問題
長期保存の目的で保持されているバックアップセットや一時的バックアップされたバックアップセットは重複排除ストレージ (クラウド/ローカル重複排除ストレージ) の過剰使用につながる場合があります。これによりストレージがいっぱいになり、バックアップがキューに格納されたり、ストレージエラーで失敗することがあります。
Backup Exec 21 の既知の問題は Backup Exec 22 で修正されました。
解決策
セクション 1 - ローカル重複排除ストレージから領域の回復する方法
(注:クラウドストレージが重複排除を使用するように設定されている場合はローカル重複排除用とは異なるコマンドを使用します。)
セクション 2 - 重複排除対応クラウドストレージ領域の回復する方法
(注:重複排除対応クラウドストレージは、Backup Exec バージョン 21.3 から導入された機能です。)
ローカル重複排除ストレージから領域の回復する方法
1) - 3) は、領域の回復を行うために手動介入が必要かどうかを判断するのに役立ちます。
1) コマンドプロンプト(管理者として実行)から以下のコマンドにより、ストレージ統計を確認します。
コマンドプロンプトをBackup Exec のインストールパスに移動し実行します。デフォルトは C:\Program Files\Veritas\Backup Exec
です。
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>crstats.exe --verbose --convert-size
図1.
2) [Use Rate] を確認します。バックアップを効率的に行うには、[Use Rate] を 95% 未満にする必要があります。95% に達しましたらバックアップを停止し、空き領域を確保することをお勧めします。
3) 上記のコマンド出力で、[Catalog Logical Size] も確認します。これは、重複排除ストレージフォルダにバックアップされ保存されているフロントエンドのデータ量です。
[Catalog Logical Size] は、重複排除ストレージ > バックアップセットタブ内のすべてのバックアップセットの合計サイズより大きく表示される可能性があります。
バックアップセットタブ内のデータ合計サイズを計算するには、すべてのバックアップセットを選択し、右クリックしてコピーし、スプレッドシートに貼り付け、合計サイズを計算できます。(図2)
UI 上の表示が少なく、[Catalog Logical Size] が大きい場合は、Backup Exec のグローバル設定 > カタログタブから [ストレージベースのカタログを使用する] を選択し、重複排除ストレージのインベントリとカタログを実行することをお勧めします。
図2.
4) 手動で領域を回復すには、重複排除ストレージ > バックアップセットタブでバックアップセットを期限切れにすることができます。右クリックで [失効] を選ぶと、そのセットに依存するセットがある場合はポップアップで示されます。(図3)
慎重に不要なセットを確認し期限切れにします。[失効] 操作はメディア、およびバックアップセットのカタログを削除します。有効期限が切れたことを確認するには、Backup Exec コンソール > 構成と設定 > 監査ログ > バックアップセットの保持カテゴリーを選択し、最近の OST または IMG の削除を確認します。また、Backup Exec UI からバックアップ・セットが消えるはずです。
重複排除ストレージの場合、失効操作は重複排除ストレージフォルダ内のセグメントの削除を誘発します。いかなるシナリオでも、重複排除ストレージのドライブからファイルを削除する必要はありません。
注: 永久増分バックアップの最新のバックアップチェーンはシステムによる保持設定がされており、期限切れになっても削除されません。システムによる保持設定を解除するにはバックアップセットを右クリックし [保持] [維持しない] を選択後に再度 [失効] 操作を行います。
図3.
重複排除ストレージが 50TB のストレージに 500TB のフロントエンドデータを保持している場合、 50TB のフロントエンドデータが失効すると、重複排除ストレージ内で おおよそ 5TB が解放されることになります。(重複排除率 10:1 を考慮した場合の非常に大まかな数字です。)
注:重複排除ストレージは多くのバックアップセットで参照される一意のセグメントを保存しています。あるセットを削除しても保存されたセグメントは削除されないことがあります。10個のセットが特定のセグメントを参照している場合は、それらのセットがすべて削除された場合にのみ、そのセグメントへの参照がゼロになるため、削除のマークが付けられます。重複排除ドライブは、Backup Exec Deduplication Storage によって制御されるため、オペレーティングシステムに領域の解放が表示されない場合があります。
5) 重複排除ストレージ内のバックアップセットの有効期限が切れると、参照の削除が発生します。これらはX:\BackupExecDeduplicationStorageFolder\queue フォルダーに tlog (トランザクションログ) を生成します。これらを即座にコミットするには、以下のコマンドを2回実行します。
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>
crcontrol.exe --processqueue
このような tlog の処理を「キュー処理」と呼びます。2回実行されたコマンドの状態を確認するには、次のコマンドを使用します。
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>
crcontrol.exe --processqueueinfo
processqueueinfo コマンドで Busy と Pending が no と表示されると、コマンドが完了したことを意味します。
手動でキュー処理を実行しない場合は、午前 12:20 と午後 12:20 に毎日のキュー処理タスクが重複排除ストレージ内で実行されたときに処理されます。
図4.
再度 1) から 3) を実施し、領域の使用状況を確認します。回復された領域が新しいバックアップに十分でない場合は、より多くのバックアップセットを期限切れにする必要があります。これ以上バックアップセットを期限切れにできない場合は、重複排除ドライブを拡張します。
重複排除対応クラウドストレージ領域の回復する方法
1) 重複排除対応クラウドストレージの datastorage ID (dsid) を取得します。
コマンドプロンプト(管理者として実行)から以下のコマンドを実行します。
コマンドプロンプトを Backup Exec のインストールパスに移動し実行します。デフォルトは C:\Program Files\Veritas\Backup Exec
です。
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>
pddecfg -a listcloudlsu
dsid, lsuname, storageId, CachePath
3, AzCloudDedupeStore, azure.com/azdedupe/AzCloudDedupeStore, T:\BackupExecDeduplicationStorageFolder\data\ds_3
注: コマンド出力結果の最初の列が dsid です。この例では 3 です。
2) ストレージの統計情報は、以下のコマンドで算出することができます。
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>crstats.exe --cloud-dsid <dsid>
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>crcontrol.exe --clouddsstat <dsid>
3) 領域を確保するためにバックアップセットを手動で期限切れにした場合は、processqueue コマンドを 2回実行します。
注: processqueue コマンドは、その時点の変更を更新するのに役立つため、processqueue コマンドを実行すると統計値が正確に表示されるようになります。processqueueinfo コマンドで Busy と Pending が no と表示されると、コマンドが完了したことを意味します。
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>crcontrol.exe --processqueue --dsid <dsid>
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>crcontrol.exe --processqueue --dsid <dsid>
C:\Program Files\Veritas\Backup Exec>crcontrol.exe --processqueueinfo --dsid <dsid>
Busy : no
Pending: no
4) crcontrol.exe --clouddsstat <dsid> または crstats.exe --cloud-dsid <dsid> コマンドを再実行し、重複排除機能が有効なクラウドストレージの更新された統計情報を確認します。