Dynamic Multi-Pathing 8.0 管理者ガイド - Linux
- DMP について
- ネイティブデバイス管理のための DMP の設定
- Oracle Automatic Storage Management (ASM)での Dynamic Multi-Pathing (DMP)デバイスの使用
- DMP の管理
- vxdmpadm ユーティリティを使った DMP の管理
- I/O 統計情報の収集と表示
- I/O ポリシーの指定
- ディスクの管理
- 新しく追加されたディスクデバイスの検出と設定
- ディスクの検出とディスクアレイの動的な追加について
- デバイス検出層の管理方法
- ディスクデバイスの名前の付け方の変更
- デバイスの動的再構成
- イベント監視
- 処理効率の監視とチューニング
- 付録 A. DMP のトラブルシューティング
- 付録 B. 参照先
エンクロージャに基づく名前の付け方について
オペレーティングシステムに基づくデバイスの名前の付け方の代わりに、エンクロージャに基づく名前の付け方を使うことができます。ファイバーチャネルスイッチを使うストレージエリアネットワーク(SAN)では、オペレーティングシステムからのディスクの配置情報で、ディスクの物理的位置が正しく示されない場合があります。エンクロージャに基づく名前の付け方では、DMP はエンクロージャに個々の物理エンティティとしてアクセスできます。 個々のエンクロージャに、データの冗長性のあるコピーを設定することで、1 つ以上のエンクロージャの障害に対抗できます。
図: ファイバーチャネルスイッチで接続されているディスクエンクロージャの設定例 に、ホストコントローラがファイバーチャネルスイッチを使って複数のエンクロージャに接続されている通常の SAN 環境を示します。
このような設定では、エンクロージャに基づく命名を使って、エンクロージャ内の各ディスクを示すことができます。たとえば、エンクロージャ enc0 内のディスクのデバイス名は enc0_0、enc0_1 のように設定されています。この規則の主な利点は、大規模な SAN 設定でディスクの物理的位置を迅速に特定できることです。
ほとんどのディスクアレイでは、ハードウェアベースのストレージ管理を使って、複数の物理ディスク 1 つの LUN としてオペレーティングシステムに提示できます。このような場合、VxVM でもコンポーネントディスクではなく、1 つの論理ディスクデバイスを認識します。このため、エンクロージャ内のディスクにリファレンスを作成する場合、ディスクは物理ディスクまたは LUN になります。
エンクロージャに基づく命名によるもう 1 つの重要な利点は、VxVM がデータの冗長なコピーを同じエンクロージャに配置するのを回避できることです。各エンクロージャは独立した障害のあるドメインと認識される可能性があるため、そのような配置を回避するのは好ましいことです。 たとえば、ミラー化したボリュームがエンクロージャ enc1 のディスク上にのみ設定された場合は、スイッチとエンクロージャ間のケーブル障害により、ボリューム全体が利用できなくなることがあります。
必要に応じて、DMP がエンクロージャに割り当てたデフォルト名を自分の設定に意味のある名前に交換することができます。
図: 冗長ループアクセスを実行するために複数のスイッチを使った HA の設定例 に、ホスト上の独立したコントローラをエンクロージャへの独立したパスを持つ個々のスイッチに接続して、ストレージへの冗長ループアクセスを実現する高可用性(HA)設定を示します。
このような設定により、ホストコントローラ(c1 と c2)のいずれかに障害が発生したり、ホストといずれかのスイッチをつなぐケーブルに障害が発生しても可用性を維持することができます。この例では、VxVM がアクセスできるすべてのパスで、各ディスクは同じ名前になっています。たとえば、ディスクデバイス enc0_0 は 1 つのディスクを表しますが、オペレーティングシステムには 2 つの異なるパス、sdf と sdm が認識されています。
データの冗長性を設定するとき、ドメインに障害が発生することを考慮するために、ミラー化したボリュームを、エンクロージャをまたがってレイアウトする方法を制御できます。