Enterprise Vault™ SMTP アーカイブの設定
- このマニュアルについて
- Enterprise Vault SMTP アーカイブの概要
- SMTP アーカイブのインストール
- SMTP アーカイブの設定
- SMTP グループまたは SMTP メールボックスジャーナル用のユーザーのプロビジョニング
- SMTP ダッシュボードの使い方
- PowerShell cmdlet
- 付録 A. ターゲットアドレスの書き換えの設定
X-Kvs X-Header について
このセクションでは、サードパーティ製のアプリケーションや MTA がメッセージに追加してポリシーやターゲットの設定を上書きできる特別な Enterprise Vault X-Header について説明します。これらの X-Header は「X-Kvs」から始まります。Enterprise Vault は「X-Kvs」のヘッダーを認識して処理します。ポリシープロパティの X-header 一覧にこれらを追加する必要はありません。
同じ X-Header の複数のインスタンスがメッセージに含まれる場合は、Enterprise Vault は最初のインスタンスのみを使用し、それ以外を無視します。
ポリシーの X-Header リストに追加する X-Header と同じように、Enterprise Vault はこれらの特別な X-Header の名前と値の大文字と小文字を区別します。
X-Kvs-ArchiveId はメッセージを格納するアーカイブの ID を示します。例: X-Kvs-ArchiveId: 160EEB78D4253BE40AA8EBEBA09C7DFEE1210000evserver1
このヘッダーを使うと、メッセージのターゲットアドレスに設定されているアーカイブとは異なるアーカイブを特定できます。
たとえば、メッセージはターゲットアドレスの journal1@example.com に送られますが、そのターゲットアドレスに設定されているアーカイブは journal1 です。X-Kvs-ArchiveId がメッセージに追加された場合、Enterprise Vault は、journal1 ではなく、X-Header で特定されたアーカイブにメッセージを保存します。
Enterprise Vault X-Header の X-Kvs-IndexData を使って、次の操作を実行できます。
1 つの X-Header に複数の値を追加します。標準 X-Header を使って追加できるのは、X-Header ごとに 1 つの値のみです。
1 つの X-Header に複数のカスタムインデックスプロパティおよびプロパティ値を追加します。
ヘッダー値は、XML を使って指定します。XML 要素、属性名、値の大文字と小文字は区別されます。
次に示す X-Kvs-IndexData の例では、複数の値を持つ X-Header の X-ExampleCorp-Dept を追加します。
X-Kvs-IndexData: <ARCHIVED_ITEM version="1.0"><PROPSET NAME="EVXHDR"> <PROP NAME=" X-ExampleCorp-Dept RESULTS="true" SEARCH="true"> <VALUE>Sales</VALUE><VALUE>Marketing</VALUE></PROP></PROPSET> </ARCHIVED_ITEM>
Enterprise Vault は予約済みのインデックスプロパティセット EVXHDR に X-Header を追加します。別のカスタムインデックスプロパティを追加する場合は、これらのプロパティに別のプロパティセットを指定する必要があります。カスタムインデックスプロパティに適したプロパティセット名は、会社名またはアプリケーション名などです。次のプロパティセット名は予約されています。
Vault
EnterpriseVault
EV で始まる任意のプロパティセット名 (EVXHDR など)
KVS
Veritas
次の例では、X-Kvs-IndexData を使って、Dept および Region の 2 つのカスタムインデックスプロパティをメッセージに追加します。
X-Kvs-IndexData: <ARCHIVED_ITEM version="1.0"><PROPSET NAME="ChatApp"> <PROP NAME="Dept" type="string" RESULTS="true" SEARCH="true">Sales</PROP> <PROP NAME="Region" type="string" RESULTS="true" SEARCH="true">EMEA</PROP> </PROPSET></ARCHIVED_ITEM>
この例では、2 つのカスタムインデックスプロパティのプロパティセット名に ChatApp というアプリケーション名が使われます。
最初のプロパティ ChatApp.Dept の値は「Sales」です。このプロパティは検索可能であり、取り込み可能です。
2 番目のプロパティ ChatApp.Region の値は「EMEA」です。このプロパティも検索可能であり、取り込み可能です。
次の例では、X-Kvs-IndexData を使って、複数の値を持つカスタムインデックスプロパティ ChatApp.Region を追加します。
X-Kvs-IndexData: <ARCHIVED_ITEM version="1.0"><PROPSET NAME="ChatApp"> <PROP NAME="Region" type="string" RESULTS="true" SEARCH="true"> <VALUE>USA</VALUE><VALUE>EMEA</VALUE><VALUE>ASIA</VALUE></PROP> </PROPSET></ARCHIVED_ITEM>
この例では、ChatApp.Region プロパティの値は「USA」、「EMEA」、「ASIA」です。このプロパティは検索可能であり、取り込み可能です。
ヘッダーサイズはできるだけ小さくすることをお勧めします。デフォルト値が必須である属性は、ヘッダー内で省略することができます。表: XML 属性のデフォルト値 に、XML 属性のデフォルト値を示します。
表: XML 属性のデフォルト値
属性 | デフォルト値 |
---|---|
RESULTS | "false" |
SEARCH | "true" |
type | "文字列" |
上記の例では、SEARCH のデフォルト値と type 属性は必須であるため、省略できます。
X-Kvs-IndexData: <ARCHIVED_ITEM version="1.0"><PROPSET NAME="ChatApp"> <PROP NAME="Region" RESULTS="true"><VALUE>USA</VALUE><VALUE>EMEA</VALUE> <VALUE>ASIA</VALUE></PROP></PROPSET></ARCHIVED_ITEM>
X-Kvs-IndexData を使って追加されたカスタムインデックスプロパティを検索する場合は、このプロパティを property_set_name.property_name (ChatApp.Region など) の形式で指定します。
X-Kvs-IndexData を使って追加された X-Header を検索する場合は、この X-Header を EVXHDR.X-Header_name (EVXHDR.X-ExampleCorp-Dept など) の形式で指定します。
アーカイブで特定の X-Header を含むメッセージを検索するを参照してください。
X-Kvs-IndexData ヘッダー内で指定した値については、次の点に注意してください。
XML 値は RFC 822 の構文規則に従って省略できます。
XML で国別文字を使うには、全体のヘッダー値を RFC 2047 の指定どおりにエンコードする必要があります。
次の例では、UTF-8 文字セットと BASE64 エンコードが使われている場合にヘッダー値がどのように表示されるかを示します。
X-Kvs-IndexData: =?UTF-8"?B?PEFSQ0hJVkVEX0lURU0+PFBST1BTRVQgTkFNRT0i Q2hhdEFwcCI+PFBST1AgTkFNRT0iRGVwdCI+PFZBTFVFPlNhbGVzPC9WQUxVRT48L1BS T1A+PC9QUk9QU0VUPjwvQVJDSElWRURfSVRFTT4=?=
XML の特定の単語のみをエンコードすることはできません。同様に、XML prolog でエンコードを指定することは適切ではありません。次に例を示します。
X-Kvs-IndexData: <ARCHIVED_ITEM version="1.0" encoding="UTF-8"> ... </ARCHIVED_ITEM>
X-Kvs-MessageType はメッセージの種類を識別します。例: X-Kvs-MessageType: Bloomberg
このヘッダーを使ってアーカイブ時に Enterprise Vault がメッセージに割り当てる Vault.MsgType プロパティの値が上書きされます。デフォルトでは、SMTP アーカイブを使用してメッセージをアーカイブする場合は、Enterprise Vault は値 SMTP.Mail を Vault.MsgType プロパティに割り当てます。
Vault.MsgType プロパティの値は、Discovery Accelerator などの検索アプリケーションで検索するメッセージのフィルタ処理に使用できます。たとえば、SMTP アーカイブを使って Bloomberg メッセージをアーカイブする場合には、メッセージの種類が Bloomberg として識別される必要があります。メッセージの種類が Bloomberg に設定されていない場合、メッセージは Bloomberg メッセージの Discovery Accelerator 検索に含まれません。
X-Kvs-OriginalLocation はメッセージに設定するコンテンツソース内の場所を識別します。元の場所はメッセージが存在するコンテンツソースのフォルダを示します。これは最上位レベルのフォルダの名前またはフォルダパスに設定できます。例: X-Kvs-OriginalLocation: CompanyA \ ProductB \ CustomerC
この X-Header をメッセージに追加して、メッセージに別のアーカイブフォルダを指定することができます。メッセージに上記のサンプル X-Header が含まれていて、ターゲットアーカイブの種類にフォルダが含まれている場合、タスクはメッセージを次の場所に格納します。
トップレベルフォルダ: CompanyA
サブフォルダ: ProductB
サブフォルダ: CustomerC
フォルダ構造が存在しない場合、メッセージを格納するとき、タスクによりフォルダが作成されます。
この X-Header が有効になるのは、ターゲットアーカイブの種類にフォルダが含まれている場合のみです。
SMTP ジャーナルと SMTP グループジャーナルでは、アーカイブの種類にフォルダを含めることができる場合、SMTP アーカイブタスクはメッセージを受信トレイにアーカイブします。メッセージに X-Kvs-OriginalLocation ヘッダーが含まれていて、アーカイブにフォルダを含めることができる場合、タスクは受信トレイでなく、X-Header で指定された場所にメッセージを格納します。
通常は、SMTP メールボックスジャーナルに使われるアーカイブの種類にフォルダを含めることができます (Exchange メールボックスアーカイブやインターネットメールアーカイブなど)。ターゲットアドレスが送信者、受信者、またはその両方であるかどうかに応じて、このタスクは受信トレイ、送信済みアイテムフォルダ、またはその両方にメッセージを格納します。メッセージに X-Kvs-OriginalLocation ヘッダーが含まれている場合、タスクは受信トレイや送信済みアイテムフォルダでなく、X-Header で指定された場所にメッセージを格納します。
X-Kvs-RetentionCategory は、メッセージに割り当てる保持カテゴリの ID を提供します。例: X-Kvs-RetentionCategory: 1505EB2CDB9C6AA44B30335E4A785F98C1b10000evserver1
このヘッダーを利用し、メッセージのターゲットアドレスに設定されている保持カテゴリとは異なる保持カテゴリを特定できます。
たとえば、メッセージはターゲットアドレスの journal1@example.com に送られ、そのターゲットアドレスに設定されている保持カテゴリは 7years です。X-Kvs-RetentionCategory がメッセージに追加された場合、Enterprise Vault は、7years ではなく、X-Header で特定された保持カテゴリを適用します。