Dynamic Multi-Pathing 8.0.2 管理者ガイド - Solaris

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Product(s): InfoScale & Storage Foundation (8.0.2)
Platform: Solaris
  1. DMP について
    1.  
      DMP (Dynamic Multi-Pathing) について
    2. DMP の動作方法
      1. パスでの I/O を DMP で監視する方法
        1.  
          パスフェールオーバー機構
        2.  
          サブパスフェールオーバーグループ(SFG)
        3.  
          LIPP(Low-Impact Path Probing)
        4.  
          I/O 調整
      2.  
        負荷分散
      3.  
        動的再設定
      4.  
        ZFS ルートプールの DMP サポート
      5.  
        DMP デバイスからの起動について
      6. クラスタ環境における DMP
        1.  
          共有ディスクグループでのコントローラの有効化と無効化について
    3.  
      マルチコントローラ ALUA のサポート
    4.  
      ディスクアレイへの複数パス
    5.  
      デバイス検出
    6.  
      ディスクデバイス
    7. DMP でのディスクデバイスの命名
      1.  
        オペレーティングシステムに基づく名前の付け方について
      2. エンクロージャに基づく名前の付け方について
        1.  
          エンクロージャに基づく命名規則の概略
        2.  
          エンクロージャに基づく命名規則とアレイボリューム ID(AVID)属性
  2. ネイティブデバイス管理のための DMP の設定
    1.  
      ネーティブデバイス管理のための DMP の設定について
    2.  
      ネーティブマルチパス設定の表示
    3.  
      DMP への ZFS プールの移行
    4.  
      EMC PowerPath から DMP への移行
    5.  
      Hitachi Data Link Manager(HDLM)から DMP への移行
    6.  
      Solaris Multiplexed I/O(MPxIO)から DMP への移行
    7. Oracle Automatic Storage Management (ASM)での Dynamic Multi-Pathing (DMP)デバイスの使用
      1.  
        Oracle Automatic Storage Management(ASM)で使用可能にするための Dynamic Multi-Pathing(DMP)デバイスの有効化
      2.  
        Oracle Automatic Storage Management(ASM)ディスクのリストからの Dynamic Multi-Pathing(DMP)デバイスの削除
      3.  
        オペレーティングシステムデバイス上の Oracle Automatic Storage Management(ASM)ディスクグループの Dynamic Multi-Pathing(DMP)デバイスへの移行
    8.  
      ZFS ルートプールの DMP サポートの有効化と無効化
    9.  
      既存の ZFS プールへの DMP デバイスの追加または ZFS プールの新規作成
    10.  
      ネーティブデバイスの DMP サポートの削除
  3. DMP の管理
    1.  
      コントローラとストレージプロセッサに対する I/O の有効化と無効化について
    2.  
      DMP データベース情報の表示について
    3.  
      ディスクへのパスの表示
    4.  
      DMP ノードのカスタム名の設定
    5. ZFS ルートプールに対する DMP デバイスの管理
      1.  
        DMP デバイスを使用した ZFS ルートプールに対するミラーの設定
      2.  
        ブートデバイスの設定の更新
      3.  
        スワップデバイスまたはダンプデバイスとして DMP デバイスを使用
      4.  
        DMP によるブート環境のクローン作成
      5.  
        既存のブート環境のスナップショットの作成
    6. vxdmpadm ユーティリティを使った DMP の管理
      1.  
        DMP ノードに関する情報の取得
      2.  
        DMP ノードについての統合された情報の表示
      3.  
        LUN グループのメンバーの表示
      4.  
        DMP ノード、コントローラ、エンクロージャ、アレイポートによって制御されるパスの表示
      5.  
        コントローラに関する情報の表示
      6.  
        エンクロージャに関する情報の表示
      7.  
        アレイポートに関する情報の表示
      8.  
        ALUA アレイのためのユーザーフレンドリな CLI 出力
      9.  
        サードパーティ製のドライバにより制御されるデバイスに関する情報の表示
      10.  
        拡張デバイス属性の表示
      11.  
        VxVM の制御下におけるデバイスの無効化と有効化
      12. I/O 統計情報の収集と表示
        1.  
          累積 I/O 統計情報の表示
        2.  
          キューに入れられた I/O または無効な I/O の統計の表示
        3.  
          vxdmpadm iostat コマンドの使用例
      13.  
        エンクロージャへのパスに関する属性の設定
      14.  
        デバイスまたはエンクロージャの冗長レベルの表示
      15.  
        アクティブパスの最小数の指定
      16.  
        I/O ポリシーの表示
      17. I/O ポリシーの指定
        1.  
          非対称アクティブ/アクティブまたは ALUA アレイのパスでの I/O のスケジュール設定
        2.  
          SAN 環境における負荷分散の適用例
      18.  
        パス、コントローラ、アレイポート、DMP ノードに対する I/O の無効化
      19.  
        パス、コントローラ、アレイポート、DMP ノードに対する I/O の有効化
      20.  
        エンクロージャ名の変更
      21.  
        I/O エラーに対する応答の設定
      22.  
        I/O 調整機構の設定
      23.  
        サブパスフェールオーバーグループ(SFG)の設定
      24.  
        LIPP(Low-Impact Path Probing)の設定
      25.  
        リカバリオプション値の表示
      26.  
        DMP パスリストアポリシーの設定
      27.  
        DMP パスリストアスレッドの停止
      28.  
        DMP パスリストアスレッドの状態の表示
      29.  
        アレイポリシーモジュール(Array Policy Modules)の設定
      30.  
        Metro/Geo アレイの遅延しきい値チューニングパラメータの設定
  4. ディスクの管理
    1.  
      ディスク管理について
    2. 新しく追加されたディスクデバイスの検出と設定
      1.  
        部分的なデバイス検出
      2. ディスクの検出とディスクアレイの動的な追加について
        1.  
          DMP がデバイスを要求する方法
        2.  
          ディスクカテゴリ
        3.  
          新しいディスクアレイの DMP サポートの追加
        4.  
          新しいディスクアレイ検出の有効化
      3.  
        サードパーティドライバの共存について
      4. デバイス検出層の管理方法
        1.  
          iSCSI を含むすべてのデバイスの一覧表示
        2.  
          iSCSI を含むすべてのホストバスアダプタの一覧表示
        3.  
          ホストバスアダプタ上で設定されたポートの一覧表示
        4.  
          ホストバスアダプタまたはポートから設定されたターゲットの一覧表示
        5.  
          ホストバスアダプタとターゲットから設定されたデバイスの一覧表示
        6.  
          iSCSI 操作パラメータの取得または設定
        7.  
          サポートされているすべてのディスクアレイの一覧表示
        8.  
          ディスクアレイライブラリのサポートの無効化
        9.  
          無効にされたディスクアレイライブラリのサポートの有効化
        10.  
          無効にされたディスクアレイの一覧表示
        11.  
          DISKS カテゴリで認識されているディスクの一覧表示
        12.  
          Array Support Library(ASL)の詳細の表示
        13.  
          DISKS カテゴリへのサポートされていないディスクアレイの追加
        14.  
          DISKS カテゴリからのディスクの削除
        15.  
          外部デバイス
    3.  
      VxVM の ZFS との共存
    4. ディスクデバイスの名前の付け方の変更
      1.  
        ディスクの名前の付け方の表示
      2.  
        永続的なデバイス名の再生成
      3.  
        サードパーティ製ドライバ制御のエンクロージャに対するデバイスの命名の変更
      4. simple ディスクまたは nopriv ディスクのエンクロージャに基づく名前の付け方
        1.  
          ブートディスクグループに含まれる simple ディスクまたは nopriv ディスクの error 状態の解消
        2.  
          非ブートディスクグループに含まれる simple ディスクまたは nopriv ディスクの error 状態の解消
    5.  
      エンクロージャに基づくディスク名と OS に基づくディスク名の関連付けの検出
  5. デバイスの動的再構成
    1.  
      オンラインの Dynamic Reconfiguration について
    2. DMPDR ユーティリティについて
      1.  
        DMPDR ユーティリティを使用した、サーバーに関連付けられている LUN の再設定
    3. Dynamic Reconfiguration ツールでの DMP の制御下にある LUN のオンラインでの再設定
      1.  
        既存のターゲット ID からの LUN の動的削除
      2.  
        ターゲット ID への新しい LUN の動的追加
      3.  
        既存のターゲット ID からの LUN の置換
      4.  
        ホストバスアダプタのオンラインでの交換
    4. DMP の制御下にある LUN のオンラインでの手動での再設定
      1.  
        LUN の手動での再設定の概要
      2.  
        既存のターゲット ID から LUN を動的に手動での削除
      3.  
        新しいターゲット ID に新しい LUN を動的に手動での追加
      4.  
        オペレーティングシステムのデバイスツリーがクリーンアップされていない場合のターゲット ID 再利用の検出について
      5.  
        LUN の追加または削除後のオペレーティングシステムデバイスツリーのスキャン
      6.  
        LUN の削除後のオペレーティングシステムデバイスツリーの手動でのクリーンアップ
      7.  
        M5000 サーバーでのホストバスアダプタの手動交換
    5.  
      アレイ側からの LUN の特性の変更
    6.  
      アレイコントローラファームウェアのオンラインでのアップグレード
  6. イベント監視
    1.  
      Dynamic Multi-Pathing(DMP)のイベントソースデーモン(vxesd)について
    2.  
      ファブリック監視と予防的なエラー検出
    3.  
      Dynamic Multi-Pathing(DMP)の自動デバイス検出
    4.  
      Dynamic Multi-Pathing(DMP)の iSCSI および SAN ファイバーチャネルトポロジーの検出
    5.  
      DMP イベントログ
    6.  
      Dynamic Multi-Pathing(DMP)のイベントソースデーモンの起動と停止
  7. 処理効率の監視とチューニング
    1.  
      テンプレートを使った DMP(Dynamic Multi-Pathing)のチューニングについて
    2.  
      DMP チューニングテンプレート
    3.  
      DMP チューニングテンプレートの例
    4.  
      設定属性テンプレートを使った DMP のホストのチューニング
    5.  
      DMP 設定ファイルの管理
    6.  
      DMP のチューニングパラメータと属性のデフォルト値へのリセット
    7.  
      テンプレートでサポートされる DMP のチューニングパラメータと属性
    8.  
      DMP チューニングパラメータ
  8. 付録 A. DMP のトラブルシューティング
    1.  
      DMP 8.0.2 へのアップグレードの後の拡張属性の表示
    2.  
      DMP からパスを除外または DMP にパスを追加するときのエラーのリカバリ
    3.  
      アレイサポートのダウングレード
  9. 付録 B. 参照先
    1.  
      Veritas コマンドに対するコマンド入力補完機能

DMP の動作方法

DMP(Dynamic Multi-Pathing)では、パスフェールオーバー機能と負荷分散機能を使って、可用性、信頼性、パフォーマンスを向上します。 これらの機能は、さまざまなベンダーのマルチポートディスクアレイに対応しています。

ディスクアレイは、複数のパスを介して、ホストシステムに接続することができます。 ディスクへのさまざまなパスを検出するために、DMP では、対応している各アレイに特有の機構を使います。 また、DMP では、DMP に対応していて同じホストシステムに接続されているアレイの様々なエンクロージャを識別します。

DMP で使われるマルチパスポリシーは、ディスクアレイの特性によって異なります。

DMP では、次の標準アレイタイプをサポートします。

表:

アレイタイプ

説明

アクティブ/アクティブ(A/A)

複数のパスを同時に使って I/O を行うことができます。また DMP により、I/O 負荷が LUN への複数のパス上に均等に分散されるので I/O スループットが向上します。 1 つのパスが失われた場合、DMP は自動的に、そのアレイに対して使える他のパスを介して I/O を行います。

非対称アクティブ/アクティブ(A/A-A)

A/A-A または非対称アクティブ/アクティブアレイは、パフォーマンスをほとんど低下させずにセカンダリストレージパスからアクセスできます。 動作は、ALUA のアレイがサポートする SCSI コマンドをサポートしない点以外は ALUA と同じです。

非対称論理ユニットアクセス(ALUA)

DMP は ALUA のすべてのバリアントをサポートします。

アクティブ/パッシブ(A/P)

通常の操作中に 1 つのコントローラ(アクセスポートまたはストレージプロセッサ)上のプライマリ(アクティブ)パス経由で LUN(論理ユニット番号。ハードウェアを使って作成される実際のディスクまたは論理ディスク)へのアクセスが可能です。

非明示的フェールオーバーモード(auto-trespass モード)では、プライマリパスに障害が発生した場合、別のコントローラ上のセカンダリ(パッシブ)パスに I/O をスケジューリングすることによって、A/P アレイが自動的にフェールオーバーします。 このパッシブポートは、アクティブポートに障害が発生するまで I/O には使われません。 A/P アレイでは、プライマリパスで I/O 障害が発生すると、単一の LUN でパスのフェールオーバーが実行されます。

このアレイモードは、複数のプライマリパスを 1 つのコントローラに持つことで、同時 I/O と負荷分散をサポートします。 この機能は、複数のポートを持つコントローラにより、またはアレイとコントローラ間に SAN スイッチを挿入することによって、提供されます。 セカンダリ(パッシブ)パスへのフェールオーバーは、すべてのアクティブなプライマリパスに障害が発生した場合にのみ実行されます。

明示的フェールオーバーモードまたは非 auto-trespass モードのアクティブ/パッシブ(A/PF)

LUN のセカンダリパスへのフェールオーバーを実行するには、該当するコマンドをアレイに発行する必要があります。

このアレイモードは、複数のプライマリパスを 1 つのコントローラに持つことで、同時 I/O と負荷分散をサポートします。 この機能は、複数のポートを持つコントローラにより、またはアレイとコントローラ間に SAN スイッチを挿入することによって、提供されます。 セカンダリ(パッシブ)パスへのフェールオーバーは、すべてのアクティブなプライマリパスに障害が発生した場合にのみ実行されます。

LUN グループフェールオーバーが設定されたアクティブ/パッシブ(A/PG)

LUN グループフェールオーバーが設定されたアクティブ/パッシブアレイ(A/PG アレイ)の場合、1 つのコントローラを介して接続されている LUN のグループは単一のフェールオーバーエンティティとして扱われます。 A/P アレイの場合と異なり、フェールオーバーは個々の LUN レベルではなくコントローラレベルで実行されます。 プライマリコントローラとセカンダリコントローラは、それぞれ別の LUN グループに接続されます。 プライマリコントローラの LUN グループ内の LUN の 1 つに障害が発生した場合、そのグループ内のすべての LUN に対して、セカンダリコントローラへのフェールオーバーが実行されます。

このアレイモードは、複数のプライマリパスを 1 つのコントローラに持つことで、同時 I/O と負荷分散をサポートします。 この機能は、複数のポートを持つコントローラにより、またはアレイとコントローラ間に SAN スイッチを挿入することによって、提供されます。 セカンダリ(パッシブ)パスへのフェールオーバーは、すべてのアクティブなプライマリパスに障害が発生した場合にのみ実行されます。

アレイポリシーモジュール(APM)では、DMP がサポートする標準タイプ以外のアレイタイプを DMP に定義できます。

Dynamic Multi-Pathing は、DMP メタノード(DMP ノード)を使って、システムに接続されているディスクデバイスにアクセスします。 DMP に対応しているアレイ内のディスクの場合は、DMP により各ディスクに接続するパスセットに 1 つのノードがマップされます。 さらに、DMP によりそのディスクアレイに適合するマルチパスポリシーがノードに関連付けられます。

DMP に対応していないアレイ内のディスクの場合は、DMP によりディスクに接続するパスそれぞれに、個別のノードがマップされます。 ノードの raw デバイスおよびブロックデバイスは、ディレクトリ /dev/vx/rdmp および /dev/vx/dmp にそれぞれ作成されます。

図: DMP で、ディスクに対する複数の物理パスを 1 つのノードで表す方法 では、DMP によりサポートされているディスクアレイ内のディスクにどのようにノードが設定されるかについて説明しています。

図: DMP で、ディスクに対する複数の物理パスを 1 つのノードで表す方法

DMP で、ディスクに対する複数の物理パスを 1 つのノードで表す方法

DMP では、ディスクが属するアレイを識別することができるディスクデバイス名前の付け方を導入しました。

図: SAN 環境における、ディスクエンクロージャに対するマルチパスの例には、エンクロージャ内の 1 つのディスクに 2 つのパス (c1t99d0c2t99d0) が存在し、VxVM が 1 つの DMP ノード (enc0_0) を使ってディスクにアクセスする例が示されています。

図: SAN 環境における、ディスクエンクロージャに対するマルチパスの例

SAN 環境における、ディスクエンクロージャに対するマルチパスの例