Veritas NetBackup™ ログリファレンスガイド
- ログの使用
- バックアッププロセスおよびログ記録
- メディア、デバイスプロセスおよびログ記録
- リストアプロセスおよびログ記録
- 高度なバックアップおよびリストア機能
- ストレージのログ記録
- NetBackup 重複排除ログ
- OpenStorage Technology (OST) のログ記録
- SLP (Storage Lifecycle Policy) および自動イメージレプリケーション (A.I.R.) のログ記録
- スナップショット技術
- ログの場所
- Java ベースの管理コンソールのログ記録
合成バックアップ
NetBackup の典型的なバックアップ処理では、クライアントにアクセスしてバックアップを作成します。合成バックアップとは、クライアントを使用せずに作成されたバックアップイメージのことです。合成バックアップ処理では、クライアントを使用する代わりに、コンポーネントイメージと呼ばれる、以前に作成したバックアップイメージを使用して完全イメージまたは累積増分イメージが作成されます。
メモ:
合成アーカイブは存在しません。
たとえば、既存の完全イメージとその後の差分増分イメージを合成して、新しい完全イメージを作成できます。以前の完全イメージと増分イメージが、コンポーネントイメージです。新しく作成された合成完全イメージは、従来の処理で作成されたバックアップと同様に動作します。またこの合成完全イメージは、最新の増分と同時期のクライアントのバックアップになります。合成イメージは、ファイルを含む最新のコンポーネントイメージから各ファイルの最新バージョンをコピーすることによって作成されます。合成バックアップは[True Image Restore]と[移動検出 (Move Detection)]オプションを選択したポリシーを使って作成する必要があります。このオプションによって、クライアントのファイルシステムから削除されたファイルが、合成バックアップに表示されないようにすることができます。
従来のバックアップのように、nbpem は合成バックアップを開始します。nbpem は nbjm に要求を送信して合成バックアップを開始し、その後で nbjm がマスターサーバー上で動作する bpsynth を開始します。合成バックアップイメージの作成が制御され、コンポーネントイメージからの必要なファイルの読み込みが制御されます。デバッグログディレクトリに bpsynth というディレクトリが存在する場合、追加のデバッグログメッセージは、このディレクトリ内のログファイルに書き込まれます。
bpsynth では、複数のフェーズで合成イメージを作成します。
表:
フェーズ | 説明 |
---|---|
1 - カタログ情報とエクステントの準備 | フェーズ 1 では、bpsynth はデータベースマネージャ bpdbm の合成バックアップ要求を作ります。bpsynth はコンポーネントイメージカタログのエントリと TIR 情報を使って新しい合成イメージのカタログを構築します。また、コンポーネントイメージから合成イメージにコピーされるエクステントも作成されます。bpdbm サービスは bpsynth にエクステントのリストを返します。(エクステントとは、特定のコンポーネントイメージ内の開始ブロック番号と連続したブロックの数のことです。)通常はエクステントのセットを各コンポーネントイメージから新しい合成イメージにコピーする必要があります。 次の図に、フェーズ 1 の動作を示します。 |
2 - リソースの取得 | フェーズ 2 では、bpsynth が新しいイメージの書き込みリソース (ストレージユニット、ドライブ、メディア) が取得されます。また、コンポーネントイメージが含まれるすべての読み込みメディアが予約され、最初に読み込むメディア用のドライブが取得されます。 コンポーネントイメージが BasicDisk に存在する場合、リソースの予約は行われません。 |
3 - データのコピー | フェーズ 3 では、bpsynth がメディアサーバー上で (テープとディスクの) ライター bptm を開始して新しい合成イメージを書き込みます。また、リーダー bptm (テープ用) またはbpdm (ディスク用) 処理も開始します。リーダープロセスによって、コンポーネントイメージのすべてのエクステントが読み込まれます。 次の図に、フェーズ 3 の動作を示します。 bpsynth によってメディアサーバー上で起動されるのは、bptm (ライター) および bpdm (リーダー) の親プロセスだけです。その後、親プロセスによって子プロセスが起動されます。親と子のプロセス間の通信は、共有メモリのバッファを介して行われます。 bpsynth プロセスによって、各コンポーネントイメージのエクステント (開始ブロックおよび数) が、対応する bptm または bpdm リーダーの子プロセスに送信されます。 bptm または bpdm リーダーの親プロセスによって、適切なメディアから共有バッファにデータが読み込まれます。bptm または bpdm リーダーの子プロセスによって、共有バッファにあるデータが、ソケットを介して bptm ライターの子プロセスに送信されます。bptm ライターの子プロセスによって、データが共有バッファに書き込まれます。bptm ライターの親プロセスによって、共有バッファからメディアにデータがコピーされ、bpsynth に、合成イメージの作成が完了したことが通知されます。 |
4 - イメージの検証 | フェーズ 4 では、bpsynth プロセスによってイメージの妥当性がチェックされます。これで、新しいイメージが NetBackup で認識されるようになり、他の完全バックアップまたは累積増分バックアップと同様に使用できます。 合成バックアップには、移動検出機能を使った True Image Restore (TIR) が各コンポーネントイメージで選択されることと、コンポーネントイメージが合成イメージであることが必要です。 |