NetBackup™ クラウド管理者ガイド
- NetBackup Cloud Storage について
- クラウドストレージについて
- Amazon S3 クラウドストレージの API 形式について
- NetBackup のクラウドストレージの構成
- [拡張性のあるストレージ (Scalable Storage)]プロパティ
- [クラウドストレージ (Cloud Storage)]プロパティ
- NetBackup CloudStore Service Container について
- クラウドストレージの NetBackup メディアサーバーについて
- クラウドストレージのストレージサーバーの構成
- NetBackup クラウドストレージサーバーのプロパティ
- クラウドストレージ用のストレージユニットの構成
- クラウドストレージディスクプールプロパティの変更
- 監視とレポート
- 操作上の注意事項
- トラブルシューティング
- 統合ログについて
- レガシーログについて
- クラウドストレージの構成上の問題のトラブルシューティング
- クラウドストレージの操作上の問題のトラブルシューティング
クラウドストレージのオブジェクトのサイズについて
バックアップ中、NetBackup はバックアップイメージデータを「オブジェクト」と呼ばれるチャンクに分割します。各オブジェクトをクラウドストレージに移動するために、オブジェクトごとに PUT 要求が実行されます。
カスタムのオブジェクトサイズを設定すると、クラウドストレージとの間で送受信される PUT 要求と GET 要求の量を制御できます。PUT 要求と GET 要求の数を少なくすると、要求に対して課金されるコストを減らすことができます。
オブジェクトサイズのカスタム値は、クラウドストレージサーバーの作成時に指定できます。クラウドストレージプロバイダ、ハードウェア、インフラストラクチャ、期待するパフォーマンス、およびその他の要因を考慮して値を決定してください。クラウドストレージサーバーのオブジェクトサイズは、一度設定すると変更できません。別のオブジェクトサイズを設定するには、クラウドストレージサーバーを再作成する必要があります。
クラウドでの NetBackup のパフォーマンスは、オブジェクトのサイズ、並列接続の数、読み取りまたは書き込みバッファのサイズの組み合わせによって決まります。
バックアップ操作とリストア操作のパフォーマンスを向上するため、NetBackup はクラウドストレージへの複数の並列接続を使用します。NetBackup のパフォーマンスは並列接続数によって異なります。並列接続数は読み取りまたは書き込みバッファのサイズとオブジェクトのサイズから算出されます。
読み取りまたは書き込みバッファのサイズ (ユーザー設定) ÷ オブジェクトのサイズ (ユーザー設定) = 並列接続の数 (算出)。これらの決定要因の関連を次の図に示します。
これらの決定要因の関連を次の図に示します。
並列接続数を決定する際は、以下の要因を考慮します。
クラウドストレージプロバイダによって許可される並列接続の最大数
NetBackup とクラウドストレージ環境の間のネットワークで利用可能な帯域幅
NetBackup ホストで利用可能なシステムメモリ
オブジェクトのサイズを大きくすると、並列接続の数は減ります。並列接続の数は、アップロードやダウンロードの速度に影響します。
読み取りまたは書き込みバッファのサイズを大きくすると、並列接続数が増加します。同様に、並列接続数を少なくしたい場合は、読み取りまたは書き込みバッファのサイズを小さくします。ただし、ネットワーク帯域幅と利用可能なシステムメモリを考慮する必要があります。
クラウドプロバイダは、バックアップまたはリストアの処理中に開始した PUT 要求と GET 要求の数に対して課金します。オブジェクトのサイズが小さいほど、PUT 要求または GET 要求の数は多くなり、結果的にコストが高くなります。
データ転送で一時的なエラーが発生した場合、NetBackup は、再試行を何度か実行して、失敗したオブジェクトを転送しようとします。エラーが続くと、完全なオブジェクトが再び転送されます。また、レイテンシとパケット損失が大きい場合は、パフォーマンスが低下することがあります。レイテンシとパケット損失の問題は並列接続数を大きくすると解決することがあります。
NetBackup では、クライアント側でいくつかのタイムアウトが設定されています。アップロード操作が算出された最低の NetBackup データ転送速度より (オブジェクトのサイズが大きいために) 遅くなる場合は、NetBackup でエラーが発生している可能性があります。
重複排除がサポートされていないレガシー環境では、接続数が少ないと、並列で行われるダウンロードの数は以前の接続数の場合より少なくなります。
たとえば、旧バージョン (8.0 以前) のイメージからリストアする場合にオブジェクトのサイズが 1 MB のときは、(1 つの接続につき) 16 MB のバッファは完全には使用されず、メモリは消費されます。オブジェクトのサイズを大きくしても、利用可能な読み取りまたは書き込みバッファサイズのメモリのため、接続数には制限があります。
デフォルト設定は以下のとおりです。