Veritas NetBackup™ Appliance 容量計画とパフォーマンスチューニングガイド

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  1. このマニュアルについて
    1.  
      このマニュアルについて
    2.  
      対象読者について
    3.  
      NetBackup アプライアンスのマニュアルについて
  2. 第 I 部 容量計画
    1. バックアップ要件の分析
      1. バックアップ要件の分析
        1.  
          何のバックアップを作成しますか。
        2.  
          どれだけの量のデータをバックアップしますか。
        3.  
          いつバックアップを行いますか。
        4.  
          保持期間の長さはどの程度ですか。
        5. バックアップ要件を記録する
          1.  
            コンピュータのシステム情報を記録するテンプレート
          2.  
            データベース情報を記録するテンプレート
          3.  
            アプリケーションサーバー情報を記録するテンプレート
    2. バックアップシステムの設計
      1.  
        企業向けバックアップシステムのユースケースの対応
      2.  
        リモートオフィスまたは支店のバックアップシステムのユースケースへの対応
      3. NetBackup Appliance について
        1.  
          マスターサーバーの役割について
        2.  
          メディアサーバーの役割について
      4.  
        NetBackup 53xx 高可用性ソリューションについて
      5. 新しいアプライアンスの選択
        1.  
          メディアサーバーの選択
        2.  
          マスターサーバーの選択
  3. 第 II 部 ベストプラクティス
    1. ベストプラクティスセクションについて
      1.  
        ベストプラクティスについて
      2.  
        メンテナンスサイトへの参照
    2. 重複排除ソリューションの実装について
      1.  
        重複排除ソリューションの実装について
      2.  
        一般的な推奨事項
      3.  
        Oracle
      4.  
        Microsoft SQL
      5.  
        DB2
      6.  
        Sybase
      7.  
        Lotus Notes
    3. ネットワークに関する注意事項
      1.  
        ネットワークに関する注意事項について
      2.  
        ファイバーチャネル接続について
      3. SAN ゾーンの設定について
        1.  
          NetBackup Appliance 用の SAN のゾーン化について
      4.  
        ネットワーク帯域幅の検証
    4. ストレージ構成
      1.  
        ストレージの構成概要
      2. 共有ストレージプールの構成について
        1.  
          バックアップの基本ストリーム数の計算
      3. パフォーマンス向上のためのストレージパーティションの移動について
        1. パーティションの移動
          1.  
            [<partition> の移動 (Move <partition>)]ダイアログ
        2.  
          NetBackup Appliance Shell Menu を使用したパーティションの移動
        3.  
          最適なパフォーマンスのために、MSDP パーティションをベースディスクから拡張ディスクに移動する
    5. 一般的なベストプラクティス
      1.  
        一般的なベストプラクティス
      2.  
        通知設定について
      3.  
        IPMI 構成について
      4.  
        ディザスタリカバリのベストプラクティス
      5.  
        ジョブのパフォーマンス
      6.  
        アーキテクチャ
      7.  
        NetBackup カタログのバックアップ
      8.  
        SLP (Storage Lifecycle Policy、ストレージライフサイクルポリシー) によるパッチ修正
      9.  
        アプライアンスを使った VMware バックアップ
      10.  
        NetBackup Appliance のリストアパフォーマンスの向上
  4. 第 III 部 パフォーマンスチューニング
    1. 役割ベースのパフォーマンスの監視
      1.  
        パフォーマンスに影響する要因としてのロールベースの設定
      2.  
        マスターサーバーのパフォーマンスに影響するもの
      3.  
        メディアサーバー (MSDP) のパフォーマンスに影響するもの
    2. ネットワーク設定の最適化とパフォーマンスの改善
      1.  
        ネットワーク設定の最適化とパフォーマンスの改善
      2.  
        SAN ファイバーチャネルの設定
      3.  
        ネットワーク結合
      4.  
        VMware VADP
      5.  
        増加した MTU に対するジャンボフレームの実装
    3. ストレージ構成
      1.  
        ストレージ構成
      2.  
        重複排除のディスク I/O と RAID レベルの設定
      3. RAID コントローラ操作
        1.  
          RAID コントローラコマンド
      4.  
        重複排除の負荷分散
      5.  
        ストレージライフサイクルポリシー
      6.  
        自動イメージレプリケーション (AIR)
      7.  
        AdvancedDisk の設定
      8.  
        テープ出力操作
    4. NetBackup Appliance のチューニング手順とパフォーマンスの監視
      1. パフォーマンスの診断に関する問題について
        1.  
          CPU の監視と調整について
        2.  
          メモリの監視と調整について
        3.  
          ネットワークの監視と調整について
        4.  
          I/O の監視と調整について
        5.  
          リソースのボトルネックを特定するための一般的なガイドライン
      2. パフォーマンスチューニングプラクティスについて
        1.  
          I/O パフォーマンス調整について
        2.  
          Oracle のバックアップとリストアのパフォーマンス調整について
        3.  
          WAN の最適化パフォーマンスの向上のための NetBackup クライアントでの NET_BUFFER_SZ の設定
      3. チューニング手順とパフォーマンスの監視について
        1. NetBackup クライアントのパフォーマンス
          1.  
            nbperfchk を使って NetBackup Appliance のディスクパフォーマンスを検証する
        2.  
          他のパフォーマンス監視コマンド
  5. 第 IV 部 容量計画とパフォーマンスチューニングのクイックリファレンス
    1. 容量計画のチェックリスト
      1.  
        容量計画のためのチェックリスト
      2.  
        容量測定のワークシート
    2. ベストプラクティスのチェックリスト
      1.  
        ベストプラクティスのチェックリスト
    3. アプライアンスのパフォーマンスの監視方法
      1.  
        アプライアンスのパフォーマンスの監視について
      2.  
        パフォーマンス監視表

RAID コントローラ操作

RAID コントローラは、アプライアンスのパフォーマンスに非常に重要な役割を担っています。 RAID コントローラで実行される操作は数多くあり、それらはディスクのパフォーマンスに多大な影響を与える場合があります。このセクションではそれらについて分析を行います。 表: RAID コントローラ操作 に、RAID コントローラが実行する RAID プロセスと、アプライアンスのパフォーマンスに与える影響を示します。

表: RAID コントローラ操作

RAID プロセス

説明

ガイドライン

RAID の再構築プロセス

NetBackup 52xx Appliance のディスクストレージは、RAID6 を使用して保護されており、各シェルフでホットスペアディスクが使用できます。ディスク障害が発生すると、ホットスペアディスクを使用してそのデータディスクが交換され、RAID の再構築プロセスが初期化されます。

RAID の再構築は、非常に多くのディスク I/O と RAID コントローラのリソースを必要とします。 アプライアンスで 2TB と 3TB のハードディスクを使用しているため、移動するデータ量は非常に多く、大量の RAID 計算が実行されます。

このリソースを大量に消費する操作により、アプライアンスのパフォーマンスは大幅に低下し、ほとんどのアプライアンス操作に影響を及ぼします。とりわけ大きな影響を受けるのは、パフォーマンスをディスク I/O に大きく依存しているテープ出力、復元や AdvancedDisk の操作です。

RAID 再構築の実行中に、 バックアップ、復元、テープ出力などの負荷がアプライアンスにかかると、RAID の再構築にかかる時間が大幅に増えます。

BBU 学習サイクル

メモ:

このプロセスは、NetBackup 5220 バックアップアプライアンスにのみ適用されます。

NetBackup 5220 バックアップアプライアンスでは、BBU (Li-ion Battery Backup Unit、リチウムイオンバッテリのバックアップユニット) を使用して、電源が完全に失われた場合に、RAID コントローラの書き込みキャッシュを保護します。 何らかの理由で BBU が稼働していない場合、RAID コントローラは書き込みキャッシュをオフにします (ライトスルーにします)。これにより、アプライアンスのディスク I/O は大幅に低下し、アプライアンス上のすべての操作のパフォーマンスに影響を及ぼします。

放電から再充電までの完全なサイクルを BBU 学習サイクルが完了するには、通常 3、4 時間ほどかかります。 アプライアンスの状態は、バッテリが学習サイクルを通過していることを示します。 このパフォーマンス低下は避けられませんが、30 日に 1 度しか発生しない頻度の低いイベントなので、高いパフォーマンスを必要とする操作はこれを避けるように計画します。

RAID が再構築プロセスを経る場合は、BBU 学習サイクルのスケジュールを変更して、RAID 再構築でのパフォーマンス低下を避けることを推奨します。 これはカスタマーサポート契約によって行うことができます。

サポートに連絡すると、次の BBU 学習サイクルまでの時間を設定できます。 サポートチームは、前回のアプライアンスの再起動から数えて、次の BBU 学習サイクルまでの秒数の設定を支援します。 この方法はそれほど正確ではありませんが、ある種の予測可能性を可能にし、この時間帯にアプライアンスで高パフォーマンスの操作を計画的に行えるようにすることができます。

BBU 学習サイクルクロックの設定について詳しくは、技術メモ TECH204348 を参照してください。

RAID の一貫性チェック

これは RAID コントローラのすべての LUN で 30 日ごとに実行される、定期的な一貫性チェック操作です。 このチェックは、RAID グループの一貫性が損なわれていないことを確認するのに役立ちます。

これはディスク I/O 操作のパフォーマンスに影響を及ぼすことがありますが、BBU 学習サイクルほどではありません。 一貫性チェック操作が行われると、デフォルトのリソース利用率は 30% に制限されます。

パフォーマンスの負荷が高いときに、一貫性チェックが重ならないようにします。 たとえば、NetBackup 5220 バックアップアプライアンスでの BBU 学習サイクルが一貫性チェックと重なると、一貫性チェックのパフォーマンスが大幅に低下します。 これらの操作は別々にスケジュールすることを推奨します。

RAID のパトロールリード

RAID のパトロールリードは、メディアエラーがないか物理ハードディスクをチェックします。 この操作は 7 日ごとに実行するようにスケジュールされており、少数の物理ディスクで同時に実行されます。

パトロールリードは同時に実行するディスクが少数に限定されているため、パフォーマンスに大きな影響は及ぼしませんが、チェック対象ディスクのディスク I/O には影響します。

パトロールリードが他の保守やリカバリ操作と重ならないようにすることがベストプラクティスです。