Veritas NetBackup™ Appliance 容量計画とパフォーマンスチューニングガイド
- このマニュアルについて
- 第 I 部 容量計画
- 第 II 部 ベストプラクティス
- 第 III 部 パフォーマンスチューニング
- 第 IV 部 容量計画とパフォーマンスチューニングのクイックリファレンス
メディアサーバー (MSDP) のパフォーマンスに影響するもの
専用 MSDP メディアサーバーとしての NetBackup 52xx Appliance は、最も一般的な配備タイプです。この種類のシナリオでは、メディアサーバーのパフォーマンスに影響する多くの要因があります。
パフォーマンスに違いをもたらす主要な要因となりうる、2 種類の特徴的な重複排除シナリオを示します。
NetBackup クライアントの重複排除
このシナリオでは、NetBackup クライアントが重複排除作業の一部を実行します。 NetBackup クライアントは統合重複排除プラグインでバックアップデータを処理し (データをセグメント化し、フィンガープリントを作成)、データベース検索のため NetBackup Appliance に生成されたフィンガープリントを送信します。 この活動により、クライアントへの負荷を最小にしながらアプライアンスの作業負荷を減らし、LAN を介して NetBackup クライアントから NetBackup Appliance に送信されるデータの量を削減できます。
NetBackup メディアサーバーの重複排除
メディアサーバー型の重複排除ではサーバー CPU もフィンガープリント操作を実行するため、クライアント型の重複排除よりもアプライアンスの作業負荷がはるかに大きくなります。 メディアサーバーの重複排除はリソース消費が多い作業のため、リソース消費の多いほかの操作を同時に実行するとパフォーマンスに大きく影響します。 パフォーマンスに関して中心的な役割を担うのはアプライアンス CPU コアであり、その後に RAM とディスク I/O が続きます。
表: メディアサーバーのパフォーマンスに影響するパラメータ
このロールに対して実行される処理 | 処理によって使われる、または影響を受けるリソース | 処理を最適に実行するために活用できる NetBackup 52xx の機能 | コメント |
---|---|---|---|
どちらのタイプの重複排除シナリオも、標準的な重複排除負荷の単純化されたワークフローは次のタスクから成ります。
| 説明した重複排除により、次のシステムリソースに負荷がかかります。
| Intel Xeon クアッドコア CPU を搭載した NetBackup 5220 Backup Appliance と、最新世代の Intel Xeon ヘキサコア (6 コア) CPU を搭載した NetBackup 5230 は、強力な処理機能を提供します。 8 コアの Intel Xeon CPU を搭載した NetBackup 5240 は、強力な処理機能を提供します。 | リソースの輻輳を避けるため、データ復元の実行中はほかの処理を並列して実行しないようにしてください。 POC 計画中はクライアントデータの量を考慮する必要があります。これは、アプライアンスファイルシステムがいっぱいになり、その結果バックアップとリストアのパフォーマンスが低下することを防ぐためです。 アプライアンスのすべての主要なサブシステム (CPU、RAM、ディスク) は、重複排除のパフォーマンスの面で重要な役割を果たします。 メディアサーバーの重複排除よりも CPU への負荷が小さいクライアント型の重複排除を実行することをお勧めしますが、空きメモリを使い果たさないよう注意深く検討する必要があります。 メモ: 特定のケースでは、メディアサーバーの重複排除よりもクライアント側の重複排除のほうが遅くなる可能性があります。 そのようなまれな例の 1 つに、SQL Server で動力が足リない場合の SQL Server トランザクションログのバックアップが挙げられます。 このようなケースはまれですが発生する可能性はあり、規則を証明する例外という点において言及されます。 |
スケジュールされたリベース 前もって決めたスケジュール (1 日 1 回) に従ってリベースが実行され、リストアのパフォーマンスを向上するために同じバックアップのセグメントがディスクで一緒にグループ化されます。 | リベースのような操作はパフォーマンスに非常に良い効果をもたらします。バックアップイメージセグメントがディスクで一緒にグループ化され、ディスク I/O スループットが改善します。 | 空き容量の利用率が 100 % に近づくにつれて、ファイルシステムのパフォーマンスが低下することに留意しておくことが重要です。 利用率の水準は 90% です。 | |
リストア リストア操作は、NetBackup MSDP で最もリソース消費が多い処理であるデータの完全復元を必要とします。 | NetBackup 52xx バックアップアプライアンスでは、複数のリストアストリームを使ってデータをリストアできます。 | ||
MSDP からのテープ出力 | テープ出力操作は非常にリソース消費の多い操作で、バックアップイメージの完全復元を必要とします。 テープ出力操作のパフォーマンスは、テープドライブが複数のストリームを処理する方法によって制限を受けます。 同時に複数のリストアストリームがある場合にアプライアンスパフォーマンスの恩恵を受けることができるリストア操作とは異なり、テープドライブは 1 つあたりで処理できるストリームが 1 つだけであるため、テープ出力のパフォーマンスが制限されます。 | I/O ストリーム数を推奨値である 96 に制限します。 [最大 I/O ストリーム数 (Max I/O streams)]テキストボックスのストレージユニットのプロパティで設定できます。 | |
CRQP (Content Router Queue Processing) フィンガープリントデータベース (CRDB) のトランザクションログ (tlogs) を処理する、MSDP の通常の保守操作の 1 つです。 この操作は重複排除ストレージプールの保守に必要で、1 日 2 回実行されるようスケジュールされています。 | CRQP 活動中、10% から 20% の範囲 (処理する tlogs の量によって異なります) でディスク I/O と CPU/RAM リソースに影響があります。これは、CRQP と同時に高パフォーマンスのタスクを実行する予定の場合に考慮する必要があります。 CRQP 活動の詳細はスプールログ | ||
初期最適化複製 | 初期最適化複製はリソース消費の多い処理で、オペレーティングシステムに負荷がかかります。 バックアップと同時に実行すると、重複排除のパフォーマンスに重大な影響を与えます。 |
マスターサーバーのパフォーマンスに影響するものを参照してください。