Veritas InfoScale™ 7.3.1 ソリューションガイド - Linux
- 第 I 部 Veritas InfoScale の概要
- 第 II 部 Veritas InfoScale 製品のソリューション
- 第 III 部 データベースのパフォーマンスの向上
- データベースアクセラレータの概要
- Veritas Concurrent I/O によるデータベースパフォーマンスの向上
- Atomic Write I/O によるデータベースパフォーマンスの向上
- 第 IV 部 PITC の使用
- 第 V 部 ストレージ利用率の最大化
- 第 VI 部 データ移行
- データ移行の理解
- LVM から VxVM へのオフライン移行
- ネーティブファイルシステムから VxFS へのオフライン変換
- ネーティブファイルシステムの VxFS ファイルシステムへのオンライン移行
- ストレージアレイの移行
- プラットフォーム間のデータ移行
- CDS(Cross-Platform Data Sharing)機能の概要
- CDS ディスク形式とディスクグループ
- CDS(Cross-platform Data Sharing)を使用するためのシステムの設定
- システムの管理
- ディスクの操作
- ディスクグループの操作
- 情報の表示
- ファイルシステムに関する注意事項
- Oracle ASM から Veritas File System への移行
- 第 VII 部 vSphere の Just In Time Availability ソリューション
- 第 VIII 部 Veritas InfoScale 4 K セクタのデバイスサポートのソリューション
- 第 IX 部 参照
LVM ボリュームグループの VxVM ディスクグループへの変換
LVM ボリュームグループを VxVM ディスクグループに変換するには、次の手順を実行します。
- 変換する LVM ディスクとボリュームグループを確認します。vgdisplay などの LVM 管理ユーティリティを使って、変換する LVM ボリュームグループとそれを構成するディスクを特定します。また、以下に示すように、vxvmconvert で listvg オペレーションを使って、グループとそのメンバーディスクを確認したり、list オペレーションを使って、システムに認識されているディスクを表示することもできます。
# vxvmconvert . . . Select an operation to perform: list . . . Enter disk device or "all"[<address>,all,q,?](default: all) all DEVICE DISK GROUP STATUS cciss/c0d0 - - online invalid cciss/c0d1 - - online sda - - online sdb disk01 rootdg online sdc disk02 rootdg online sdd disk03 rootdg online sde - - error sdf - - error sdg - - error sdh - - error Device to list in detail [<address>,none,q,?] (default: none)
[デバイス(DEVICE)] 列には、物理ディスクのディスクアクセス名が表示されます。 [ディスク名(DISK)] 列にディスクメディア名のエントリがあるディスクは VM 制御下にあることを示し、[グループ(GROUP)]列はディスクグループのメンバーシップを示します。 [状態(STATUS)] 列は、VxVM がディスクを使用できるかどうかを示します。 LVM ディスクは VxVM で使用できないため、error 状態として表示されます。
LVM ボリュームグループの情報を一覧表示するには、listvg オペレーションを使います。
Select an operation to perform: listvg . . . Enter Volume Group (i.e.- vg04) or "all" [<address>,all,q,?] (default: all) all LVM VOLUME GROUP INFORMATION Name Type Physical Volumes vg02 Non-Root /dev/sdf /dev/sdh1 Volume Group to list in detail [<address>,none,q,?] (default: none) vg02 --- Volume group --- VG Name vg02 VG Access read/write VG Status available/resizable VG # 0 MAX LV 256 Cur LV 0 Open LV 0 MAX LV Size 255.99 GB Max PV 256 Cur PV 2 Act PV 2 VG Size 16.95 GB PE Size 4 MB Total PE 4338 Alloc PE / Size 0 / 0 Free PE / Size 4338 / 16.95 GB VG UUID IxlERp-poi2-GO2D-od2b-G7fd-3zjX-PYycMn --- No logical volumes defined in "vg02" --- --- Physical volumes --- PV Name (#) /dev/sdf (2) PV Status available / allocatable Total PE / Free PE 2169 / 2169 PV Name (#) /dev/sdh1 (1) PV Status available / allocatable Total PE / Free PE 2169 / 2169 List another LVM Volume Group? [y,n,q,?] (default: n)
- 新しい VxVM 論理ボリューム名を計画します。 変換により、システムがボリューム内のデータへのアクセスに使うデバイス名が変更されます。 LVM は、その論理ボリュームのデバイスノードを、ボリュームグループの名前が付けられたディレクトリの /dev に作成します。 VxVM は、
/dev/vx/dsk/diskgroup
と/dev/vx/rdsk/diskgroup
にデバイスノードを作成します。 変換が完了すると、LVM デバイスノードはシステムに存在しなくなります。/etc/fstab
にリストされているファイルシステムの場合、vxvmconvert は、fsck、mount、その他のユーティリティに伴う問題を回避するため、古い LVM ボリューム名の代わりに新しい VxVM デバイス名を使います。 ただし、特定のデバイスノード名を参照する他のアプリケーションは、そのデバイスが同じ場所に存在しなくなった場合に失敗する可能性があります。以下の種類のアプリケーションについて、これらのアプリケーションが LVM デバイス名を参照しているかどうか、およびリスクがあるかどうかを確認してください。
raw 論理デバイスにアクセスするデータベース。
プライベートファイルで名前が指定されたデバイスノードで実行されるバックアップ。 バックアップのラベルにデバイス名が記録されている場合もあります。
cron によって実行されるスクリプト。
その他の管理スクリプト。
- 項目 [1 変換対象の LVM ボリュームグループを分析します(1 Analyze LVM Volume Groups for Conversion)] を vxvmconvert のメインメニューから選択し、各 LVM ボリュームグループの変換が可能かどうかを確認します。
この手順は省略可能です。 分析は、ユーザーがデータにアクセスしている稼動中のシステムで実行できます。 これは、変換対象のグループやディスクの数が多く、変換の停止時間についての最適な計画や管理を考慮する必要がある場合に有用です。
次に示すのは、ボリュームグループの正常な分析からのサンプル出力です。
Select an operation to perform: 1 . . . Select Volume Groups to analyze: [<pattern-list>,all,list,listvg,q,?] vg02 vg02 Analyze this Volume Group? [y,n,q,?] (default: y) y Conversion Analysis of the following devices was successful. /dev/sdf /dev/sdh1 Hit RETURN to continue. Second Stage Conversion Analysis of vg02 Volume Group vg02 has been analyzed and prepared for conversion. Volume Group Analysis Completed Hit RETURN to continue.
オンディスクのデータ移行に必要な領域が不足しているために、オフディスクのデータ移行が必要な場合は、使用できる追加ディスクの選択を求めるメッセージが表示されます。
分析は、さまざまな原因のうちのいずれかにより、失敗する場合があります。
vxvmconvert によるメッセージ出力には、失敗の種類と、分析を再試行する前に実行できる処理が示されています。
- VxVM への変換を試みる前に、LVM 設定とユーザーデータのバックアップを作成してください。 また、LVM 設定自体もバックアップしてください。
警告:
変換時には、擬似再ブート、停電、ハードウェアエラー、オペレーティングシステムのバグなどによって、予測不可能な結果が生じることがあります。そのため、検証済みのバックアップを用意してデータを保護することをお勧めします。
vxvmconvert を実行する前に、次に示すように、vgcfgbackup ユーティリティを使って LVM ボリュームグループの設定のコピーを保存することができます。
# vgcfgbackup volume_group_name
これにより、バックアップファイル /etc/lvmconf/volume_group_name.conf が作成されます。 このファイルを別の場所(オフラインのテープまたはその他のメディア)に保存して、変換プロセスが上書きされないようにします。 LVM 設定は、必要に応じてバックアップファイルから復元することができます。
vxvmconvert ユーティリティは、各ディスクの変換中に、LVM 設定データのスナップショットも保存します。 このデータは、vgcfgbackup の場合とは異なる形式で保存され、vxvmconvert プログラムでのみ使うことができます。 このデータは、一定の制限の下で、VxVM への変換後に LVM ボリュームを修復するために使えます。 vxvmconvert が提供するメカニズムは、LVM 設定をバックアップするためのものですが、各 LVM ボリュームグループの LVM 設定情報を保存するには vgcfgbackup を使うことをお勧めします。
ユーザーデータのバックアップを実行する前に、システムで現在使われているボリューム名に影響を及ぼす内容がバックアップ手順に含まれている可能性がある点に注意してください。 VxVM への変換によって、ボリューム名が変更されます。 このような名前変更が、作成したバックアップの復元に及ぼす影響を理解する必要があります。
- 変換対象のボリュームグループ内のボリュームに、アプリケーションがアクセスできないようにします。 この処理には、データベースの停止、ファイルシステムのマウント解除などが必要になる場合があります。
vxvmconvert は、変換を開始する前に、マウントされたファイルシステムをマウント解除しようとします。 ただし、これらのファイルシステムを使っているアプリケーションを停止したり、raw LVM ボリュームで動作しているデータベースなどのアプリケーションを処理しようとはしません。
変換される LVM 論理ボリュームはすべて、vxvmconvert プロセスで使える状態である必要があります。 vxvmconvert を実行する前にボリュームグループや論理ボリュームを非アクティブ化しないでください。
ボリュームグループのアクティブ化には次のコマンドを使います。
# vgchange -a y volume_group_name
- vxvmconvert のメインメニューから項目 [2 LVM ボリュームグループを VxVM に変換します(2 Convert LVM Volume Groups to VxVM)] を選択し、各ボリュームグループの変換を開始します。 ボリュームグループは、変換が可能であることを確認するために分析されます。 分析が成功すると、変換を実行するかどうかを尋ねられます。
変換時のエラーを避けるため、ボリュームグループは一度に 1 つ変換してください。
次に示すのは、変換が成功した場合のサンプル出力です。
Select an operation to perform: 2 . . . Select Volume Groups to convert: [<pattern-list>,all,list,listvg,q,? vg02 vg02 Convert this Volume Group? [y,n,q,?] (default: y) y Conversion Analysis of the following devices was successful. /dev/sdf /dev/sdh1 Hit RETURN to continue. Second Stage Conversion Analysis of vg02 Volume Group vg02 has been analyzed and prepared for conversion. Are you ready to commit to these changes?[y,n,q,?](default: y) y vxlvmconv: making log directory /etc/vx/lvmconv/vg02.d/log. vxlvmconv: starting conversion for VG "vg02" - Thu Feb 26 09:08:57 IST 2004 vgchange -- volume group "vg02" successfully deactivated vxlvmconv: checking disk connectivity Starting Conversion of vg02 to VxVM fdisk .. disksetup .. dginit .. make . volinit .. vxlvmconv: Conversion complete. Convert other LVM Volume Groups? [y,n,q,?] (default: n)
オンディスクのデータ移行に必要な領域が不足しているために、オフディスクのデータ移行が必要な場合は、使用できる追加ディスクの選択を求めるメッセージが表示されます。
- LVM ボリュームグループの変換後、vxvmconvert の list オペレーションを使って、変換されたディスクの状態を確認できます。次のその例を示します。
Select an operation to perform: list . . . Enter disk device or "all"[<address>,all,q,?](default: all) all DEVICE DISK GROUP STATUS cciss/c0d0 - - online invalid cciss/c0d1 - - online sda - - online sdb disk01 rootdg online sdc disk02 rootdg online sdd disk03 rootdg online sde1 vg0101 vg01 online sdf vg0201 vg02 online sdg vg0102 vg01 online sdh1 vg0202 vg02 online Device to list in detail [<address>,none,q,?] (default: none)
error 状態になっていた LVM ディスクが、現在は VxVM に対して online と表示されています。
vxprint コマンドを使って、変換されたボリュームのオブジェクトの詳細を表示することもできます(簡潔にするため、TUTIL0 列と PUTIL0 列は省略しています)。
# vxprint Disk group: rootdg TY NAME ASSOC KSTATE LENGTH PLOFFS STATE dg rootdg rootdg - - - - dm disk01 sdb - 17778528 - - dm disk02 sdc - 17778528 - - dm disk03 sdd - 17778528 - - Disk group: vg01 TY NAME ASSOC KSTATE LENGTH PLOFFS STATE dg vg01 vg01 - - - - dm vg0101 sde1 - 17774975 - - dm vg0102 sdg - 17772544 - - v stripevol gen ENABLED 1638400 - ACTIVE pl stripevol-01stripevol ENABLED 1638400 - ACTIVE sd vg0102-01 stripevol-01 ENABLED 819200 0 - sd vg0101-01 stripevol-01 ENABLED 819200 0 - Disk group: vg02 TY NAME ASSOC KSTATE LENGTH PLOFFS STATE dg vg02 vg02 - - - - dm vg0201 sdf - 17772544 - - dm vg0202 sdh1 - 17774975 - - v concatvol gen ENABLED 163840 - ACTIVE pl concatvol-01concatvol ENABLED 163840 - ACTIVE sd vg0202-02 concatvol-01 ENABLED 163840 0 - v stripevol gen ENABLED 81920 - ACTIVE pl stripevol-01stripevol ENABLED 81920 - ACTIVE sd vg0202-01 stripevol-01 ENABLED 40960 0 - sd vg0201-01 stripevol-01 ENABLED 40960 0 -
- 新しい VxVM ボリューム名に必要なアプリケーションと設定ファイルに対する変更を実装します (この手順に必要な情報は、手順 2 ですでに準備しています)。
- これで、新しいデバイスにファイルシステムをマウントし、アプリケーションを再起動できるようになりました。 vxvmconvert を実行する前にマウント解除したファイルシステムがある場合は、新しいボリューム名を使ってそれらのファイルシステムを再マウントします。 vxvmconvert ユーティリティは、マウントされたままのファイルシステムを自動的に再マウントします。
- 新しい各 VxVM ディスクグループに所属するディスクには、ディスクグループ名に基づく VM ディスクメディア名が設定されます。 たとえば、ディスクグループの名前が mydg の場合、含まれるディスクには、mydg01、mydg02 などの名前が設定されます。 各 VxVM ボリューム内のプレックスには、mydg01-01、mydg01-02 などの名前が付けられます。 ディスクとプレックスの名前は、必要に応じて変更できます。
変換されたディスクグループに含まれる VxVM オブジェクトの名前は、設定に全面的に満足した場合にのみ変更してください。 VxVM オブジェクトの名前を変更すると、vxvmconvert を使って元の LVM ボリュームグループを復元することができなくなります。