コア VxVM のチューニングパラメータ
表: コア VxVM のカーネルチューニングパラメータに、VxVM のカーネルチューニングパラメータを一覧表示します。
特に指定のないかぎり、vxtune コマンドまたはオペレーティングシステムのメソッドを使ってパラメータをチューニングできます。
表: コア VxVM のカーネルチューニングパラメータ
パラメータ
|
説明
|
---|
vol_checkpt_default
|
回復または再同期化処理を実行しているユーティリティが、処理の済んだ範囲を示すオフセットをカーネルにチェックポイントとして読み込む間隔を示します。このような処理を行っている間にシステム障害が発生した場合は、完全なリカバリを実行する必要がなく、到達した最後のチェックポイントから継続できます。
デフォルト値は 20480 セクタ (10 MB) です。
このサイズを大きくすると、回復処理のチェックポイント操作の負荷が減少しますが、回復中にシステム障害が生じると、その後さらに回復を実行する必要があります。
|
vol_default_iodelay
|
ユーティリティが I/O 要求を発行する頻度を軽減するよう指示されており、特定の遅延時間が指定されていない場合に、ユーティリティが一時停止するクロック刻みのカウントを示します。このチューニングパラメータ値は、ミラーの再同期化や RAID 5 カラムの再構築などの操作を実行するユーティリティで使います。
デフォルト値は 50 刻みです。
この値を大きくすると、回復処理が遅くなり、回復実行中のシステムの動作が低下します。
|
vol_kmsg_resend_period
|
このパラメータは、vxtune コマンドを使ってチューニングできます。/kernel/drv/vxio.conf ファイルで指定した場合、値は内部でマイクロ秒に変換されます。この値は vol_kmsg_resend_period_usecs パラメータに適用されます。このパラメータは、KMSG (カーネルメッセージ) の再送期間を表した値で、VxVM のクラスタ機能で使われます。
|
vol_kmsg_send_period
|
このパラメータは、vxtune コマンドを使ってチューニングできます。/kernel/drv/vxio.conf ファイルで指定した場合、値は内部でマイクロ秒に変換されます。この値は vol_kmsg_send_period_usecs パラメータに適用されます。このパラメータは KMSG (カーネルメッセージ) の送信期間を表した値で、VxVM のクラスタ機能で使われます。
|
vol_max_adminio_poolsz
|
管理 I/O 操作で使われるメモリプールの最大サイズ。VxVM は、管理 I/O を調整する場合にこのプールを使います。
デフォルト値は 128 MB です。最大サイズは、voliomem_maxpool_sz パラメータより大きな値にはできません。
|
vol_max_vol
|
このパラメータは、vxtune コマンドを使ってチューニングできます。システムで作成できるボリュームの最大数を示します。許可されている最小値は 1 です。許可されている最大値は、システムで表現可能なマイナー番号の最大数です。
デフォルト値は 131071 です。
|
vol_maxio
|
要求を分割しないで実行できる論理 I/O 操作の最大サイズを示します。この値より大きい VxVM への I/O 要求は分割され、並列実行されます。物理 I/O 要求はディスクデバイスの容量に基づいて分割され、この最大論理要求制限値を変更しても影響を受けません。
デフォルト値は 2048 セクタ (1 MB) です。
voliomem_maxpool_sz 値は、少なくとも vol_maxio 値の 10 倍以上である必要があります。
DRL シーケンシャルログを設定した場合には、voldrl_min_regionsz 値は、少なくとも vol_maxio 値の半分の値に設定する必要があります。
vol_maxio の最大値は、物理メモリまたはカーネルの仮想メモリ容量のどちらか小さい方の 20 % です。この制限を超える値は推奨されません。
|
vol_maxioctl
|
ioctl 呼び出しにより VxVM に渡すことのできる最大データサイズを示します。この制限値を大きくすると、より大きいサイズの操作を一度に実行できます。ユーティリティによっては、特定のサイズの操作を実行するように設定されており、それより大きいサイズの ioctl 要求を発行すると、予期せずに失敗することがあるため、制限値を小さくすることは一般的にはお勧めしません。
デフォルト値は 32768 バイト (32 KB) です。
|
vol_maxparallelio
|
VOL_VOLDIO_WRITE ioctl 呼び出しごとに 1 つの VOL_VOLDIO_READ で、vxconfigd デーモンがカーネルに対して要求できる I/O 操作数を示します。
デフォルト値は 256 です。この値は変更しないでください。
|
vol_maxspecialio
|
ioctl 呼び出しで発行できる I/O 要求の最大サイズを示します。ioctl 要求自体は小さいサイズですが、大きい I/O 要求を実行するよう要求できます。このチューニングパラメータで、これらの I/O 要求のサイズが制限されます。必要に応じて、この値を超えた要求をエラーにしたり、要求を分割して並行して実行することができます。
デフォルト値は 4096 セクタ (2 MB) です。
この制限値を大きくすると、I/O 要求のサイズが大きくなった場合、プロセスに存在するより多くのメモリやカーネルの仮想マップ領域が必要となるため処理できなくなる可能性があります。このチューニングパラメータの最大制限値は、物理メモリまたはカーネルの仮想メモリより 20 % 小さい値です。この制限値を超えると処理できなくなる可能性があるため、この制限値を超えないようにしてください。
ストライプがこのチューニングパラメータの値より大きい場合は、ストライプ単位の I/O 要求は分割され、ストライプ全体に対する読み取りおよび書き込みは一度に実行されません。これにより、順次 I/O や大規模な I/O 要求に対してボリュームの I/O スループットが低下します。
このチューニングパラメータにより、個々のディスクのレベルより高いレベルの VxVM 内の I/O 要求のサイズが制限されます。たとえば、8 × 64 KB のストライプの場合、256 KB のデフォルト値によって、ストライプのディスクの半分を使う I/O 要求が可能となるため、可能なスループットは半分となります。より多くのカラムがある場合またはより大きいインタリーブ係数を使っている場合は、相対的な処理効率はさらに低下します。
このチューニングパラメータは、少なくとも、最大ストライプ (RAID 0 または RAID 5) のサイズに設定する必要があります。
|
vol_stats_enable
|
Veritas Volume Manager オブジェクトの I/O 統計情報収集を有効または無効にします。この機能はデフォルトで有効になっているため、デフォルト値は 1 です。
|
vol_subdisk_num
|
1 つのプレックスに接続できる最大サブディスク数を示します。このチューニングパラメータのデフォルト値は 4096 です。
|
voliomem_chunk_size
|
システムメモリを割り当てたり解放する場合、VxVM が使うメモリ領域のサイズを示します。サイズが大きいと、VxVM は大きいメモリ容量を保持できるため、メモリ割り当てによる CPU のオーバーヘッドは軽減されます。
このチューニングパラメータの値は、システムのページサイズによって決まります。デフォルト値より大きい値は指定できません。この値を変更した場合、VxVM はシステムを再ブートしたときに値をページサイズに整列させます。
ページサイズが 8 KB の場合、デフォルト値は 524288 (512 KB) です。
|
voliomem_maxpool_sz
|
VxVM が内部的にシステムに要求する最大メモリサイズを示します。このチューニングパラメータによって、1 つの I/O 操作でシステム内のすべてのメモリが使われることを防ぐことができるため、この値は、VxVM のパフォーマンスに直接影響します。
VxVM では、このサイズまで拡張可能なプールが、RAID 5 ボリュームとミラーボリューム用に 1 つずつ割り当てられます。インスタント (コピーオンライト) スナップショットが存在する場合は追加のプールが割り当てられます。
プールサイズの 1/4 よりも大きい RAID 5 ボリュームへの書き込み要求は分割され、プールサイズの 1/10 ずつ実行されます。
プールサイズよりも大きいミラーボリュームへの書き込み要求は分割され、プールサイズで実行されます。
このチューニングパラメータに許可された最小値は、メモリの 5% です。それよりも小さい値を指定した場合、この値は値の 5% に調整されます。
デフォルト値は 134217728 (128 MB) です。
voliomem_maxpool_sz の値は volraid_minpool_size の値より大きい必要があります。
voliomem_maxpool_sz 値は、少なくとも vol_maxio 値の 10 倍以上である必要があります。
|
voliot_errbuf_dflt
|
エラートレースイベント用に確保されているバッファのデフォルトサイズを示します。このバッファはドライバのロード時に割り当てられ、VxVM 実行中はサイズの調整はできません。
デフォルト値は 16384 バイト (16 KB) です。
このバッファを大きくすると、システムメモリが使われますが、エラーイベント用のストレージが多くなります。このバッファサイズを小さくすると、トレースデバイスによってエラーが検出されないことがあります。エラートレースに応じて応答動作を実行するアプリケーションは、このバッファに影響を受けます。
|
voliot_iobuf_default
|
トレースの一部として ioctl が使うカーネルバッファサイズについての指定がない場合に、トレースバッファを作成するためのデフォルトサイズを示します。
デフォルト値は 8192 バイト (8 KB) です。
このバッファサイズが小さすぎるために、トレースデータが損失されることが多い場合は、この値をより大きい値に変更できます。
|
voliot_iobuf_limit
|
カーネルでトレースバッファの格納に使えるメモリサイズの上限値を示します。トレースバッファは VxVM カーネルがトレースイベントレコードを格納するために使います。トレースバッファをカーネルに格納するよう要求されると、そのためのメモリがこのプールから引き出されます。
このサイズを大きくすると、システムメモリが使われますが、追加のトレースを実行できます。この値をシステムですぐに使えるメモリサイズより大きい値に設定することはお勧めできません。
デフォルト値は 4194304 バイト (4 MB) です。
|
voliot_iobuf_max
|
1 つのトレースバッファに使える最大バッファサイズを示します。このサイズより大きいバッファの要求は、このサイズになるよう自動的に切り捨てられます。トレースインターフェースから要求される最大バッファサイズは (使用制限により) このサイズのバッファになります。
このバッファのデフォルトサイズは 1048576 バイト (1 MB) です。
このバッファを大きくすると、使用率が高いボリュームでも、より大きいトレースを実行できます。
この値は、voliot_iobuf_limit チューニングパラメータの値より大きい値に設定しないでください。
|
voliot_max_open
|
同時に開くことのできる最大トレースチャネル数を示します。トレースチャネルはトレースデバイスドライバへのクローンエントリポイントです。システムで実行される各 vxtrace プロセスは 1 つのトレースチャネルを使います。
チャネルのデフォルト数は 32 です。
チャネルが使われていなくても、各チャネルの割り当てには約 20 バイト必要です。
|
volraid_minpool_size
|
このパラメータは、vxtune コマンドを使ってチューニングできます。RAID 5 ボリュームの操作のために VxVM がシステムに要求するメモリの初期サイズを示します。このメモリプールの最大サイズは、voliomem_maxpool_sz の値によって制限されます。
デフォルト値は 8192 セクタ (4 MB) です。
|
volraid_rsrtransmax
|
RAID 5 ボリュームに、並行して実行できる最大一時再構築操作数を示します。一時再構築操作とは、縮退されていない RAID 5 ボリューム上で生じる予測されていない操作です。同時に発生し得るこれらの操作数を制限すると、システムが多くの再構築操作でメモリが消費される可能性がなくなり、メモリ不足が生じるリスクも軽減されます。
デフォルト値は 1 です。
このサイズを大きくすると、障害が最初に生じたときと、障害オブジェクトの切断を実行する前のシステム上の初期処理効率は改善されますが、メモリが不足する可能性があります。
|
autostartvolumes
|
自動ボリュームリカバリをオンまたはオフにします。オンに設定すると、ディスクグループをインポート、結合、移動、分割すると VxVM は自動的にリカバリされ、無効なボリュームが起動します。オフに設定すると、この動作は行われません。デフォルト値は on です。
|
fssmartmovethreshold
|
個々のファイルシステムのしきい値です。合計で 100% です。このしきい値に達すると、SmartMove 機能は使われません。デフォルト値は 100 です。
|
reclaim_on_delete_start_time
|
シン LUN で、その LUN を使用するボリュームが削除された後に再生が開始される時刻です。24 時間制 (HH:MM) で指定します。デフォルト値は 22:10 です。
|
reclaim_on_delete_wait_period
|
シン LUN で、その LUN を使用するボリュームが削除された後に領域の再生利用を開始するまでの待機日数です。-1 から 366 までの整数で指定します。-1 を指定するとただちに開始され、366 を指定すると開始されません。デフォルト値は 1 です。
|
usefssmartmove
|
SmartMove 機能の状態。次に、有効な値を示します。
デフォルト値は、all です。
|