
- 統合ログについて
- レガシーログについて
- MSDP インストールの問題のトラブルシューティング
- MSDP 構成の問題のトラブルシューティング
- MSDP 操作上の問題のトラブルシューティング
- 複数ドメインの問題のトラブルシューティング
- 付録 A. MSDP ストレージへの移行
- 付録 B. Cloud Catalyst から MSDP ダイレクトクラウド階層化への移行
- 付録 C. Encryption Crawler
Encryption Crawler の管理
Encryption Crawler を管理するには、crcontrol コマンドを使用します。次の表に、Encryption Crawler の動作を管理するために使用するオプションを示します。
表: crcontrol コマンドオプション
オプション |
説明 |
---|---|
--encconverton |
Encryption Crawler プロセスを有効にして開始するには、--encconverton [num] を使用します。 num 変数は省略可能で、パーティションインデックスの数 (1 から開始) を示します。このパラメータにより、指定した MSDP パーティションに対して Encryption Crawler が有効になります。 num を指定しない場合、すべての MSDP パーティションに対して有効になります。
|
--encconvertoff |
Encryption Crawler プロセスを無効にして停止するには、--encconvertoff [num] を使用します。 num 変数は省略可能で、パーティションインデックスの数 (1 から開始) を示します。このパラメータにより、指定した MSDP パーティションに対して Encryption Crawler が有効になります。 num を指定しない場合、すべての MSDP パーティションに対して無効になります。
|
--encconvertlevel |
グレースフルモードとアグレッシブモードを切り替えるには、--encconvertlevel level を使用します。 level は必須です。
|
--encconvertstate |
Encryption Crawler プロセスのモードと進捗状況を決定するには、--encconvertstate [verbose] を使用します。 必要に応じ、このオプションには詳細レベル (0 から 2) を指定できます。
|
crcontrol について詳しくは、次を参照してください。
Encryption Crawler を有効にすると、crcontrol --encconvertstate コマンドを使用して、状態、モード、進捗状況を監視できます。
表: Encryption Crawler モニター
項目 |
説明 |
---|---|
状態 (Status) |
Encryption Crawler の状態 (オン、オフ、完了) を示します。 |
レベル (Level) |
Encryption Crawler のレベルとモードを示します。値は「モード (レベル)」の形式で表されます (例: グレースフル (1))。 |
ビジー (Busy) |
Encryption Crawler がビジー状態かどうかを示します。 |
最大グループ ID (Max Group ID) |
Encryption Crawler がオンの場合に処理するコンテナグループ ID の最大値。これはデータ境界であり、Encryption Crawler がオンになると変更されることはありません。 |
現在のグループ ID (Current Group ID) |
現在処理しているグループ ID を示します。 |
現在のコンテナ ID (Current Container ID) |
現在処理しているコンテナ ID を示します。 |
コンテナの推定数 (Containers Estimated) |
Encryption Crawler が処理する必要がある、MSDP プール内のデータコンテナの推定数。これは統計情報であり、パフォーマンス上の理由により正確でない場合があります。この値は、Encryption Crawler をオンにした後は更新されません。 |
スキャンされたコンテナの数 (Containers Scanned) |
Encryption Crawler が処理する必要があるデータコンテナの数。 |
変換されたコンテナの数 (Containers Converted) |
Encryption Crawler のプロセスで暗号化されたコンテナの数。 |
スキップされたコンテナの数 (Containers Skipped) |
Encryption Crawler がスキップしたデータコンテナの数。理由はさまざまであり、「スキップされたデータコンテナについて」で説明されています。 スキップされたデータコンテナがある場合は、Encryption Crawler ログまたは履歴ログで詳細を確認できます。encryption_reporting ツールは、Encryption Crawler プロセスの完了後、個々のコンテナをレポートして暗号化するのに役立ちます。この encryption_reporting ツールの詳細情報が利用可能です。 データの暗号化を参照してください。 コマンドの使用の出力例を参照してください。 |
スキャンされたデータのサイズ (Data Size Scanned) |
[スキャンされたコンテナの数 (Containers Scanned)]のスキャン済みデータコンテナのデータサイズの合計。 |
変換されたデータのサイズ (Data Size Converted) |
[変換されたコンテナの数 (Containers Converted)]の変換済みデータコンテナのデータサイズの合計。 |
進捗状況 (Progress) |
Encryption Crawler がスキャンしたデータコンテナの推定合計数の割合。 進捗状況 = スキャンされたコンテナの数 / コンテナの推定数 |
変換率 (Conversion Ratio) |
Encryption Crawler が変換した、スキャン済みデータのサイズの割合。 変換率 = 変換されたデータのサイズ / スキャンされたデータのサイズ |
マウントポイントの情報 (Mount Points Information) |
各マウントポイントの状態。 --encconvertstate オプションに詳細度を示す値 1 を指定すると、未完了のマウントポイントの詳細が出力されます。 --encconvertstate オプションに詳細度を示す値 2 を指定すると、完了状態に関係なく、すべてのマウントポイントの詳細が出力されます。 |
ログの進捗状況行を使用すると、Encryption Crawler の所要時間を推定できます。たとえば、プールの 3.3% が 24 時間で完了している場合、プロセスの完了には約 30 日かかります。
メモ:
Encryption Crawler は、新しいものから順にデータコンテナを処理します。
暗号化の適用後に新しいデータをバックアップすることは可能ですが、Encryption Crawler を有効にする前に行ってください。この場合、新しいデータコンテナの[変換率 (Conversion Ratio)]が最初は 99% 未満になることがあります。プロセスの実行中は、[変換率 (Conversion Ratio)]の値が高くなることがあります。これは、暗号化されていないデータが、古いデータコンテナの方に多く存在する可能性があるためです。このような場合、[変換率 (Conversion Ratio)]、[変換されたコンテナの数 (Containers Converted)]、[コンテナの推定数 (Containers Estimated)]を参照すると、これらのデータコンテナの処理にかかる時間を推定するのに役立ちます。
Encryption Crawler が有効なときに[変換率 (Conversion Ratio)]の変化を監視すると、暗号化されていないデータの割合がわかることがあります。
メモ:
暗号化プロセスの間、進捗状況は MSDP が再起動しても続きます。
[スキップされたコンテナの数 (Containers Skipped)]が示すように Encryption Crawler が一部のデータコンテナをスキップするのは、次のような理由からです。
データコンテナが期限切れになるがまだ削除されていない場合、そのデータコンテナはスキップされます。
データコンテナにデータ整合性の問題の可能性がある場合、そのデータコンテナはスキップされます。Encryption Crawler はコンテナを CRC チェックプロセスに伝えてコンテナを識別し、場合によってはコンテナを修正します。
インスタントアクセスまたはユニバーサル共有が構成されており、Encryption Crawler プロセスの前に一部の共有にチェックポイントが作成されていない場合、その共有が、排他的な権限付きでデータコンテナをいくつか保持することがあります。このようなデータコンテナはスキップされます。Veritas では、Encryption Crawler プロセスをオンにする前に、インスタントアクセスまたはユニバーサル共有のすべての共有について、チェックポイントを作成することをお勧めしています。そうすることで、VpFS はこれらのデータコンテナの排他的な権限を解放し、spoold と Encryption Crawler で処理できるようになります。
3.1.2 リリース以降のアプライアンスは、インスタントアクセスまたはユニバーサル共有が構成されている場合でも、VpFS root 共有
vpfs0
が予約する空のデータコンテナを所有する場合があります。この状況は、インスタントアクセスまたはユニバーサル共有が構成されている BYO 設定でも発生する可能性があります。通常、VpFS はこのようなデータコンテナの排他的な権限を解放しません。このようなデータコンテナはスキップされます。スキップされたこれらのコンテナは無視できます。スキップされたデータコンテナが空かどうか、および VpFS root 共有
vpfs0
がそれらを所有しているかどうかを確認する方法は次のとおりです。VpFS が所有する他のデータコンテナも同様の方法で確認できます。VpFS が所有していると判定され、スキップされたデータコンテナは、Encryption Crawler ログの次の箇所で見つけることができます。
n152-h21:/home/maintenance # grep VpFS /msdp/data/dp1/pdvol/log/spoold/enccrawler.log
February 04 05:13:14 WARNING [139931343951616]: -1: __getDcidListFromOneGroup: 1 containers owned by VpFS in group 7 were skipped. min DC ID 7168, max DC ID 7168
VpFS root 共有
vpfs0
がデータコンテナを所有しているかどうかを確認します。
n152-h21:/home/maintenance # cat /msdp/data/dp1/4pdvol/7/.shareid vpfs0 106627568
VpFS root 共有
vpfs0
が所有するデータコンテナは空です。n152-h21:/home/maintenance # ls -Al /msdp/data/dp1/4pdvol/7 total 24 -rw-r--r-- 1 root root 64 Feb 1 02:40 7168.bhd -rw-r--r-- 1 root root 0 Feb 1 02:40 7168.bin -rw------- 1 root root 12 Feb 1 02:40 .dcidboundary -rw-r----- 1 root root 15 Feb 1 02:40 .shareid drwxr-xr-x 3 root root 96 Feb 4 15:37 var n152-h21:/home/maintenance # /usr/openv/pdde/pdcr/bin/dcscan 7168 Path = /msdp/data/dp1/4pdvol/7/7168.[bhd, bin] *** Header for container 7168 *** version : 1 flags : 0x4000(DC_ENTRY_SHA256) data file last position : 0 header file last position : 64 source id : 0 retention : 0 file size : 0 delete space : 0 active records : 0 total records : 0 deleted records : 0 crc32 : 0x1d74009d