NetBackup™ クラウド管理者ガイド

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Product(s): NetBackup (10.0)
  1. NetBackup Cloud Storage について
    1.  
      Cloud Storage の機能について
    2.  
      クラウド構成ファイルのカタログバックアップについて
    3.  
      NetBackup クラウドストレージのサポート制限事項について
  2. クラウドストレージについて
    1.  
      NetBackup のクラウドストレージベンダーについて
    2. Amazon S3 クラウドストレージの API 形式について
      1.  
        NetBackup 認定の Amazon S3 クラウドストレージベンダー
      2.  
        Amazon S3 ストレージ形式の要件
      3.  
        Amazon S3 クラウドプロバイダのユーザーに必要な権限
      4.  
        Amazon S3 のクラウドストレージプロバイダのオプション
      5.  
        Amazon S3 のクラウドストレージのオプション
      6.  
        Amazon S3 のサーバーの詳細な構成オプション
      7.  
        Amazon S3 クレデンシャルブローカーの詳細
      8.  
        Amazon S3 対応クラウドプロバイダのプライベートクラウドについて
      9.  
        Amazon S3 ストレージクラスについて
      10.  
        NetBackup による Amazon 仮想プライベートクラウドサポート
      11. 長期保持のための Amazon のデータの保護について
        1. Amazon Glacier でのデータの保護について
          1.  
            Amazon Glacier からのデータのリストアについて
        2. Amazon Glacier Vault でのデータの保護について
          1.  
            Amazon Glacier Vault へのデータのバックアップについて
          2.  
            Amazon Glacier Vault からのデータのリストアについて
      12. Amazon のクラウド階層化を使用したデータの保護
        1.  
          LIFECYCLE ストレージクラスを使用したデータのバックアップについて
        2.  
          LIFECYCLE ストレージクラスからのデータのリストアについて
      13. NetBackup での Amazon IAM ロールの使用について
        1.  
          NetBackup での AWS IAM ロールの構成
      14.  
        NetBackup における Amazon S3 クラウドコネクタの文字制限について
      15. Amazon Snowball および Amazon Snowball Edge を使用したデータの保護
        1.  
          Amazon Snowball クライアントを使用した Amazon Snowball 用 NetBackup の構成
        2.  
          Amazon S3 API インターフェースを使用した Amazon Snowball 用 NetBackup の構成
        3.  
          複数の Amazon S3 アダプタの使用
        4.  
          ファイルインターフェースを使用した Amazon Snowball Edge 用の NetBackup の構成
        5.  
          S3 API インターフェースを使用した Amazon Snowball Edge 用 NetBackup の構成
        6.  
          Amazon Snowball および Amazon Snowball Edge の SSL の構成
        7.  
          S3 API インターフェースを使用した場合のバックアップ後の手順
    3. Microsoft Azure クラウドストレージ API 形式について
      1.  
        NetBackup 認定の Microsoft Azure クラウドストレージベンダー
      2.  
        Microsoft Azure ストレージ形式の要件
      3.  
        Microsoft Azure クラウドストレージプロバイダのオプション
      4.  
        Microsoft Azure のサーバーの詳細な構成オプション
      5.  
        長期保持用の Microsoft Azure Archive データの保護
    4. OpenStack Swift クラウドストレージの API 形式について
      1.  
        NetBackup 認定の OpenStack Swift クラウドストレージベンダー
      2.  
        OpenStack Swift のストレージ形式の要件
      3.  
        OpenStack Swift のクラウドストレージプロバイダのオプション
      4.  
        OpenStack Swift のストレージ領域のオプション
      5.  
        OpenStack Swift のクラウドストレージの追加の構成オプション
      6.  
        OpenStack Swift プロキシ設定
  3. NetBackup のクラウドストレージの構成
    1.  
      NetBackup でクラウドストレージの構成を開始する前に
    2.  
      NetBackup のクラウドストレージの構成
    3.  
      Cloud のインストール要件
    4. [拡張性のあるストレージ (Scalable Storage)]プロパティ
      1.  
        帯域幅スロットルの詳細設定
      2.  
        帯域幅スロットルの詳細設定
    5. [クラウドストレージ (Cloud Storage)]プロパティ
      1.  
        クラウドストレージインスタンスの追加
      2.  
        クラウドストレージホストプロパティの変更
      3.  
        クラウドストレージホストのインスタンスの削除
    6. NetBackup CloudStore Service Container について
      1.  
        NetBackup CloudStore Service Container のセキュリティ証明書
      2.  
        NetBackup CloudStore Service Container のセキュリティモード
      3.  
        NetBackup cloudstore.conf 設定ファイル
    7.  
      ホスト名ベースの証明書の配備
    8.  
      ホスト ID ベースの証明書の配備
    9.  
      クラウドバックアップ用のデータ圧縮について
    10.  
      クラウドストレージのデータ暗号化について
    11.  
      NetBackup クラウドストレージの暗号化の NetBackup KMS について
    12.  
      NetBackup クラウドストレージの暗号化の外部 KMS について
    13.  
      クラウドストレージサーバーについて
    14.  
      クラウドストレージのオブジェクトのサイズについて
    15. クラウドストレージの NetBackup メディアサーバーについて
      1.  
        NetBackup クラウドのマスターホストとしてのメディアサーバーの使用
    16. クラウドストレージのストレージサーバーの構成
      1.  
        KMS データベース暗号化の設定
      2.  
        ストレージクラスの Amazon クラウドストレージへの割り当て
    17.  
      クラウドストレージサーバープロパティの変更
    18. NetBackup クラウドストレージサーバーのプロパティ
      1.  
        NetBackup クラウドストレージサーバー帯域幅スロットルのプロパティ
      2.  
        NetBackup クラウドストレージサーバーの接続プロパティ
      3.  
        NetBackup クラウドストレージサーバーの暗号化プロパティ
    19.  
      クラウドストレージのディスクプールについて
    20.  
      クラウドストレージのディスクプールの構成
    21.  
      NetBackup クラウドストレージ暗号化の KMS キー名のレコードの保存
    22.  
      クラウド環境へのバックアップメディアサーバーの追加
    23. クラウドストレージ用のストレージユニットの構成
      1.  
        クラウドストレージユニットのプロパティ
      2.  
        クライアントとサーバーの最適比率の構成
      3.  
        メディアサーバーへのバックアップ通信量の制御
    24.  
      NetBackup アクセラレータバックアップと NetBackup 最適化合成バックアップについて
    25.  
      NetBackup アクセラレータをクラウドストレージで有効にする
    26.  
      最適化合成バックアップをクラウドストレージで有効にする
    27.  
      バックアップポリシーの作成
    28. クラウドストレージディスクプールプロパティの変更
      1.  
        クラウドストレージディスクプールのプロパティ
    29.  
      証明書失効リスト (CRL) に対する証明書の検証
    30.  
      NetBackup クラウドの認証局 (CA) の管理
  4. 監視とレポート
    1.  
      クラウドバックアップの監視とレポートについて
    2.  
      クラウドストレージジョブの詳細表示
    3.  
      圧縮率の表示
    4.  
      NetBackup クラウドストレージのディスクレポートの表示
    5.  
      クラウドストレージ暗号化用の KMS キー情報の表示
  5. 操作上の注意事項
    1.  
      NetBackup bpstsinfo コマンドの操作上の注意事項
    2.  
      追加のメディアサーバーを構成できない
    3.  
      NetBackup アクセス制御が有効になっている場合、クラウドの構成が失敗することがある
    4.  
      クラウドストレージサーバーのアーティファクトの削除
    5.  
      csconfig reinitialize を使用した更新済みのクラウド構成設定のロード
    6.  
      マスターサーバーとレガシークラウドストレージメディアサーバー間の通信の有効化または無効化
  6. トラブルシューティング
    1. 統合ログについて
      1.  
        vxlogview コマンドを使用した統合ログの表示について
      2.  
        vxlogview を使用した統合ログの表示の例
    2. レガシーログについて
      1.  
        クラウドストレージ用の NetBackup ログファイルディレクトリの作成
    3.  
      NetBackup クラウドストレージログファイル
    4.  
      libcurl ログの有効化
    5.  
      NetBackup 管理コンソールを開けない
    6. クラウドストレージの構成上の問題のトラブルシューティング
      1.  
        NetBackup の拡張性のあるストレージのホストプロパティを利用できない
      2.  
        NetBackup CloudStore Service Container への接続が失敗する
      3.  
        クラウドストレージのディスクプールを作成できない
      4.  
        クラウドストレージを作成できません
      5.  
        クラウドストレージサーバーへのデータ転送が、SSL モードで失敗する
      6.  
        Amazon GovCloud クラウドストレージの設定が非 SSL モードで失敗する
      7.  
        Google Nearline ストレージからのデータリストアは失敗する場合がある
      8.  
        フランクフルト地域でクラウドストレージ構成のバックアップが失敗することがある
      9.  
        クラウド圧縮オプションを使うクラウドストレージ構成のバックアップが失敗することがある
      10.  
        認証バージョン V2 でのストレージ領域のフェッチの失敗
    7. クラウドストレージの操作上の問題のトラブルシューティング
      1.  
        クラウドストレージバックアップが失敗する
      2.  
        NetBackup CloudStore Service Container の停止と起動
      3.  
        nbcssc (レガシーメディアサーバー)、nbwmc、nbsl のプロセスを再起動するとすべての cloudstore.conf 設定が元に戻される
      4.  
        NetBackup CloudStore Service Container の起動とシャットダウンのトラブルシューティング
      5.  
        GLACIER リストアジョブのキャンセル後に bptm プロセスの終了に時間がかかる
      6.  
        Amazon Glacier Vault のイメージクリーンアップエラーの処理
      7.  
        孤立したアーカイブの手動によるクリーンアップ
      8.  
        Amazon Glacier Vault からのリストアが 1 つのフラグメントで 24 時間より長くかかる
      9.  
        GLACIER_VAULT からのリストアが Oracle データベースで 24 時間より長くかかる
      10.  
        Amazon IAM アクセス権がないために発生するエラーのトラブルシューティング
      11.  
        リストアジョブの開始時刻がバックアップジョブの終了時刻と重なるとリストアジョブが失敗する
      12.  
        Azure アーカイブからのリストアの後処理が失敗する
    8.  
      Amazon Snowball および Amazon Snowball Edge の問題のトラブルシューティング
  7.  
    索引

クラウドストレージのオブジェクトのサイズについて

バックアップ中、NetBackup はバックアップイメージデータを「オブジェクト」と呼ばれるチャンクに分割します。各オブジェクトをクラウドストレージに移動するために、オブジェクトごとに PUT 要求が実行されます。

カスタムのオブジェクトサイズを設定すると、クラウドストレージとの間で送受信される PUT 要求と GET 要求の量を制御できます。PUT 要求と GET 要求の数を少なくすると、要求に対して課金されるコストを減らすことができます。

オブジェクトサイズのカスタム値は、クラウドストレージサーバーの作成時に指定できます。クラウドストレージプロバイダ、ハードウェア、インフラストラクチャ、期待するパフォーマンス、およびその他の要因を考慮して値を決定してください。クラウドストレージサーバーのオブジェクトサイズは、一度設定すると変更できません。別のオブジェクトサイズを設定するには、クラウドストレージサーバーを再作成する必要があります。

オブジェクトのサイズを選択するためのガイドライン

クラウドでの NetBackup のパフォーマンスは、オブジェクトのサイズ、並列接続の数、読み取りまたは書き込みバッファのサイズの組み合わせによって決まります。

バックアップ操作とリストア操作のパフォーマンスを向上するため、NetBackup はクラウドストレージへの複数の並列接続を使用します。NetBackup のパフォーマンスは並列接続数によって異なります。並列接続数は読み取りまたは書き込みバッファのサイズとオブジェクトのサイズから算出されます。

読み取りまたは書き込みバッファのサイズ (ユーザー設定) ÷ オブジェクトのサイズ (ユーザー設定) = 並列接続の数 (算出)。これらの決定要因の関連を次の図に示します。

これらの決定要因の関連を次の図に示します。

図: オブジェクトのサイズ

オブジェクトのサイズ
  • 並列接続数を決定する際は、以下の要因を考慮します。

    • クラウドストレージプロバイダによって許可される並列接続の最大数

    • NetBackup とクラウドストレージ環境の間のネットワークで利用可能な帯域幅

    • NetBackup ホストで利用可能なシステムメモリ

  • オブジェクトのサイズを大きくすると、並列接続の数は減ります。並列接続の数は、アップロードやダウンロードの速度に影響します。

  • 読み取りまたは書き込みバッファのサイズを大きくすると、並列接続数が増加します。同様に、並列接続数を少なくしたい場合は、読み取りまたは書き込みバッファのサイズを小さくします。ただし、ネットワーク帯域幅と利用可能なシステムメモリを考慮する必要があります。

  • クラウドプロバイダは、バックアップまたはリストアの処理中に開始した PUT 要求と GET 要求の数に対して課金します。オブジェクトのサイズが小さいほど、PUT 要求または GET 要求の数は多くなり、結果的にコストが高くなります。

  • データ転送で一時的なエラーが発生した場合、NetBackup は、再試行を何度か実行して、失敗したオブジェクトを転送しようとします。エラーが続くと、完全なオブジェクトが再び転送されます。また、レイテンシとパケット損失が大きい場合は、パフォーマンスが低下することがあります。レイテンシとパケット損失の問題は並列接続数を大きくすると解決することがあります。

  • NetBackup では、クライアント側でいくつかのタイムアウトが設定されています。アップロード操作が算出された最低の NetBackup データ転送速度より (オブジェクトのサイズが大きいために) 遅くなる場合は、NetBackup でエラーが発生している可能性があります。

  • 重複排除がサポートされていないレガシー環境では、接続数が少ないと、並列で行われるダウンロードの数は以前の接続数の場合より少なくなります。

    たとえば、旧バージョン (8.0 以前) のイメージからリストアする場合にオブジェクトのサイズが 1 MB のときは、(1 つの接続につき) 16 MB のバッファは完全には使用されず、メモリは消費されます。オブジェクトのサイズを大きくしても、利用可能な読み取りまたは書き込みバッファサイズのメモリのため、接続数には制限があります。

現在のデフォルト設定

デフォルト設定は以下のとおりです。

表: 現在のデフォルト設定

クラウドストレージプロバイダ

オブジェクトのサイズ

デフォルトの読み取りまたは書き込みバッファのサイズ

Amazon S3 と Amazon GovCloud

16 MB (固定)

400 MB (16 MB から 1 GB に設定可能)

Azure

4 MB (固定)

400 MB (4 MB から 1 GB に設定可能)