NetBackup™ 管理者ガイド Vol. 1
- 第 I 部 NetBackup について
- 第 II 部 ホストの構成
- ホストプロパティの構成
- NetBackup の[ホストプロパティ (Host Properties)]について
- [アクセス制御 (Access Control)]プロパティ
- [帯域幅 (Bandwidth)]プロパティ
- [ビジー状態のファイルの設定 (Busy File Settings)]プロパティ
- [クライアント属性 (Client Attributes)]プロパティ
- UNIX クライアントの[クライアントの設定 (Client Settings)]プロパティ
- Windows クライアントの[クライアントの設定 (Client Settings)]プロパティ
- [データの分類 (Data Classification)]プロパティ
- [デフォルトのジョブの優先度 (Default Job Priorities)]プロパティ
- [暗号化 (Encryption)]プロパティ
- [Exchange]プロパティ
- [エクスクルードリスト (Exclude Lists)]プロパティ
- [ファイバートランスポート (Fibre Transport)]プロパティ
- [ファイアウォール (Firewall)]プロパティ
- [一般的なサーバー (General Server)]プロパティ
- [グローバル属性 (Global Attributes)]プロパティ
- [ログ (Logging)]プロパティ
- [ログインバナーの構成 (Login Banner Configuration)]プロパティ
- [メディア (Media)]プロパティ
- [ネットワーク設定 (Network Settings)]プロパティ
- [ポートの範囲 (Port Ranges)]プロパティ
- [優先ネットワーク (Preferred Network)]プロパティ
- 耐性ネットワークのプロパティ
- [リストアのフェールオーバー (Restore Failover)]プロパティ
- [保持期間 (Retention Periods)]プロパティ
- [拡張性のあるストレージ (Scalable Storage)]プロパティ
- [サーバー (Servers)]プロパティ
- [SharePoint]プロパティ
- SLP パラメータプロパティ
- [スロットル帯域幅 (Throttle Bandwidth)]プロパティ
- [ユニバーサル設定 (Universal Settings)]プロパティ
- [ユーザーアカウント設定 (User Account Settings)]のプロパティ
- NetBackup サーバーの構成オプション
- NetBackup サーバーとクライアントの ECA_CERT_PATH
- NetBackup サーバーの PREFERRED_NETWORK オプション
- NetBackup クライアントの IPv6 アドレスの規則
- NetBackup クライアントの構成オプション
- NetBackup クライアントの IGNORE_XATTR オプション
- NetBackup クライアントの VXSS_NETWORK オプション
- サーバーグループの構成
- NetBackup での NAT クライアントと NAT サーバーのサポートの有効化
- ホストクレデンシャルの構成
- メディアサーバーの管理
- メディアサーバーの廃止について
- vm.conf 構成ファイルについて
- ホストプロパティの構成
- 第 III 部 ストレージの構成
- ディスクストレージの構成
- ロボットおよびテープドライブの構成
- NetBackup のロボットとテープドライブの構成について
- 手動での NetBackup へのロボットの追加
- ロボットの管理
- 手動での NetBackup へのテープドライブの追加
- テープドライブパスの追加
- UNIX ホストでのテープデバイスとデバイスファイルの関連付け
- テープドライブの管理
- デバイスの診断の実行
- テープメディアの構成
- NetBackup ボリュームプールについて
- WORM メディアについて
- ボリュームの追加について
- メディアの設定の構成
- バーコードについて
- バーコード規則の構成
- メディア ID 生成規則の構成
- [処理 (Action)]メニューを使用したボリュームの追加
- メディア形式のマッピングの構成
- ボリュームの管理
- ボリュームプールの管理
- ボリュームグループの管理
- ロボットのインベントリ
- ストレージユニットの構成
- ストレージユーティリティについて
- ストレージユニットの作成
- ストレージユニットの設定について
- ストレージユニットのディレクトリへの絶対パス名またはボリューム設定への絶対パス名
- [最大並列実行ジョブ数 (Maximum concurrent jobs)]ストレージユニット設定
- バックアップのステージング
- ストレージユニットグループの構成
- 第 IV 部 ストレージライフサイクルポリシー (SLP) の構成
- ストレージライフサイクルポリシーの構成
- ストレージ操作
- SLP 操作の保持形式
- ストレージライフサイクルポリシーのオプション
- 複数のコピーを作成するストレージライフサイクルポリシーの使用
- ストレージライフサイクルポリシーのバージョン
- 第 V 部 バックアップの構成
- バックアップポリシーの作成
- ポリシーの計画
- ポリシーの[属性 (Attributes)]タブ
- [ポリシーストレージ (Policy storage)] (ポリシー属性)
- [ポリシーボリュームプール (Policy volume pool)] (ポリシー属性)
- [チェックポイントの間隔 (分) (Take checkpoints every __ minutes)](ポリシー属性)
- [ネットワークドライブのバックアップ (Backup network drives)](ポリシー属性)
- [クロスマウントポイント (Cross mount points)] (ポリシー属性)
- [暗号化 (Encryption)](ポリシー属性)
- [True Image Restore 情報を収集する (Collect true image restore information)](ポリシー属性) (移動検出を行う場合と行わない場合)
- [アクセラレータを使用する (Use accelerator)](ポリシー属性)
- [Windows 重複排除ボリュームの最適化バックアップを有効化 (Enable optimized backup of Windows deduplicated volumes)]
- レプリケーションディレクタを使用 (ポリシー属性)
- スケジュールの[属性 (Attributes)]タブ
- [バックアップ形式 (Type of backup)](スケジュール属性)
- [間隔 (Frequency)](スケジュール属性)
- 複数のコピー (スケジュール属性)
- [保持 (Retention)](スケジュール属性)
- [メディアの多重化 (Media multiplexing)](スケジュール属性)
- [開始時間帯 (Start Window)]タブ
- [含める日 (Include Dates)]タブ
- 開放スケジュールがカレンダーを基準としたスケジュールと間隔を基準としたスケジュールに与える影響
- [クライアント (Clients)]タブについて
- [バックアップ対象 (Backup Selections)]タブ
- ポリシーへのバックアップ対象の追加
- バックアップ対象リストの検証
- UNIX クライアントバックアップのパス名規則
- バックアップ対象リストの指示句について
- デフォルトでバックアップからエクスクルードされているファイル
- [ディザスタリカバリ (Disaster Recovery)]タブ
- Active Directory の個別バックアップと個別リカバリ
- 合成バックアップ
- NetBackup カタログの保護
- NetBackup リレーショナルデータベースについて
- NetBackup リレーショナルデータベース (NBDB) のインストールについて
- Windows での NetBackup データベース管理ユーティリティの使用
- UNIX での NetBackup データベース管理ユーティリティの使用
- インストール後の作業
- バックアップおよびリカバリの手順について
- バックアップイメージの管理
- NetBackup でのデータの変更不可と削除不可の設定
- バックアップポリシーの作成
- 第 VI 部 配備の管理
- 第 VII 部 レプリケーションの構成
- NetBackup のレプリケーションについて
- NetBackup 自動イメージレプリケーションについて
- 自動イメージレプリケーションのレプリケーショントポロジーの表示
- 自動イメージレプリケーションに必要なストレージライフサイクルポリシーについて
- 自動イメージレプリケーション構成でのレプリケーション関係の削除または置換
- NetBackup のレプリケーションについて
- 第 VIII 部 監視とレポート
- 第 IX 部 NetBackup の管理
- 管理トピック
- リモートサーバーへのアクセス
- NetBackup リモート管理コンソールの使用
- NetBackup 管理コンソールの実行時構成オプション
- NetBackup のパフォーマンスの向上について
- NetBackup 管理コンソールでのタイムゾーンの調整について
- 代替サーバーを使用したリストア
- クライアントのバックアップとリストアの管理
- NetBackup サーバーの電源切断および再ブート
- 個別リカバリテクノロジについて
ファイルおよびディレクトリへのハードリンクについて
ハードリンクは、ファイルのディレクトリエントリです。すべてのファイルに、1 つ以上のハードリンクが存在します。ハードリンクは、別のファイルへのポインタではないという点でシンボリックリンクとは異なります。ハードリンクは、同じ i ノード番号を指す 2 つのディレクトリエントリです。
バックアップでは、ハードリンクされたファイルがバックアップ対象リストに含まれていた場合、そのデータは 1 回だけバックアップが行われます。NetBackup ディレクトリ構造内にある最初のファイル名参照が使用されます。後続のファイル名参照が見つかると、そのファイル名参照は、最初のファイル名へのリンクとしてバックアップが行われます。リンクだけのバックアップを行うということは、ハードリンクの数に関係なく、データのバックアップコピーは 1 つだけ作成されることを意味します。データへのあらゆるハードリンクが有効に動作します。
多くの UNIX システムにおいて、ディレクトリへのハードリンクを作成できるのは root ユーザーだけです。一部のシステムではハードリンクを使用できず、多くのベンダーはハードリンクを使用しないことを推奨しています。NetBackup では、ハードリンクされたディレクトリは、ファイルとは異なる方法でバックアップとリストアが行われます。
ハードリンクされたファイルとハードリンクされたディレクトリは、次の点で異なります。
バックアップでは、NetBackup によって複数のハードリンクされたディレクトリが検出されると、ハードリンクごとに 1 回ずつそれらのディレクトリのバックアップが行われます。
リストアでは、ハードリンクされたディレクトリがディスク上に存在しない場合、NetBackup によってそれらのディレクトリ内容の複数のコピーがリストアされます。ハードリンクされたディレクトリがディスク上に存在する場合、NetBackup によって、その内容がディスク上の同じ場所に複数回リストアされます。
NTFS ボリュームまたは UNIX システム上では、各ファイルに複数のハードリンクが含まれている場合があります。そのため、1 つのファイルが多くのディレクトリ内に表示される場合があります (または、同じディレクトリ内に異なる名前で表示される場合もあります)。ボリューム上の実際の一意のファイルは、ボリュームシリアル番号 (VSN) およびファイルインデックスによって示されます。VSN とファイルインデックスを総称してファイル ID と呼びます。
バックアップでは、ハードリンクされたファイルがバックアップ対象リストに含まれていた場合、そのデータは 1 回だけバックアップが行われます。NetBackup ディレクトリ構造内にある最初のファイル名参照が使用されます。後続のファイル名参照が見つかると、そのファイル名参照は、最初のファイル名へのリンクとしてバックアップが行われます。後続のファイル名参照のバックアップでは、ハードリンクの数が複数あっても関係なく、データのバックアップコピーは 1 つだけ作成されます。
すべてのハードリンク参照のリストアが行われた場合、ハードリンクされたファイルは、継続してそれらのリンク先である他のファイルと同じファイル ID を指します。ただし、一部のハードリンクのリストアが行われなかった場合、次の例に示すとおり、問題が発生する可能性があります。
Link2 と Link3 のリストア
3 つのハードリンクが同じデータを指していると想定します。Link2 および Link3 のバックアップ中、最初に Link2 が見つかり、バックアップが実行されます。次に Link3 が Link2 へのリンクとしてバックアップされます。3 つのファイルは、すべて同じデータにハードリンクされています。
Link2 および Link3 の元のコピーがテープにバックアップされた後で削除されます。Link1 だけがディスク上に残されます。
後続のリストア中、Link2 および Link3 のリストアが行われます。ただし、リストア後のファイルは、Link1 と同じファイル ID を指しません。代わりに、リストア後のファイルには新しいファイル ID または i ノード番号が割り当てられ、データはディスク上の新しい位置に書き込まれます。新しい場所に書き込まれたデータは、Link1 内のデータの完全なコピーです。バックアップでは Link2 および Link3 が Link1 に関連付けられないため、重複が発生します。
例 2: Link3 のリストア
今度は Link3 だけのリストアを試行すると想定します。ただし、Link2 は存在しないため、NetBackup は Link3 を Link2 にリンクさせることができません。リストアは Link2 にリンクさせることができる場合だけ完了できます。Link2 は、データを含む NetBackup サーバーへのセカンダリリストア要求によって自動的にリストアされます。これで、Link2 のリストアを正常に行うことが可能となります。