Veritas InfoScale™ 7.4 トラブルシューティングガイド - Solaris
- 概要
- 第 I 部 Veritas File System のトラブルシューティング
- 第 II 部 Veritas Volume Manager のトラブルシューティング
- ハードウェア障害からのリカバリ
- RAID 5 ボリュームの障害
- DCO ボリュームの障害からのリカバリ
- インスタントスナップショット障害からのリカバリ
- 失敗した vxresize 操作のリカバリ
- ブートディスク障害からのリカバリ
- コマンド、タスク、トランザクションの管理
- ディスクグループ設定のバックアップと復元
- ディスクグループのインポートを使った問題のトラブルシューティング
- CDS エラーからの回復
- ログおよびエラーメッセージ
- Veritas Volume Replicator のトラブルシューティング
- 設定エラーのリカバリ
- プライマリまたはセカンダリでのリカバリ
- クラウド配備の問題のトラブルシューティング
- ハードウェア障害からのリカバリ
- 第 III 部 Dynamic Multi-Pathing のトラブルシューティング
- 第 IV 部 Storage Foundation Cluster File System High Availability のトラブルシューティング
- 第 V 部 Cluster Server のトラブルシューティング
- VCS のトラブルシューティングおよびリカバリ
- VCS メッセージログ
- VCS エンジンのトラブルシューティング
- LLT(Low Latency Transport)のトラブルシューティング
- GAB(Group Membership Services/Atomic Broadcast)のトラブルシューティング
- VCS の起動に関するトラブルシューティング
- サービスグループに関するトラブルシューティング
- リソースに関するトラブルシューティング
- I/O フェンシングのトラブルシューティング
- システムパニックによって潜在的なデータ破損が防止される
- フェンシングの起動時にすでに発生しているスプリットブレイン状態が報告される
- CP サーバーのトラブルシューティング
- Veritas InfoScale products クラスタノードでのサーバーベースのフェンシングのトラブルシューティング
- コーディネーションポイントのオンライン移行中の問題
- 通知に関するトラブルシューティング
- グローバルクラスタのトラブルシューティングとリカバリ
- ライセンスに関するトラブルシューティング
- ライセンスのエラーメッセージ
- VCS のトラブルシューティングおよびリカバリ
- 第 VI 部 SFDB のトラブルシューティング
システム構成のクリーンアップ
VxVM を再インストールしたら、システム構成のクリーンアップを行う必要があります。
システム構成をクリーンアップするには
- ルータビリティと関連付けられているすべてのボリュームを削除します。 ルートディスク(およびシステム起動プロセスに関係する他のディスク)が Veritas Volume Manager の制御下にあった場合は、この操作を実行する必要があります。
次のボリュームを削除する必要があります。
rootvol
root ファイルシステムを含みます。
swapvol
スワップ領域を含みます。
standvol(ある場合)
stand ファイルシステムを含みます。
usr(ある場合)
usr ファイルシステムを含みます。
ルートボリュームを削除するには、vxedit コマンドを使います。
# vxedit -fr rm rootvol
rootvol の代わりに swapvol、standvol および usr を使ってこのコマンドを繰り返し、swap、stand および usr の各ボリュームを削除します。
- ルータビリティのクリーンアップが完了したら、バックアップから復元する必要のあるボリュームを決定する必要があります。 復元するボリュームには、再インストールまたは削除したディスクにすべてのミラー(ボリュームのコピーすべて)が格納されていたボリュームが含まれます。 これらのボリュームは無効なため、削除および再作成して、バックアップから復元する必要があります。 再インストールまたは削除されたディスクにボリュームのミラーの一部が存在していた場合は、これらのミラーを削除する必要があります。 ミラーは後で再追加できます。
次のコマンドを使って、削除または再インストールされた VM ディスクを確認します。
# vxdisk list
システムディスクデバイスとこれらのデバイスの状態が表示されます。たとえば、3 つのディスクと再インストールされたルートディスクが含まれている再インストールされたシステムでは、vxdisk list コマンドの出力は次のようになります。
DEVICE TYPE DISK GROUP STATUS c0t0d0s2 sliced - - error c0t1d0s2 sliced disk02 mydg online c0t2d0s2 sliced disk03 mydg online - - disk01 mydg failed was:c0t0d0s2
この出力では、再インストールされたルートデバイス、c0t0d0s2 が VM ディスクに関連付けられていないこと、およびそのデバイスの状態が error と認識されていることが示されています。 ディスク disk02 と disk03 は再インストールに関係しておらず、VxVM により認識されてデバイス(c0t1d0s2 と c0t2d0s2)に関連付けられています。 以前の disk01 は、交換されたディスクデバイスに関連付けられた VM ディスクでしたが、現在そのデバイス(c0t0d0s2)には関連付けられていません。
再インストール中に(ボリュームまたはミラーを持つ)他のディスクが削除または交換された場合、そのディスクのディスクデバイスが error 状態で、VM ディスクはデバイスに関連付けられていないものとして一覧表示されます。
- 削除または交換されたディスクが分かったら、次のコマンドを使って、障害が発生したディスク上のミラーをすべて検索します。
# vxprint [-g diskgroup] -sF "%vname" -e 'sd_disk = "disk"'
disk は、failed 状態のディスクのアクセス名です。 このコマンドでは、ディスク名を引用符で囲みます。 ディスク名が引用符で囲まれていない場合は、エラーメッセージが返されます。vxprint コマンドは、障害が発生したディスクにミラーが格納されているボリュームを一覧表示します。failed 状態のすべてのディスクについて、このコマンドを繰り返します。
このコマンドを実行した際の出力例を次に示します。
# vxprint -g mydg -sF "%vname" -e 'sd_disk = "disk01"' v01
- 各ボリュームの状態をチェックし、次のコマンドを使ってボリューム情報を出力します。
# vxprint -th volume
volume は、確認するボリュームの名前です。 vxprint コマンドは、ボリュームの状態、プレックス、プレックスを設定するディスクの部分を表示します。 たとえば、1 つのプレックスを持つ v01 という名前のボリュームが disk01 という名前の再インストールされたディスクに存在します。vxprint -th v01 コマンドの出力は次のようになります。
V NAME RVG/VSET/COKSTATE STATE LENGTH READPOL PREFPLEXUTYPE PL NAME VOLUME KSTATE STATE LENGTH LAYOUT NCOL/WID MODE SD NAME PLEX DISK DISKOFFS LENGTH [COL/]OFF DEVICE MODE v v01 - DISABLED ACTIVE 24000 SELECT - fsgen pl v01-01 v01 DISABLED NODEVICE 24000 CONCAT - RW sd disk01-06 v01-01 disk01 245759 24000 0 c1t5d1 ENA
ボリュームの唯一のプレックスは、pl で始まる行に表示されています。v01-01 という名前のプレックスの STATE 状態フィールドは、NODEVICE 状態です。プレックスは、交換、削除または再インストールされたディスク上に領域を保持しています。プレックスは有効ではなくなったため、削除する必要があります。
- v01-01 はボリュームの唯一のプレックスであったため、ボリュームをバックアップから復元しないかぎり、ボリュームの内容のリカバリは実行できなくなります。ボリュームも削除する必要があります。ボリュームのバックアップコピーが存在する場合は、後でボリュームを復元できます。バックアップ手順で必要になるため、ボリューム名とサイズを記録しておきます。
次のコマンドを使って、リカバリ不可能なボリューム(v01 など)を削除します。
# vxedit -r rm v01
- 障害が発生したディスクにプレックスの一部のみが配置されている可能性もあります。ボリュームに関連付けられているストライプ化プレックスがそのボリュームにある場合、ボリュームは複数のディスクに分割されます。たとえば、v02 という名前のボリュームに、3 つのディスクにストライプされたストライプ化プレックスが 1 つあり、その 3 つのディスクのうちの 1 つは再インストールされたディスク disk01 であるとします。vxprint -th v02 コマンドの出力は次のようになります。
V NAME RVG/VSET/COKSTATE STATE LENGTH READPOL PREFPLEX UTYPE PL NAME VOLUME KSTATE STATE LENGTH LAYOUT NCOL/WID MODE SD NAME PLEX DISK DISKOFFS LENGTH [COL/]OFF DEVICE MODE v v02 - DISABLED ACTIVE 30720 SELECT v02-01 fsgen pl v02-01 v02 DISABLED NODEVICE 30720 STRIPE 3/128 RW sd disk02-02v02-01 disk01 424144 10240 0/0 c1t5d2 ENA sd disk01-05v02-01 disk01 620544 10240 1/0 c1t5d3 DIS sd disk03-01v02-01 disk03 620544 10240 2/0 c1t5d4 ENA
この出力では、プレックス v02-01 がまたがってストライプされる 3 つのディスクを示しています(sd で始まる行はストライプを示しています)。ストライプ領域の 1 つは障害が発生したディスク上にあります。このディスクは有効ではないため、v02-01 という名前のプレックスは NODEVICE 状態となっています。このプレックスはボリュームの唯一のプレックスであるため、ボリュームは無効であり、削除する必要があります。v02 のコピーがバックアップメディアに存在する場合は、後で復元できます。バックアップから復元するボリュームの名前とサイズは記録しておいてください。
次のコマンドを使って、無効なボリューム(v02 など)を削除します。
# vxedit -r rm v02
- 障害が発生したディスク上にミラーが 1 つあるボリュームでも、まだ有効なディスクに他のミラーがある可能性があります。 この場合、有効なディスク上のデータはまだ有効であるため、ボリュームをバックアップから復元する必要はありません。
障害が発生したディスク(disk01)にプレックスが 1 つあり、有効なディスク(disk02)に別のプレックスがあるボリュームに対して実行した vxprint -th コマンドの出力は、次のようになります。
V NAME RVG/VSET/COKSTATE STATE LENGTH READPOL PREFPLEX UTYPE PL NAME VOLUME KSTATE STATE LENGTH LAYOUT NCOL/WID MODE SD NAME PLEX DISK DISKOFFS LENGTH [COL/]OFF DEVICE MODE v v03 - DISABLED ACTIVE 0720 SELECT - fsgen pl v03-01 v03 DISABLED ACTIVE 30720 CONCAT - RW sd disk02-01 v03-01 disk01 620544 30720 0 c1t5d5 ENA pl v03-02 v03 DISABLED NODEVICE 30720 CONCAT - RW sd disk01-04 v03-02 disk03 262144 30720 0 c1t5d6 DIS
このボリュームには、v03-01 および v03-02 という 2 つのプレックスがあります。 最初のプレックス(v03-01)は、無効なディスクの領域を使っていないため、まだ使えます。2 番目のプレックス(v03-02)は、無効なディスク disk01 の領域を使っているため、NODEVICE 状態になっています。プレックス v03-02 は削除する必要があります。ただし、このボリュームには有効なデータを格納している有効なプレックスがさらに 1 つあります。ボリュームをミラー化する必要がある場合は、別のプレックスを後で追加できます。別のプレックスを後で作成するためにボリュームの名前を書き留めてください。
無効なプレックスを削除するには、vxplex コマンドを使って関連付けを解除し、ボリュームからプレックスを削除します。たとえば、プレックス v03-02 の関連付けを解除して削除するには、次のコマンドを使います。
# vxplex -o rm dis v03-02
- すべての無効なボリュームとプレックスを削除した後、ディスク設定をクリーンアップすることができます。 (vxdisk list コマンドの出力から特定した)削除、再インストールまたは交換された各ディスクは、設定から削除する必要があります。
ディスクを削除するには、vxdg コマンドを使います。 たとえば、障害が発生したディスク disk01 を削除するには、次のコマンドを使います。
# vxdg rmdisk disk01
vxdg コマンドによってエラーメッセージが返された場合は、無効なミラーが存在します。
- すべての無効なディスクを削除した後、Veritas Volume Manager の制御下に交換用ディスクまたは再インストール用ディスクを追加することができます。 ルートディスクが最初から Veritas Volume Manager の制御下にあった場合や、ルートディスクをこれから Veritas Volume Manager の制御下に置く場合は、このディスクを最初に追加します。
ルートディスクを Veritas Volume Manager の制御下に追加するには、vxdiskadm コマンドを使います。
# vxdiskadm
vxdiskadm メインメニューで、メニュー項目 2 (1 つ以上のディスクのカプセル化)を選択します。次の指示に従って、システムのルートディスクをカプセル化します。
- カプセル化が完了したら、マルチユーザーモードでシステムを再起動します。
- ルートディスクをカプセル化したら、vxdiskadm コマンドを使って、交換された他のすべてのディスクを追加する必要があります。 オペレーティングシステムの再インストール中にディスクが再インストールされた場合は、カプセル化する必要があります。それ以外の場合は、ディスクを追加できます。
- すべてのディスクがシステムに追加されたら、設定クリーンアップの一部として完全に削除されたボリュームを再作成して、その内容をバックアップから復元できます。 ボリュームの再作成は、vxassist コマンドまたは GUI を使って実行できます。
たとえば、ボリューム v01 と v02 を再作成するには、次のコマンドを使います。
# vxassist -g dg01 make v01 24000 # vxassist -g dg02 make v02 30720 layout=stripe nstripe=3
ボリュームが作成されると、通常のバックアップおよびリストア手順を使って、バックアップから復元できます。
- ボリュームクリーンアップの一部としてプレックスが削除されたボリュームのプレックスを再作成します。 ボリューム v03 から削除されたプレックスを交換するには、次のコマンドを使います。
# vxassist -g dg03 mirror v03
再インストール中に失われたボリュームとプレックスのリストアが完了すると、リカバリは完了し、システムは障害発生前の状態と同じように設定されます。
- 必要な場合は、システムを再起動するか、再配置監視デーモン vxrelocd を起動して、ホットリロケーションサービスを起動します(これにより vxnotify プロセスも開始されます)。
警告:
ホットリロケーションは、他の再設定手順を妨げない場合のみ起動できます。
ホットリロケーションが起動されたかどうかを判別するには、次のコマンドを使って、プロセステーブル内でエントリを検索します。
# ps -ef | grep vxrelocd
詳しくは、『Storage Foundation 管理者ガイド』を参照してください。
vxrelocd(1M)マニュアルページを参照してください。