NetBackup™ Web UI Microsoft SQL Server 管理者ガイド

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Product(s): NetBackup (10.3)
  1. NetBackup for SQL Server について
    1.  
      NetBackup for SQL Server の概要
    2.  
      NetBackup for SQL Server の詳細な機能
  2. インストールとホストの構成
    1. NetBackup for SQL Server のインストールの計画
      1.  
        NetBackup サーバーおよびクライアントの要件
      2.  
        NetBackup クラスタ内で NetBackup for SQL Server を使用するための要件
      3.  
        NetBackup for SQL Server のライセンス
    2. SQL Server ホストとユーザー権限の構成
      1.  
        vSphere 用の Veritas VSS プロバイダのインストール
    3.  
      SQL Server のバックアップとリストアのための NetBackup サービスの設定
    4.  
      SQL Server のローカルセキュリティの権限の構成
    5.  
      SQL Server 管理者への RBAC の役割の割り当て
    6.  
      SQL Server エージェントのプライマリサーバーホスト名の構成
    7.  
      バックアップ操作を許可するジョブ数の設定
    8.  
      1 クライアントあたりの最大ジョブ数の構成
  3. SQL Server の検出とクレデンシャルの管理
    1. SQL Server オブジェクトの検出について
      1.  
        高度可用性グループまたは基本可用性グループのオンデマンドの検出
      2.  
        オンデマンドでのデータベースの検出
      3.  
        読み取りスケール可用性グループの検出
    2. SQL Server クレデンシャルについて
      1.  
        SQL Server 用のクレデンシャルの追加
      2.  
        SQL Server インスタンスまたはレプリカのクレデンシャルの選択
      3.  
        資産に適用されているクレデンシャル名の表示
      4.  
        指定したクレデンシャルの編集または削除
    3.  
      SQL Server インスタンスの削除
    4.  
      SQL Server インスタンスの手動での追加
  4. SQL Server の保護計画の管理
    1.  
      SQL Server 可用性グループの保護について
    2. SQL Server 資産を保護するための保護計画の作成
      1.  
        スケジュール
      2.  
        パフォーマンスチューニングおよび設定のオプション
    3.  
      保護計画への SQL Server 資産の追加
    4.  
      Microsoft SQL Server 資産の保護設定のカスタマイズ
    5.  
      SQL Server 資産の保護の削除
    6.  
      NetBackup ドメインをまたぐ SQL Server 可用性グループの保護
  5. Snapshot Client を使用するバックアップポリシーの構成
    1.  
      SQL Server 用の NetBackup Snapshot Client について
    2.  
      Snapshot Client を使用した SQL Server の操作
    3.  
      スナップショット方式
    4.  
      SQL Server スナップショットおよびインスタントリカバリバックアップの構成要件
    5.  
      SQL Server のスナップショットポリシーの構成
    6.  
      SQL Server のインスタントリカバリバックアップ用のポリシーの構成
    7. コピーのみのスナップショットバックアップによる差分バックアップの影響
      1.  
        コピーのみのバックアップの作成 (レガシー SQL Server ポリシー)
      2.  
        コピーのみではないインスタントリカバリバックアップの作成(レガシー SQL Server ポリシー)
    8. SQL Server エージェントのグループ化スナップショットについて
      1.  
        グループ化バックアップされたデータベースのリストア
  6. SQL Server の資産の詳細の表示
    1.  
      SQL Server 資産の参照
    2.  
      データベース、インスタンス、可用性グループの保護状態の表示
  7. SQL Server のリストア
    1.  
      SQL Server のリストアの要件
    2.  
      完全データベースリカバリの実行
    3.  
      1 つのリカバリポイントのリカバリ
    4.  
      SQL Server のリストアオプション
    5.  
      データベースのリストア (管理者以外のユーザー)
    6.  
      リカバリ用の別のバックアップコピーの選択
    7.  
      SQL Server 可用性データベースのセカンダリレプリカへのリストア
    8.  
      SQL Server 可用性データベースのプライマリレプリカとセカンダリレプリカへのリストア
  8. SQL Server でのインスタントアクセスの使用
    1. インスタントアクセス SQL Server データベースを構成する場合の前提条件
      1.  
        インスタントアクセスのハードウェアと構成の必要条件
    2.  
      インスタントアクセスデータベースを設定する前の考慮事項
    3.  
      SQL Server インスタントアクセス用の Samba ユーザーの構成
    4.  
      インスタントアクセスデータベースの構成
    5.  
      インスタントアクセスデータベースのライブマウントの詳細の表示
    6.  
      インスタントアクセスデータベースの削除
    7.  
      NetBackup for SQL Server インスタントアクセスのオプション
    8.  
      NetBackup for SQL Server の用語
    9.  
      よく寄せられる質問
  9. VMware バックアップを使用した SQL Server の保護
    1. VMware バックアップを使用したアプリケーションデータベースの保護について
      1.  
        VMware アプリケーションバックアップの制限事項
    2. SQL Server データを保護するための VMware バックアップを使用した保護計画の作成
      1.  
        バックアップオプション (Backup options) と詳細オプション (Advanced options)
      2.  
        バックアップからのディスクの除外
      3.  
        スナップショットの再試行オプション (Snapshot retry options)
    3.  
      VMware バックアップを使用した SQL Server データの保護
    4.  
      VMware バックアップからの SQL Server データベースのリストア
  10. 処理速度とトラブルシューティング
    1.  
      NetBackup for SQL Server のパフォーマンスに影響を与える要素
    2.  
      クレデンシャルの検証に関するトラブルシューティング
    3.  
      VMware のバックアップに関するトラブルシューティング
    4.  
      SQL Server の VMware バックアップ中に発生する SQL Server のログの切り捨てエラー

NetBackup for SQL Server のパフォーマンスに影響を与える要素

SQL Server や NetBackup のハードウェア環境と設定を含む多くの要因が、バックアップのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。

メモ:

次に示す要因の一部は、SQL Server のストリームベースの処理にのみ該当し、スナップショットバックアップまたはリストアには影響しません。

SQL Server インテリジェントポリシーの場合は、これらのパラメータを[Microsoft SQL Server]タブでポリシーに設定します。バックアップバッチファイル (レガシー SQL Server ポリシー) またはリストアバッチファイルの場合は、NetBackup MS SQL Client インターフェースでこれらのパラメータを設定します。NetBackup クライアントプロパティのこれらのパラメータを保存してセッションで使います。

SQL Server のバッファ領域パラメータ

[最大転送サイズ (Maximum transfer size)]、[バックアップするブロックサイズ (Backup block size)]、[ストライプあたりのクライアントバッファ (Client buffers per stripe)]によって、SQL Server のバッファ領域が増加する可能性があります。SQL Server にはこれらの値の増加をサポートするために利用可能なリソースが必要です。バッファ領域パラメータは、ストリームベースのバックアップのためにのみ適用可能です。

[最大転送サイズ (Maximum transfer size)]パラメータは、各バックアップ操作またはリストア操作に対して設定できます。[最大転送サイズ (Maximum transfer size)]は、SQL Server でバックアップイメージの読み取りおよび書き込みに使用されるバッファサイズです。通常、この値を大きくすると、SQL Server のパフォーマンスが向上します。

[バックアップするブロックサイズ (Backup block size)]パラメータは、各バックアップ操作に対して設定できます。リストアに対しては、NetBackup によって、バックアップに使用したサイズと同じサイズが自動的に選択されます。[バックアップするブロックサイズ (Backup block size)]は、SQL Server でバックアップイメージの読み取りおよび書き込みに使用される増分サイズです。

[ストライプあたりのクライアントバッファ (Client buffers per stripe)]によって、バックアップ操作またはリストア操作時に各データストリームの読み込みまたは書き込みのために割り当てるバッファ数が決定されます。この要素を 1 より大きい値に設定すると、データ転送時のマルチバッファが有効になります。より多くのバッファ数を割り当てることによって、NetBackup から NetBackup メディアサーバーへのデータ送信を高速化できます。マルチバッファは、バックアップまたはリストア操作中に Producer-Consumer で短期的な不均衡が発生するのを防ぎます。バッファ数には 32 まで設定できますが、通常は値を 2 または 3 に設定すれば十分です。

ストライプと並列バックアップ操作

データベースのサイズと数によっては、バックアップストライプまたは並列バックアップ操作の値を増やすとパフォーマンスとスループットが向上します。

ストライプを設定するために SQL Server エージェントに追加のオーバーヘッドが必要になったとしても、パフォーマンスの向上のほうが重要な大規模データベースでは、複数のストライプ ([バックアップストライプ数 (Number of backup stripes)]) が役立ちます。より小さい規模のデータベースについては、ストライプの使用によってパフォーマンス速度が低下する可能性があります。一般に、SQL Server インスタンスに少数の大規模データベースしかない場合は、ストライプの使用によってパフォーマンスは改善します。インスタンスに多数の小規模データベースがある場合は、[並列バックアップ操作 (Parallel backup operations)]の量を増加することが、パフォーマンスを改善するにはよりよい選択です。ストライプおよび並列バックアップ操作の両方を同時に高めることができますが、システムリソースにかかる負荷が高くなりすぎないように注意します。

バックアップ操作を許可するジョブ数の設定を参照してください。

注意:

ポリシーが複数のストライプを使用するようにも構成されている場合、スケジュールの多重化を有効にしないでください。1 つのバックアップポリシーに対して多重化と複数のストライプの両方が構成されていると、リストアに失敗します。

共有メモリの使用

最適なパフォーマンスを得るには、NetBackup サーバーを NetBackup for SQL Server と同じホスト上にインストールしてください。データの転送にソケットではなく共有メモリを使った場合にも最適化されます。install_path\NetBackup\NOSHM ファイルを作成しないかぎり、共有メモリはデフォルト構成です。

代替バッファ方式

NetBackup for SQL Server では、代替バッファ方式をサポートしています。この方式では、NetBackup と SQL Server 間でデータを転送することなく、同じメモリバッファを共有できるようにすることで、CPU の使用が最適化されます。

通常、バックアップおよびリストアの代替バッファ方式では、CPU 使用率のみが改善され、データ転送速度は向上しません。代替バッファ方式の使用中、転送速度が大幅に低下する場合があります。転送速度を上げるには、バックアップの[最大転送サイズ (Maximum transfer size)]を最大値である 4 MB に設定します。

バックアップ操作での代替バッファ方式について

次のすべての条件に当てはまる場合、この方式がバックアップに対して自動的に選択されます。

  • NetBackup 共有メモリが使用されている。

  • バックアップがストリームベースである。

  • バックアップが多重化されていない。

  • バックアップポリシーで、NetBackup 圧縮または NetBackup 暗号化のどちらも指定されていない。

  • NetBackup のバッファサイズと SQL Server のブロックサイズが同じである。

    NetBackup のバッファサイズのデフォルトは 64 KB ですが、この値は次の設定で変更できます。

    install_path\NetBackup\db\config\SIZE_DATA_BUFFERS (テープバックアップ用) または

    install_path\NetBackup\db\config\SIZE_DATA_BUFFERS_DISK (ディスクバックアップ用)

  • NetBackup for SQL Server エージェントを、NetBackup Client Service と同じアカウントを使用して起動している。

    自動バックアップポリシーから開始されたバックアップは、NetBackup Client Service で開始されるため、同じアカウントが使用されます。ただし、NetBackup for SQL Server または dbbackex を介して SQL Server バックアップを開始できます。この場合、ログオンアカウントが NetBackup Client Service アカウントと同じである必要があります。その後、バックアップは代替バッファ方式で行うことができます。

リストア操作での代替バッファ方式について

バックアップの条件として、代替バッファ方式を使用する必要があります。リストアの場合も、バックアップが代替バッファ方式で行われている必要があります。代替バッファ方式が使用されたことを検証できます。Using alternate buffer method という文字列を検索します。これは、dbclient ログおよび進捗レポートに表示されます。

SQL Server チェックサム

バックアップを実行する前に、チェックサムを実行することを選択できます。このオプションを有効にすると、バックアップ操作またはリストア操作でパフォーマンスが低下します。

レガシーバックアップポリシーの場合は、スクリプトを作成するときに[ページ検証 (Page verification)]値を設定します。リストアスクリプトの場合は、スクリプトの作成時に[リストアは実行せずに、バックアップイメージを検証 (Verify backup image, but do not restore)]オプションを選択します。

インスタントデータファイルの初期化

データベース、ファイルグループまたはデータベースファイルをリストアする場合、SQL Server によってファイル領域がゼロにリセットされてからリストア操作が開始されます。この処理によって、リカバリ時間の合計が 2 倍になる可能性があります。ファイルの初期化を回避するには、SE_MANAGE_VOLUME_NAME に割り当てられた Windows アカウントで MSSQLSERVER サービスを実行します。詳しくは、SQL Server と Windows のマニュアルを参照してください。