Veritas™ File System プログラマーズリファレンスガイド - Linux
- Veritas File System Software Developer's Kit
- FCL(File Change Log)
- マルチボリュームサポート
- 名前付きデータストリーム
- Veritas File System I/O
- シン再生
領域予約: ファイルへの事前領域割り当て
領域の予約を実行すると、ファイルシステムの領域不足に起因するアプリケーションの障害を確実に回避できます。アプリケーションは、作業を開始する前に、全ファイルに対応する領域を事前に割り当てることができます。領域を事前に割り当てることによって、パフォーマンスが向上するようにファイルが適切に割り当てられ、領域の割り当てが必要となった場合でも、ファイルへのアクセスが低下しません。遅延の保証が要求されるアプリケーションでは、このようなリソースの割り当ては重要です。超大容量ファイルを処理する場合は、領域の予約を使うと、間接エクステントの使用を回避できます。また、領域の予約により、ファイルが連続した大容量エクステントで構成されるため、パフォーマンスの向上と断片化の低減を実現できます。
VxFS は、データがファイルに書き込まれるときではなく、書き込みが要求されたときに、領域をファイルに事前に割り当てることができる API を提供しています。 事前割り当てまたは予約によって、データがファイルに書き込まれる前に、ファイルに必要な領域がファイルに対応付けられるため、ファイルシステムが予想外に領域不足の状況になることを回避できます。領域はいつでもファイル用に予約でき、ファイルに予約された領域は、ファイルシステムのほかのファイルに割り当てられません。API には、アプリケーションから予約された領域を含めるように、ファイルのサイズを変更できるオプションがあります。
領域予約では、ファイルに割り当てられるブロックの初期化を行いません。そのため、この機能は、ファイルのサイズが予約要求によって変更されない限り、適切な権限で実行しているアプリケーションに限定されます。ファイルに新しく割り当てられたブロックにあるデータは、以前に別のファイルのものであった可能性があります。
領域予約はディスクに保存されたファイルの永続的な属性です。ファイルにこの属性を設定すると、ファイルが切り捨てられたときにも属性が解放されません。予約領域を解放するには、同じ API から予約の設定を解除するか、ファイルを削除する必要があります。領域予約を指定したときにファイルサイズが予約領域より小さい場合、現在のファイルサイズから予約した容量までの領域がファイルに割り当てられます。ファイルを切り捨てても、予約した容量に満たない領域は解放されません。