NetBackup™ NAS 管理者ガイド
- 第 I 部 NAS バックアップについて
- 第 II 部 NAS-Data-Protection (D-NAS) の使用
- D-NAS の概要
- D-NAS 構成の前提条件
- NAS ボリュームの D-NAS ポリシーの構成
- アクセラレータの使用
- D-NAS ポリシーを使用したレプリケーション
- D-NAS バックアップからのリストア
- トラブルシューティング
- 第 III 部 セクション 3
- NetBackup for NDMP の概要
- NetBackup for NDMP について
- NDMP バックアップの形式
- 異なるホストへのテープドライブの割り当てについて
- NetBackup for NDMP のインストールについての注意事項
- NDMP に接続されたデバイスへの NDMP バックアップの構成
- [メディアおよびデバイスの管理 (Media and Device Management)]の構成について
- NDMP ポリシーの作成について
- DAR の有効化または無効化について
- NetBackup メディアサーバーへの NDMP バックアップ (リモート NDMP) の構成
- NDMP ダイレクトコピーの構成
- Accelerator for NDMP
- リモート NDMP とディスクデバイス
- NetBackup for NDMP での Shared Storage Option (SSO) の使用
- バックアップおよびリストアの手順
- トラブルシューティング
- NetBackup for NDMP のスクリプトの使用
- NetBackup for NDMP の概要
NetBackup Accelerator for NDMP について
メモ:
現在は、NetApp ファイラと Isilon ファイラのみが NetBackup Accelerator for NDMP オプションとしてサポートされています各 NAS ベンダーのサポート対象バージョンの最新リストについては、NetBackup のすべてのバージョンの互換性リストを参照してください。
NetApp ファイラの場合は、Accelerator for NDMP は DUMP 形式のみをサポートします。DUMP 形式の具体的な詳細は、NetApp のマニュアルを参照してください。
NetBackup のアクセラレータオプションを使用すると、NetApp ファイラと Isilon ファイラの NDMP バックアップを通常の NDMP バックアップよりも高速に実行できます。NetBackup Accelerator は前回のバックアップ以降に行われた修正を識別するファイラの変更検出技術を使用して、完全バックアップの速度を加速します。ファイラからすべてのデータを保護する初回の完全バックアップ後は、NetBackup Accelerator はファイラで変更されたデータのバックアップのみをメディアサーバーに作成します。メディアサーバーは変更したデータと以前のバックアップイメージを組み合わせて新しい完全バックアップイメージを作成します。ファイルまたはファイルの一部がストレージにすでに存在し、変更されていない場合には、メディアサーバーはファイラから読み込むのではなくストレージにある複製を使ってバックアップイメージの作成を完了します。結果として、NetBackup NDMP のバックアップをすばやく作成できます。
メモ:
NetApp ファイラの場合は、完全バックアップ (定期的な再スキャンや強制再スキャン) と増分バックアップの両方でアクセラレータの最適化が見込まれます。Isilon ファイラの場合は、完全バックアップ (定期的な再スキャン - 強制再スキャンではない) でのみアクセラレータの最適化が見込まれます。
Accelerator for NDMP には、次の利点があります。
複製、DAR リストア、多重化などのすべての NetBackup NDMP 機能をサポートする
ファイラと NetBackup サーバー間にネットワーク帯域幅をあまり使用しないコンパクトなバックアップストリームを作成する
メディアサーバーの I/O と CPU のオーバーヘッドを削減する
Accelerator for NDMP を設定するには、NDMP ポリシーの[属性 (Attributes)]タブにある[アクセラレータを使用 (Use Accelerator)]チェックボックスにチェックマークを付けます。ファイラに変更を加える必要はありません。
メモ:
Isilon ファイラの場合のみ、環境変数を使用している次の動作に注意します。
Isilon ファイラでは、アクセラレータを有効にして NetBackup NDMP バックアップポリシーに HIST 環境変数を設定する場合は、値 D (SET HIST=D) のみを指定できます。D によってディレクトリまたはノードファイルの履歴形式が指定されます。HIST 変数にその他の値を指定すると、値を D に変更するように求めるメッセージが NetBackup で表示されます。ポリシーで HIST 変数を使用しなくても、バックアップは正常に完了します。
アクセラレータが有効になっている NetBackup NDMP バックアップポリシーでいずれかの変数を変更する場合、同じ変数を使用して 2 回目の完全バックアップを実行するまで、アクセラレータの最適化率は 0% です。ポリシーの変数を変更すると、最初の完全バックアップで新しいベースラインイメージが作成されます。アクセラレータの最適化率は、同じ変数を使用して 2 回目の完全バックアップを実行した後にのみ表示されます。
NDMP ポリシーの環境変数について詳しくは、次のページを参照してください。
バックアップ対象リスト内の環境変数についてを参照してください。
メモ:
NDMP バックアップポリシーに NetApp ファイラの smtape 環境変数が含まれる場合は、Accelerator for NDMP が有効になっていると最適化は行われません。smtape 環境変数は、単一ファイルの完全バックアップのように、常にボリューム全体のバックアップを作成します。smtape について詳しくは、NetApp ファイラのマニュアルを参照してください。バックアップポリシーの smtape について詳しくは、「NetBackup for NDMP: NAS appliance Information」で、NetApp での NetBackup のバックアップポリシーについての記事を参照してください。
NDMP ポリシーに NetApp、Isilon、およびその他のベンダーのファイラの組み合わせが含まれる場合は、NetApp ファイラと Isilon ファイラのみでアクセラレータのオプションを使用します。ジョブ詳細のメッセージでアクセラレータオプションを使うファイラとオプションを使うタイミングを識別します。これらのジョブ詳細メッセージについて詳しくは、次を参照してください。
NDMP バックアップジョブ詳細ログのアクセラレータメッセージを参照してください。
メモ:
アクセラレータを使用しない NDMP バックアップとは異なり、アクセラレータを使用する NDMP バックアップでは 0 から 9 までの NDMP ダンプレベルを使用せずに変更されたファイルを確認します。代わりに、BASE_DATE と DUMP_DATE を使って変更したファイルを判断します。BASE_DATE で最新の完全バックアップまたは増分バックアップのタイムスタンプを取得します。DUMP_DATE で現在実行中のバックアップのタイムスタンプを取得します。Accelerator for NDMP を有効にすると、BASE_DATE と DUMP_DATE の間で変更されたデータのバックアップのみが作成されます。
このファイラのダンプレベルメッセージはジョブ詳細ログに引き続き記録されます。ただし、Accelerator for NDMP でダンプレベルを使用しないことを確認するために、ジョブの詳細に「please ignore references to LEVEL in future messages」というメッセージも表示されます。
アクセラレータと NDMP バックアップの連携方法:
アクセラレータを使った初回の完全バックアップ
アクセラレータオプションが有効になっている初回の NDMP 完全バックアップジョブは通常の完全バックアップに類似しています。実行時間はアクセラレータ機能を使わないバックアップよりわずかに長くなることがあります。ファイラからすべてのデータのバックアップを作成し、ベースラインバックアップイメージを提供し、初回のトラックログを作成します。
メモ:
次回の定時バックアップが増分バックアップの場合は最初にアクセラレータを有効にすると、NetBackup は NDMP ポリシーを使わない NetBackup Accelerator と同様に自動的に完全バックアップイメージをトリガしません。Accelerator for NDMP を使用すると、引き続き増分バックアップが予定どおりに実行されます。[アクセラレータを使用 (Use Accelerator)]オプションを有効にして NetApp ファイラを使用すると初回のトラックログも作成されるので、増分バックアップの速度が上がります。次回の完全バックアップは定時にのみ実行します。
アクセラレータを使った増分バックアップ
以降の増分バックアップジョブでは前回のバックアップ以降に変更されたデータのみのバックアップを作成します。
アクセラレータを使った次回の完全バックアップ
以降の完全バックアップジョブでは前回のバックアップ以降に変更されたデータのみのバックアップを作成します。トラックログは、前回のバックアップからどのデータを含めるのかを決定するために使用されます。これには、前回の完全バックアップおよびそれに続くすべての増分バックアップが含まれます。NetBackup はファイラのすべてのデータを含む完全バックアップイメージを作成します。
アクセラレータを使った完全バックアップの再スキャンの強制
[アクセラレータ強制再スキャン (Accelerator forced rescan)]オプションは次回のアクセラレータバックアップに新しいベースラインを確立してセーフティネットの役割を果たします。ポリシーの[スケジュール (Schedules)]ページでこのオプションを設定すると、ファイラのデータすべてのバックアップを作成します。このバックアップはアクセラレータを使用した初回の完全バックアップと同様に、これ以降のバックアップの新しいベースラインになります。[アクセラレータを使用する (Use Accelerator)]オプションで週単位の完全バックアップスケジュールを設定する場合、[アクセラレータ強制再スキャン (Accelerator forced rescan)]を有効にする別のスケジュールでポリシーを補足できます。6 カ月ごとまたはご利用の環境に適したときにいつでも実行するようにスケジュールを設定します。NetApp ファイラの場合、[アクセラレータ強制再スキャン]を指定したバックアップは、アクセラレータを使用した完全バックアップよりも少し長く時間がかかると予想されます。Isilon ファイラの場合、[アクセラレータ強制再スキャン]を指定したバックアップは、アクセラレータを使用した初回の完全バックアップと同じくらい時間がかかる可能性があります。これらのオプションについて詳しくは、次を参照してください。