Veritas NetBackup™ Appliance 容量計画とパフォーマンスチューニングガイド
- このマニュアルについて
- 第 I 部 容量計画
- 第 II 部 ベストプラクティス
- 第 III 部 パフォーマンスチューニング
- 第 IV 部 容量計画とパフォーマンスチューニングのクイックリファレンス
RAID コントローラ操作
RAID コントローラは、アプライアンスのパフォーマンスに非常に重要な役割を担っています。 RAID コントローラで実行される操作は数多くあり、それらはディスクのパフォーマンスに多大な影響を与える場合があります。このセクションではそれらについて分析を行います。 表: RAID コントローラ操作 に、RAID コントローラが実行する RAID プロセスと、アプライアンスのパフォーマンスに与える影響を示します。
表: RAID コントローラ操作
RAID プロセス | 説明 | ガイドライン |
---|---|---|
RAID の再構築プロセス | NetBackup 52xx Appliance のディスクストレージは、RAID6 を使用して保護されており、各シェルフでホットスペアディスクが使用できます。ディスク障害が発生すると、ホットスペアディスクを使用してそのデータディスクが交換され、RAID の再構築プロセスが初期化されます。 | RAID の再構築は、非常に多くのディスク I/O と RAID コントローラのリソースを必要とします。 アプライアンスで 2TB と 3TB のハードディスクを使用しているため、移動するデータ量は非常に多く、大量の RAID 計算が実行されます。 このリソースを大量に消費する操作により、アプライアンスのパフォーマンスは大幅に低下し、ほとんどのアプライアンス操作に影響を及ぼします。とりわけ大きな影響を受けるのは、パフォーマンスをディスク I/O に大きく依存しているテープ出力、復元や AdvancedDisk の操作です。 RAID 再構築の実行中に、 バックアップ、復元、テープ出力などの負荷がアプライアンスにかかると、RAID の再構築にかかる時間が大幅に増えます。 |
BBU 学習サイクル メモ: このプロセスは、NetBackup 5220 バックアップアプライアンスにのみ適用されます。 | NetBackup 5220 バックアップアプライアンスでは、BBU (Li-ion Battery Backup Unit、リチウムイオンバッテリのバックアップユニット) を使用して、電源が完全に失われた場合に、RAID コントローラの書き込みキャッシュを保護します。 何らかの理由で BBU が稼働していない場合、RAID コントローラは書き込みキャッシュをオフにします (ライトスルーにします)。これにより、アプライアンスのディスク I/O は大幅に低下し、アプライアンス上のすべての操作のパフォーマンスに影響を及ぼします。 | 放電から再充電までの完全なサイクルを BBU 学習サイクルが完了するには、通常 3、4 時間ほどかかります。 アプライアンスの状態は、バッテリが学習サイクルを通過していることを示します。 このパフォーマンス低下は避けられませんが、30 日に 1 度しか発生しない頻度の低いイベントなので、高いパフォーマンスを必要とする操作はこれを避けるように計画します。 RAID が再構築プロセスを経る場合は、BBU 学習サイクルのスケジュールを変更して、RAID 再構築でのパフォーマンス低下を避けることを推奨します。 これはカスタマーサポート契約によって行うことができます。 サポートに連絡すると、次の BBU 学習サイクルまでの時間を設定できます。 サポートチームは、前回のアプライアンスの再起動から数えて、次の BBU 学習サイクルまでの秒数の設定を支援します。 この方法はそれほど正確ではありませんが、ある種の予測可能性を可能にし、この時間帯にアプライアンスで高パフォーマンスの操作を計画的に行えるようにすることができます。 BBU 学習サイクルクロックの設定について詳しくは、技術メモ TECH204348 を参照してください。 |
RAID の一貫性チェック | これは RAID コントローラのすべての LUN で 30 日ごとに実行される、定期的な一貫性チェック操作です。 このチェックは、RAID グループの一貫性が損なわれていないことを確認するのに役立ちます。 | これはディスク I/O 操作のパフォーマンスに影響を及ぼすことがありますが、BBU 学習サイクルほどではありません。 一貫性チェック操作が行われると、デフォルトのリソース利用率は 30% に制限されます。 パフォーマンスの負荷が高いときに、一貫性チェックが重ならないようにします。 たとえば、NetBackup 5220 バックアップアプライアンスでの BBU 学習サイクルが一貫性チェックと重なると、一貫性チェックのパフォーマンスが大幅に低下します。 これらの操作は別々にスケジュールすることを推奨します。 |
RAID のパトロールリード | RAID のパトロールリードは、メディアエラーがないか物理ハードディスクをチェックします。 この操作は 7 日ごとに実行するようにスケジュールされており、少数の物理ディスクで同時に実行されます。 | パトロールリードは同時に実行するディスクが少数に限定されているため、パフォーマンスに大きな影響は及ぼしませんが、チェック対象ディスクのディスク I/O には影響します。 パトロールリードが他の保守やリカバリ操作と重ならないようにすることがベストプラクティスです。 |