Symantec NetBackup™ コマンドリファレンスガイド
- 概要
- 付録 A. NetBackup コマンド
名前
bpbackup — NetBackup サーバーへのファイルのバックアップ
概要
bpbackup -f listfile | filenames [-p policy] [-s schedule][-S master_server...] [-t policy_type] [-L progress_log [-en]] [-w [hh:mm:ss]] [-k "keyword_phrase"]
bpbackup -i [-p policy] [-h hostname [-instance instance_name [-database database_name]]] [-s schedule] [-S master_server...>] [-t policy_type] [-L progress_log [-en]] [-w [hh:mm:ss>]] [-k 「keyword_phrase」>]
bpbackup -dssu DSSUname [-S master_server]
UNIX システムでは、このコマンドへのディレクトリパスは /usr/openv/netbackup/bin/ です。
Windows システムでは、このコマンドへのディレクトリパスは install_path\NetBackup\bin\ です。
説明
bpbackup コマンドを使うと、クライアントとマスターサーバーでバックアップ処理を開始できます。Oracle ポリシーを使うときは、bpbackup でインスタンスのバックアップを作成できます。SQL Server ポリシーを使うときは、bpbackup でインスタンスまたはインスタンス内のデータベースのバックアップを作成できます。
クライアント側:
bpbackup の -f オプションを指定すると、クライアントインターフェースを使用して実行されるバックアップと同等のユーザーバックアップが開始されます。この形式のバックアップは、どの NetBackup クライアントからでも開始が可能で、そのクライアントからファイルのバックアップを行うことができます。
bpbackup を実行すると、コマンドラインで指定したファイルまたは -f listfile オプションで指定したファイル内のファイルが処理されます。ファイルパスにはファイル名またはディレクトリ名を指定できます。指定した中にディレクトリが含まれる場合、bpbackup を実行すると、そのディレクトリ以下のすべてのファイルおよびサブディレクトリのバックアップが行われます。
メモ:
個々のファイルまたはディレクトリの一覧表示に加えて、bpbackup は指示句を使用してバックアップ対象ファイルを示すこともできます。たとえば、bpbackup "/Shadow Copy Components/" または bpbackup "/System State/" です。クライアントで、bpbackup -f listfile オプションを使って listfile に指示句を入力できます。
マスターサーバー側:
bpbackup の -i オプションを指定すると、クライアントの即時手動バックアップが開始されます。bpbackup オプションはマスターサーバーの管理者のみが利用できます。これは、NetBackup の管理コンソールから手動バックアップを開始する場合と同じです。-h オプションを使用して、ホストを指定します。
進捗ログはクライアントだけに書き込まれます。この形式の bpbackup はマスターサーバーからだけ実行されるため、-L オプションは指定しません。
次に、このコマンドに適用される制限事項を示します。
bpbackup を実行してファイルのバックアップを行うには、ファイルの所有者または管理者である必要があります。
必要な権限を取得している場合、他のユーザーが所有するファイルおよびディレクトリのバックアップを行うことができます。
UNIX システムの場合: リンクであるファイルを指定して bpbackup を実行すると、リンク先のファイルではなく、そのリンク自身のバックアップだけが行われます。
bpbackup を実行しても、ディレクトリエントリ[.]または[..]のバックアップは行われません。
デフォルトでは、bpbackup が正常に発行されると、システムプロンプトに戻ります。このコマンドはバックグラウンドで実行され、完了状態はユーザーに直接戻されません。-w オプションを指定すると、コマンドがフォアグラウンドで実行されるように変更できます。指定された時間の経過後には完了状態が戻されます。
bpbackup コマンドの実行前にファイルを作成し、-L progress_log オプションでこのファイルを指定した場合、bpbackup を実行すると、情報メッセージおよびエラーメッセージが進捗ログファイルに書き込まれます。bpbackup を実行しても、要求されたファイルまたはディレクトリのバックアップが行われない場合、この進捗ログを使用して、エラーの原因を判断することができます。
メモ:
-L オプションは、NDMP クライアントではサポートされていません。
すべてのユーザーによる書き込みを許可して次のディレクトリを作成した場合、bpbackup を実行すると、このディレクトリにデバッグログファイルが作成され、トラブルシューティングに使用できます。
On Windows systems: install_path\NetBackup\logs\bpbackup\
On UNIX systems: usr/openv/netbackup/logs/bpbackup/
ユーザーが次のように指定した場合、バックアップ処理の完了時に、NetBackup によってバックアップ完了状態を通知するメールが mail_address に送信されます。
root 以外のユーザーが $HOME/bp.conf ファイルに USEMAIL = mail_address
を指定する
root ユーザーが /usr/openv/netbackup/bp.conf ファイルに USEMAIL = mail_address
を指定する
オプション
- -dssu DSSUname
このオプションを指定すると、ディスクステージングストレージユニットに関連付けられたスケジュールがすぐに実行されます。-i オプションは暗黙的に指定される動作であるため、指定する必要はありません。
- -f listfile
このオプションでは、バックアップを行うファイルのリストを含むファイル (listfile) を指定します。このオプションは、filenames オプションの代わりに使用できますが、-i オプションと同時に使用できません。各ファイルは、個別の行に表示されます。
ファイルリストに必要な形式は、ファイル名に空白、改行文字または復帰文字が含まれるかどうかによって異なります。
名前に空白、改行文字または復帰文字が含まれないファイルのバックアップを行うには、次の形式を使用します。
filepath
ここで、filepath は、バックアップを行うファイルへのパスです。
UNIX システムでは、
/home
、/etc
、/var
などがあります。Windows システムでは、
c:\Programs
、c:\winnt
、c:\documents\old_memos
などがあります。名前に空白、改行文字または復帰文字が含まれるファイルのバックアップを行うには、次の形式を使用します。
filepathlen filepath
ここで、filepath は、バックアップを行うファイルへのパスです。また、filepathlen はファイルパスの文字数です。
UNIX システムでの例は次のとおりです。
5 /home 4 /etc 4 /var 19 /home/abc/test file
Windows システムでの例は次のとおりです。
11 c:\Programs 8 c:\winnt 22 c:\documents\old memos
- filenames
このオプションでは、バックアップを行う 1 つ以上のファイル名を指定します。このオプションは -f オプションの代わりに使用できますが、-i オプションと同時に使用できません。すべてのファイルは、他のすべてのオプションに続いて、最後に指定する必要があります。
- -h hostname
このオプションでは、バックアップを行うクライアントホスト名を指定します。このオプションを指定しない場合、NetBackup によって、ポリシーに存在するすべてのクライアントでバックアップが行われます。
- -i
このオプションを指定すると、即時手動バックアップが開始されます。これは、NetBackup の管理コンソールから開始される手動バックアップと同じです。-i オプションを使用するには、マスターサーバーの管理者である必要があります。
- -instance instance_name [-database database_name]
このオプションでは、バックアップを作成する Oracle インスタンスまたは SQL Server インスタンスの名前を指定します。ポリシー形式 (-t) は 4 (Oracle) または 15 (SQL Server) に設定する必要があります。このオプションを使うときは -h オプションを指定する必要があるほか、マスターサーバーの管理者である必要があります。
[-database database_name] はバックアップするインスタンス内の SQL Server データベースの名前を指定します。
- -k keyword_phrase
このオプションでは、このバックアップ操作で作成されるイメージに関連付けるキーワード句を指定します。その後、bprestore で -k オプションを使用して、キーワード句を指定し、イメージのリストアを行うことができます。
-i オプションと -k オプションを同時に使用すると、NetBackup によって、キーワード句、バックアップポリシーおよびバックアップイメージが関連付けられます。
キーワード句は、バックアップのテキスト形式の記述で、128 文字以内で指定します。
UNIX システムでは、空白 (「 」) およびピリオド (「.」) を含むすべての印字可能な文字列を指定できます。キーワード句は、二重引用符 ("...") または一重引用符 ('...') で囲み、UNIX シェルとの競合を回避する必要があります。
Windows システムでは、空白 (「 」) およびピリオド (「.」) を含むすべての印字可能な文字列を指定できます。キーワード句は、二重引用符 ("...") または一重引用符 ('...') で囲んでください。
デフォルトのキーワード句は NULL (空) 文字列です。
- -L progress_log [-en]
このオプションでは、進捗情報を書き込むファイル名を指定します。ファイルが存在しない場合、NetBackup によってファイルが作成されます。
Windows システムでは、
NetBackup\logs\user_ops\proglog
などになります。UNIX システムでは
netbackup/logs/user_ops/proglog
などになります。デフォルトでは、進捗ログは使用されません。
-L オプションは、NDMP クライアントではサポートされていません。
-en オプションを指定すると、進捗ログが英語で生成されます。ログ名には文字列[_en]が含まれます。このオプションは、異なるロケールでさまざまな言語のログが作成される分散環境において有効です。
このオプションに対してはデフォルトパスのみが許可されます。Symantec はデフォルトパスを使用することをお勧めします。設定で NetBackup のデフォルトパスを使用できない場合は、NetBackup 構成にカスタムパスを追加する必要があります。
カスタムパスを追加する方法について詳しくは、『NetBackup 管理者ガイド Vol. 1』の「NetBackup サーバーおよびクライアントの BPCD_WHITELIST_PATH オプション」の項を参照してください。
- -p policy
このオプションでは、バックアップに使用するポリシー名を指定します。
このオプションを指定しない場合、検出されたクライアントを含む最初のポリシーおよびユーザーバックアップのスケジュールが使用されます。
このオプションは、即時手動バックアップ (-i オプション) に必要です。
- -s schedule
このオプションでは、バックアップに使用するスケジュール名を指定します。名前を指定しない場合、NetBackup サーバーでは、そのクライアントが現在使用しているポリシー内で最初に検出されたユーザーアーカイブスケジュールが使用されます。
-p オプションを参照してください。
- -S master_server [,master_server,...]
UNIX システムでは、-S で NetBackup マスターサーバー名を指定します。デフォルトは、/usr/openv/netbackup/bp.conf ファイルで最初に検索された
SERVER
エントリです。Windows システムでは、-S で NetBackup マスターサーバー名を指定します。デフォルトは、[NetBackup マシンの指定 (Specify NetBackup Machines)]ダイアログボックスの[サーバー (Servers)]タブで操作対象として指定されているサーバーです。このダイアログボックスを表示するには、クライアント上でバックアップ、アーカイブおよびリストアユーザーインターフェースを起動します。次に[ファイル (File)]メニューから[NetBackup マシンおよびポリシー形式の指定 (Specify NetBackup Machines and Policy Type)]を選択します。
- -t policy_type
このオプションでは、ポリシー形式に対応する次のいずれかの番号を指定します。Windows クライアントのデフォルトは 13、他のすべてのデフォルトは 0 です。
0 = Standard
4 = Oracle
6 = Informix-On-BAR
7 = Sybase
8 = MS-SharePoint
13 = MS-Windows
15 = MS-SQL-Server
16 = MS-Exchange-Server
19 = NDMP
次のポリシー形式は、NetBackup Enterprise Server だけに適用されます。
11 = DataTools-SQL-BackTrack
17 = SAP
18 = DB2
20 = FlashBackup
21 = Split-Mirror
39 = Enterprise-Vault
- -w [hh:mm:ss]
このオプションを指定すると、NetBackup はサーバーから完了状態が送信されるまで待機し、その後、システムプロンプトに戻ります。
必要に応じて、待機時間を時間、分、秒で指定できます。指定可能な最大待機時間は、23:59:59 です。 バックアップが完了する前に待機時間が経過すると、コマンドはタイムアウト状態で終了されます。ただし、サーバー上ではバックアップが完了します。
bpbackup -w オプションを指定すると、シェルは戻りコードを待機します。オペレーティングシステムシェルは、1 つの戻りコードのみを戻すことができます。そのため、待機時間を指定せずに -w を使用する場合、または待機時間の値に 0 (ゼロ) を指定している場合、NetBackup は無制限に完了状態で待機します。
-w オプションとともに bpbackup -i を使用して、手動または管理バックアップを開始することができます。この形式のバックアップは、ポリシー属性に基づいているため、複数のジョブの開始が可能です。手動バックアップで複数のジョブを開始した場合、-w オプションは 1 つの戻りコードのみをシェルに戻します。
-w オプションとともに -i オプションを使用して複数のジョブを開始する場合、完了状態が戻される前に、NetBackup はすべてのジョブが完了するまで待機します。ただし、NetBackup によってシェルに戻される状態コードは 1 つのみであるため、状態コードが属するジョブ ID が不明になります。
複数のクライアントによって複数のジョブが実行されていて、[複数のデータストリームの許可 (Allow Multiple Data Streams)]が選択されていない場合、-h オプションを指定して操作を 1 つのクライアントに制限します。ただし、ポリシーに[複数のデータストリームの許可 (Allow Multiple Data Streams)]を選択しても、選択したクライアントに複数のジョブが存在する場合、戻される状態コードは再び不明になります。
例
例 1 - 1 つのファイルのユーザーバックアップが行われます。
UNIX システムの場合: # bpbackup /usr/user1/file1
Windows システムの場合: # bpbackup c:\users\user1\file1
例 2 - backup_list というファイルに一覧表示されたファイルのユーザーバックアップが開始されます。
# bpbackup -f backup_list
例 3 - cis_co というポリシーの diablo
というクライアントホストの即時手動バックアップが (改行せずにすべてを 1 行で) 開始されます。 このポリシー形式は Standard ポリシーで、hoss
というマスターサーバーの構成に存在します。
UNIX の場合: # bpbackup -p cis_co -i -h diablo -S hoss -t 0
Windows の場合: # bpbackup -p cis_co -i -h diablo -S hoss -t 0
例 4 - Windows システムの場合: 次のコマンドを実行すると、キーワード句[Backup My Home Directory 01/01/01]がディレクトリ C:\home\kwc のユーザーバックアップに関連付けられます。
(コマンドは、改行せずに 1 行で入力します。)
# bpbackup -k "Backup My Home Directory 01/01/01" -L c:\Program Files\Veritas\NetBackup\logs\user_ops\bkup.log \ C:\home\kwc
UNIX システムの場合: 次のコマンドを実行すると、キーワード句「Backup Home Dir 01/01/01」がディレクトリ /home/kwc
のユーザーバックアップに関連付けられます。(コマンドは改行せずに 1 行で、または継続文字である円記号を使用して入力します。)
# bpbackup -k "Backup Home Dir 01/01/01" -L /usr/openv/netbackup/logs/user_ops/bkup.log \ /home/kwc
例 5 - キーワード句「Policy Win 01/01/01」を「win_nt_policy」という名前のポリシー内にある「slater
」という名前のクライアントホストの即時手動バックアップに関連付けます。(コマンドは、改行せずにすべてを 1 行で入力します。)
UNIX の場合:
# bpbackup -k "Policy Win 01/01/01" -i -h slater \ -p win_nt_policy -t 13
Windows の場合:
# bpbackup -k "Policy Win 01/01/01" -i -h slater -p win_nt_policy -t 13
例6 - ora
ポリシーを使って、クライアントホスト hookvm2
の Oracle インスタンス orac11g
の手動バックアップが行われます。
# bpbackup -i -p ora -h hookvm2 -t 4 -instance orac11g
例 7 - sql
ポリシーを使用してクライアントホスト winvm2
にあるインスタンス HR
の SQL Server データベース HRDB1
の手動バックアップを実行します。
# bpbackup -i -p sql -h winvm2 -t 15 -instance HR -database HRDB1
ファイル
UNIX システムの場合: $HOME/bp.conf
/usr/openv/netbackup/logs/bpbackup/log.mmddyy
Windows システムの場合: install_path\NetBackup\logs\bpbackup\*.log